【考察】「ルパン三世 ヘミングウェイペーパーの謎」(ネタバレ)非業の自殺を遂げた、あの文豪ヘミングウェイが登場!

アニメ

作品紹介

制作 1990年
ジャンル アニメ
監督 出崎統
キャスト 山田康雄納谷悟朗小林清志井上真樹夫増山江威子

『ルパン三世 ヘミングウェイペーパーの謎』は、1990年、ルパン三世TVスペシャルシリーズ第2作目として放映されたアニメです。

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この映画のみどころ

この映画の見どころは、世界的な文豪アーネスト・ヘミングウェイが題材として使用されているというところです。

 

本作は、ヘミングウェイが残した未発表文章「ヘミングウェイ・ペーパー」(本作オリジナル)に書き記されている財宝をめぐり、ルパン一味が快刀乱麻の活躍を見せるという話なのですが、ではなぜ、この映画にはヘミングウェイという名前が出てくるのか?

ヘミングウェイは、1899年の生まれで、1920~1950年の間を中心に執筆活動に勤しんでいました。亡くなる1961年までに、『老人と海』などの優れた作品を数多く生み出しています。

ところが、ヘミングウェイの死後、世に未発表となっていた作品が公開され、話題となったことがあります。その一つが、1986年に出版された『エデンの園』という小説です。

これにより、ヘミングウェイという名前は再び脚光を浴びることとなったのです。

本作は、そんなヘミングウェイの未発表小説のリリースになぞらえて作成されたものと考えられます。

 

当然、映画なので脚色されている部分はありますが、ヘミングウェイファンの方なら一度は見ておきたい作品だと思います。

登場人物

マリア

本作のヒロイン。

既にゴーストタウンと化した町で、たった一人で住みバーを経営しているという、変わり者で謎多き女。

コンサノ

マッドマックス感が溢れる野党の頭領。コルカカ島内で、島の派遣を巡りカルロス大統領と争っている。

用心棒として、次元大介を召し抱える。

カルロス

コルカカ島の大統領。コルカカ島内で、島の派遣を巡りコンサノと争っている。

用心棒として、石川五エ門を召し抱える。

マルセス

美術収集家であり、武器密売人でもある。別名「地中海のサメ」

峰不二子を秘書に雇う。

クレイジー・マッシュ

マルセスお抱えの傭兵。超一流の殺し屋。

金に汚く、非情で冷血な男。卑怯者。

5年前、次元と共に行動をしていたが、マッシュは仲間を裏切り、次元を除く仲間全員を射殺した。その事件以来、次元はマッシュに復讐を誓っている。

ストーリー

序盤

ルパンは、財宝の隠し場所が記されているとされる文豪アーネスト・ヘミングウェイの原稿が、コルカカ島にあるらしいという情報を聞きつける。

しかしその原稿は、核ミサイルでも壊せないといわれるほどの頑丈な箱にしまわれているらしい。

ルパンは、その箱の鍵を持つというドイツ在住の紳士を訪ねるが、マルセスが抱える傭兵マッシュよって既に殺され、鍵も奪われていた。

ルパンは、手掛かりを求めてコルカカ島へと向かう。コルカカ島は、何年も内戦が続いている物騒な島だ。

 

ルパンがコルカカ島へ着くと、廃墟の町で一人バーを経営する女マリアと出会う。なぜこんなところで、それもたった一人で住んでいるのか?マリアは謎に包まれた女だった。

 

その頃、コルカカ島ではカルロスの軍隊とコンサノの手下が小競り合いを繰り返していた。

ここでカルロスとコンサノの二人は、お互いが抱える用心棒同士を戦わせて勝負を決めるという話になる。

ここで登場するのが、カルロス側が石川五エ門、コンサノ側は次元大介。五エ門と次元は、ひょんなところで戦うことになった。

しかし、二人は急に相撲(笑)を取り出し、同時に倒れて引き分け勝負に持ち込むのだった。

 

その夜、ルパン、次元、五エ門の3人は、マリアのバーに集う。

実は、次元はマッシュへの復讐のため、五エ門は斬鉄剣でも斬れないと言われる箱を見つけ出すため、それぞれカルロスとコンサノのもとに身を寄せていたのだ。

なんと、マッシュは箱の鍵を奪った張本人であり、斬鉄剣でも斬れない箱こそがヘミングウェイペーパーが保管されている箱のことだった。

三人の利害が一致するということで、ルパンは三人で協力し合うよう提案する。しかし、次元と五エ門はいまいち気乗りせず、交渉は決裂する。

 

朝、カルロスにとってショッキングなニュースが飛び込んでくる。なんと、”地中海のサメ”と言われて恐れらているマルセスがコンサノと手を組み、コンサノに大量の武器を渡したというのだ。

さらに、マルセスの傍には殺し屋マッシュも付いている。

これでコンサノの戦力は、段違いに増強されたこととなる。

しかも、それらはすべて無償。マルセスの狙いは一体何なのか?

