作品紹介
製作 | 2009年 |
ジャンル | アニメ |
監督 | 曽利文彦 |
声優 | 福山潤、平野綾 |
前回紹介した『TO 楕円軌道』と同時リリースされたのが、この『TO 共生惑星』。監督は同じで、声優陣が替わっています。
前作に引き続き近未来を舞台としたアニメで、宇宙に進出した人類が、いかに他の惑星を開拓しつつ生き残りを図っていくかがテーマ。
このアニメのここがヤバい
この作品では、”戦争”が一つのテーマになっているのですが、この手のアニメを作る場合、国際感覚というか国防感覚が非常に重要になってきます。
元自衛官の私から言わせてもらうと、だいぶ脳内お花畑というか・・・ちょっとずれているなという印象を受けました。
脳内お花畑主人公をはじめとするちょっとズレたキャラクター達が織り成すストーリーは、どことなく中学生が書いたライトノベルの雰囲気を醸し出しています。
登場人物
イオン
本アニメの主人公で、アメリカ出身の科学者。アリーナの恋人。ベータ星第5惑星の生態系について研究しており、宇宙服無しで人類が生活できるという環境づくりを目指している。
科学者としては非常に優秀だが、彼の脳内には、毎日せっせとお花畑を耕す平和の農夫がいるらしい。
この惑星に生息する気球のような生物(「ピカール」と名付けられているが・・・)を完全に手懐けており、触手に捕まってそこらじゅうを飛びまわることができる。
アリーナ
本アニメのヒロインで、ユーラシア連邦出身。イオンの恋人。語学が堪能で、通訳として働いている。ユーラシア連邦コロニーの最高指揮官であるタチアナ中佐を母親に持つ。
ストーリー
水瓶座ベータ星第5惑星
人類が宇宙に進出を果たし、各惑星に資源採取のための基地が設置されるようになりました。今や人類が最も必要とするのは資源であり、宇宙の惑星を一つでも多く開拓することが急務でした。
そんな中、水瓶座ベータ星第5惑星でも、人類の惑星開発は進められていました。ここでは、アメリカ・ユーロ共同コロニーと、ユーラシア蓮舫の二つのコロニーがありました。両コロニーは、開発思想の違いによりお互いに対立し、その開発競争は日々激化するのでした。
この水瓶座ベータ星第5惑星は、カビのようものが惑星中に生息し、常に胞子が空気中を漂っています。これらが、人体にどのような影響を与えるのかは不明(それをイオンが研究している)。
従って人類は、分厚い宇宙服を着ていないと建物の外に出ることはできないのです。
夜な夜な密会を繰り返すイオンとアリーナ
惑星の開発競争が激化する中、アメリカ・ユーロ共同コロニー出身のイオンと、ユーラシア連邦コロニー出身のアリーナは、お互いにこっそりコロニーを抜け出し、夜な夜なデートを繰り返していたのでした。
イオンがコロニーに帰ると、軍人のベルチン少佐がやってきます。
そして、
と忠告します。
しかしイオンは、
とキレだします。
「戦争をしたくないから」といって忠告するベルチン少佐と、ベルチン大佐を戦争したがりときめつけてキレるイオン。なんだか微妙に話が噛み合っていない気がしますが・・・
一方、イオンの恋人アリーナも、母親であるタチアナ中佐に呼び出され、
と忠告されていました。
その頃、アメリカ・ユーロ共同コロニー内では、全住民の夜間外出禁止令が出されました。
理由としては、地球から派遣される国連調停委員を交えての会談が終わるまでの1週間を、摩擦なく平穏に過ごすためということです。
個人的には無難な施策であると思うのですが、イオンはベルチンが自分に嫌がらせをしていると思い込んでしまいます。
イオンよ、この手の施策は、たった一人の住民に嫌がらせをする目的で出されることは無いと思うぞ・・
苛立ちを隠せないイオンに、同僚は
と、優しい言葉をかけます。
それにしても、カビと少数の原始的生物しか生息しない星に人類が進出することを、なぜ”植民地”と言うのでしょうか?なんだかちょくちょく引っかかりますね。
夜間外出禁止にされ、イオンは
と激怒します。
・・・いやだから、余計な摩擦を回避するための外出禁止なのでは・・・?どうもイオン君の脳内では、ちょっとしたことが「戦争」というキーワードに直結しちゃうみたいですね。
研究室で異状
悶々とした気分のまま研究所に入るイオンですが、なんと研究所では、まだ人体への影響が判明していない菌類が溢れ出し、室内が胞子に包まれていました。
緊急ボタンを押したので、被害の拡大は最小限に抑えることができましたが、イオンの体は、未知の最近に蝕まれていくのでした。
両コロニー調停会議中
そんな中、国連調停委員が第5惑星に到着します。
そしてついに、両コロニーを交えた調停会議が、アメリカ・ユーロ共同コロニー内で開かれることになりました。議題は、この星の開発方法に関することです。
しかし、議論は喧々囂々として噛み合わず、両コロニーが分かち合うことはありませんでした。
イオンとアリーナの再会
この会議に通訳として参加していたアリーナでしたが、そんなアリーナをインが呼び出します。
もちろんイオンは、胞子が舞う研究室に閉じ込められているため、直接会うことはできません。
二人は、扉越しに会話をするのがやっとでした。
イオンの話によると、未知の細菌に感染してしまった後は、最初は苦しかったものの徐々に体調が回復し、今はむしろ調子がいいというのです。