 

一方、謎の女・マリアはライフルを持ってどこかへ出かけていく。なんとマリアは、そのライフルでコンサノを狙撃しようとしていたのだ。

しかし、コンサノの手下の邪魔が入り、狙撃は成功しなかった。

なぜマリアはコンサノの命を狙おうとしていたのか?すべてが謎に包まれたままだった。

 

その日の夜、ルパン、次元、五エ門の3人は再びマリアのバーに集う。

なんと次元は、マッシュとの決闘に挑むため、二人に別れのあいさつを言いに来ていたのだ。手助けを申し出るルパンと五エ門だったが、次元はそれを拒否。

 

マッシュは、早速卑怯な手を使って次元との決闘を避けようとするが、ルパンが横やりを入れてマッシュを拘束。ルパン立会いの下、次元とマッシュの決闘が実現した。

しかし、ここでもマッシュは卑怯な手を使い、決闘を避ける。次元はマッシュに捕まり、コンサノ一味本部に連行されてしまう。

 

時を同じくして、五エ門はカルロスが保管しているヘミングウェイペーパー保管箱を見つけ出す。五エ門は気合と共に切りかかるが、箱はびくともせず。

この世のどこかに、斬鉄剣でも斬れないものが存在すると言われていたが、この箱がまさにそうだったのだ。

五エ門は、ショックのあまりその場にしゃがみこんでしまう。そして、財宝を狙ったと勘違いされて、カルロスに捕まってしまう。

中盤

さらに、マリアのバーにはコンサノの手下たちが押し掛け、マリアを拘束しようとする。マリアは、”サソリ”の生き残りだというのだ。

 

ルパンとマリアは、なんとかバーから逃げ出すと、マリアはルパンを秘密の洞窟に案内する。

この洞窟は、コルカカ島市民により結成された解放戦線”サソリ”の本部があった場所だった。マリアの兄は、”サソリ”のリーダーだった。

10年前、カルロスとコンサノは仲間だった。島に隠された宝を探すため、コルカカ島を訪れて島の探索を始めた。

そんな連中に抵抗するため、島の住民は”サソリ”を組織するが、カルロスとコンサノの手によって全員が殺されてしまう。

その後カルロスとコンサノは、宝を独り占めしたいという欲望が芽生え仲違いしてしまい、現在に至るという。

その事件以来、マリアは島の財宝を狙っている盗賊まがいの連中が大嫌いになったのだ。

マリアは、まだ”サソリ”が終わっていないことを証明するため、兄の仇を討つため、バーを経営しているふりをして密かに復讐のタイミングを狙っていたのだった。

 

ルパンは、マルセスのもとに身を寄せていた峰不二子と合流し、早速カルロスの金庫からヘミングウェイペーパーの入った箱を盗み出す。

その後ルパンと不二子は、すぐさまマルセスの自宅があるジュネーブへと飛ぶ。

そしてマルセスにそっくりに変装したルパンは、マルセスの屋敷から箱の鍵を盗み出すことに成功する。

 

しかし、追ってきたマルセスとマッシュによってルパンたちは捕獲され、箱と鍵を奪われたばかりか、車ごと海に沈められてしまう。

 

つまり、結果的には箱と鍵の両方をマルセスが手にしたことになる。

マルセスは早速コンサノの元へ行き、法外な条件を突きつける。

しかし、マッシュの裏切りに会い、マルセスは殺されてしまう。最終的には、コンサノがカギと箱を手に入れ、ヘミングウェイペーパーを手に入れることとなった。

終盤

コンサノがヘミングウェイペーパーを手に入れたことにより、カルロスは総攻撃を開始。島では、大規模な戦闘が開始された。

財宝の分け前の割合をどのようにするかで折り合いがつかず、戦闘は泥沼化する。

ここで、再び用心棒同士を決闘させるという案が出される。

次元と五エ門は、ふたたび決闘することになった。しかも、今回は前回のように相撲を取って引き分けというわけにはいかない。

 

二人は、発掘現場の橋の上で決闘することとなった。

しかし、五エ門の機転により、二人は決闘を避けてその場から逃げることに成功。さらに、ルパン、不二子、マリアも助太刀に現れ、次元と五エ門を救い出す。

 