しかし、人体への影響が完全に証明されたわけではないので、しばらくはこのまま閉じ込められるということでした。
・・・なんと、そんな二人の会話を盗み聞きしていた男がいました。会議に参加していたユーラシア連邦の軍人の一人です。
バイオハザード発生
アメリカ・ユーロ共同コロニー内には、突然緊急アラームが鳴り響きます。隔離していたはずの研究室の扉が、何者かによって開かれてしまったのです(多分、盗み聞きしていたアイツ)。
コロニー内は大混乱に陥ります。
その混乱に乗じて、ユーラシア連邦の軍人の一人は、「これはチャンス」とばかりに、アメリカ・ユーロ共同コローニーに爆撃するよう爆撃機に命令します。
こいつもかなり頭がぶっ飛んじゃってますね。
何がチャンスなんでしょうか?こんなことしたら、国際問題になって世界中から袋叩きにあいますよ?ここまで軍事感覚が鈍い軍人さんも珍しい・・・
(なお、ユーラシア連邦の軍人さんたちは、爆撃命令を出したあとアリーナとタチアナをコロニーに残して飛行機で脱出しますが、事故により飛行機が墜落して全員死亡します)
真っ白いイオン
その頃、ベルチン少佐はコロニー内を探索中。
すると、胞子まみれで髪の毛や眉毛まで真っ白になったイオンの姿を発見します。しかも、結構元気そうです。
掃除に、細菌はコロニー内全域にまで広がり、イオン以外誰もまともに動ける人間はいなくなります。
イオンは、爆撃機がコロニーに向かっているという情報を聞き付けると、ベルチン少佐の助言を受けて、コロニーの迎撃システムを立ち上げることになります。
爆弾を満載した爆撃機が刻一刻と近づきますが、イオンは到着前に迎撃システムを立ち上げることに成功します。あとは、ミサイル発射ボタンを押せば爆撃機を撃墜することができます。
・・・しかし、頭の中お花畑のイオンくんは、
といって、爆撃機の迎撃を諦めてしまいます。
よくわからない逆転劇
イオンがよくわからないことをやっている間に、アリーナは、体が細菌に順応し自由に動けるようになっていました。
イオンとアリーナは、爆撃機が飛んでくるところをコロニー内で呆然と待っているわけですが・・・
ここで、よくわからない奇跡が起こります。イオンが手懐け「ピカール」と呼んでいた気球のような生物が、大量に発生してコロニーの前に立ちはだかります。
そして、身を呈してすべてのミサイルを撃ち落とし、さらには爆撃機までも体当たりで撃墜してしまいます。もちろん、ピカールは死亡(というか消失?)します。
イオンは
と叫び、ピカールの心配しかしませんが、自分の命を犠牲にしてまで守ろうとした爆撃機のパイロットたちの命は、気にかけないのでしょうか?
終結
細菌の感染拡大により、一時的に全住人が行動不能に陥ったものの、全員が回復します。
この星の細菌は、人体に害を為すものではなく、人体に寄生して老廃物を食いながら酸素を生み出すなど、むしろ人類と共生していくものだということが、この事故により証明されました。
さらに、この細菌に寄生されると、人間の大脳にある快楽中枢が刺激されるとのことです。
快楽中枢を刺激されまくった両コロニーの軍人さんたちは、あれほど対立していたのにも関わらず、途端にニコニコ笑顔で和解します(なんだこの茶番は・・・)。
そして、地球に帰っていく途中の国連調停委員の長が「我々は、この星を征服したのか?それとも我々が征服されたのか?」と疑問を呈し、アニメは終わりを迎えます。
1分で振り返るストーリーまとめ(忙しい人向け)
忙しい人向けに、本作のストーリーを1分で把握できるようにまとめてみました。
✔ 二つのコロニーの間で、一触即発の事態に陥る。そのため、各コロニー内では外出禁止令が発出された。
✔ そのため、コロニーを異にするイオンとアリーナは、会うことが難しくなった。
✔ イオンは、この星に発生する胞子の研究をしていたが、ある日、アクシデントにより全身にその胞子を受けてしまう。
✔ その後、胞子はコロニー中に充満し、大混乱をきたす。これを好機と見て、ユーラシア連邦は爆撃機を飛ばしてアメリカ・ユーロ共同コロニーを攻撃しようと試みる。
✔ 死を覚悟したイオンとアリーナだが、イオンが手なずけた謎の生物が無数に表れて爆撃機の進路を妨害し、ユーラシア連邦の攻撃は失敗する。
✔ イオンが全身に浴びた胞子は、実は人体に害をなすものではなく、むしろ人を幸せな気分にしてくれる効果を持つことが判明する。
✔ 全員が胞子を浴びて幸せ気分になり、両コロニーの抗争は終わりを告げる。
興味が湧いた方は、是非ともストーリー(細部)も読んでみてくださいね!!
考察及び感想
おそらく、「人類同士の醜い争い」ということを描きたかったのでしょうけど、主人公を含め、軍人さんに至るまで軍事感覚がマヒしていて、なんだか全体的に微妙でした。
最後に「征服したのか?されたのか?」というセリフがありましたが、カビと原始生物しか生息していない星なのに、征服もなにもないんじゃないかなと思います(正しくは、開拓)。
ということで、なんだか全体的にずれている・・・というのが、全般的な感想です。
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