全員がそろい踏みしたルパン一味。実はルパンは、ジュネーブにおいて一時的に箱と鍵を手に入れた際、ヘミングウェイペーパーの中身をすべて撮影していたのだった。

ルパンは、ヘミングウェイペーパーの中身を読み上げる。

ヘミングウェイは、友人と共にコルカカ島を訪れ、地底に潜る。

そして、そこで宮殿を見つけたのだという。

 

ここでマリアは、「宮殿の話は聞いたことがある」と呟き、宮殿の場所をルパンに教える。

 

 

ルパンが読み上げた内容は、当然カルロスとコンサノも読んでいる。二人は再び手を組み、ヘミングウェイペーパーに書いてある”宮殿”へと向かう。

そこに、ルパン一味も続く。

 

ルパンたちはカルロス・コンサノ連合軍と出会い、一時的に戦闘になるが、悪天候のために崖崩れが発生してカルロス・コンサノ連合軍は壊滅する。

 

そしてルパンたちは、ついにヘミングウェイが残した財宝を見つけ出す。

そこには、奇麗に光る大量の石があった。この石の正体とは、なんと「ウラン238」。核兵器の原料となるものだった。

「このお宝は俺の趣味じゃない」ということで、この場から撤収しようとするルパンたち。

ここで、ルパンたちの前にマッシュが立ちはだかり、ついに次元とマッシュの最後の決闘が始まる。

 

しかし、勝負は一瞬で決着がつく。次元の撃った弾丸が、マッシュの頭を撃ちぬいたのだった。

ラストシーン

カルロスとコンサノは死に、宮殿も瓦礫の下に埋もれてしまった。これで、すべてが終わったことになる。

マリアのバーには、これで最後になるであろう酒を飲み干すルパンがいた。マリアにとってルパンは、ただの盗賊ではなく兄の仇をとってくれたという尊い存在になっていた。

マリアは、このバーの経営を続けるかどうか、自分でもわからないという。

 

そして別れ際、マリアはルパンにそっとキスをする。

 

 

最後、気合と共に箱に切りかかる五エ門がいた。しかし、なんど切りかかっても箱は切れない。

五エ門はついに諦め、「斬鉄剣でも斬れないものがあったのか…」と、斬鉄剣で軽く箱をたたいてみると、なんとその拍子に箱は真っ二つに割れるのだった。

考察及び感想

コルカカ島は文明未開化地?

この話に登場する”コルカカ島”という島は、文明未開の地であるということが推測されます。モデルは恐らく、地中海に浮かぶ”コルシカ島”。

 

マリアの話によると、カルロスとコンサノが乗り込んできたことによって島民が解放戦線を組織し、カルロスやコンサノと戦ったということです。

これはつまり、この時には島を統治する政府がなく、軍隊や警察もなかったということが読み取れます。

通常、お宝探しでもなんでも他国の領地へ向かって発掘作業をする場合、保安当局からの許可が必ず必要になってきます。カルロス・コンサノは、恐らく無断で乗り込んできたと思われます。

そして、その初代大統領がカルロスなのです。

 

コルカカ島の住民はこれまで、代表者を選出して政府を擁立するようなことはせず、原住民のようにひっそりと暮らしていたのでしょう。

例えていうならば、コルカカ島の住民がインディアン、カルロス・コンサノがフロンティアスピリッツを掲げた欧米人といったところでしょうか。

カルロスは国民投票で選ばれた?

カルロスは、「大統領」を名乗っています。ということは、国民投票により選ばれたということでしょうか?つまり、コルカカ島の住民も選挙に参加した?

 

一方、コンサノは「コンサノ一味」と名乗り、マフィア的な存在に甘んじています。これは、カルロスが一応大統領であることを認めたうえで、抗争を繰り返しているということになります。

 

これは想像ですが、ヘミングウェイペーパーが入った箱は、当初カルロスの宝物この中にありました。

コンサノは、マルセスと手を組んで鍵を手にするまでは何も手掛かりを持たない状況にありました。二人の力関係は、箱を持っているかどうかで決まったのでしょう。

次元の過去

次元は、数年前、マッシュと共に陸軍の給料輸送車を襲うという仕事をしていたということです。

劇中では、爆薬を使用して雪崩を発生させ、アメリカ陸軍を車ごと巻き込ませるというシーンがありました。

 

これってつまり・・・・強盗殺人!?

いやいや、ルパンたちは世界的な泥棒として有名ですが、人を傷つけてまでお宝を盗まないものと信じています。

雪崩に巻き込まれた場合の生存確率は低いものと思われます。

が、実はこれは計算しつくされていた犯行で、兵士たちは全員無事で怪我はなく、次元たちは現金だけを奪って逃走しようとしたのでしょう。

 

しかし、その後次元たちはマッシュによって全員殺されたのですから、陸軍兵士もきっと殺されているのかもしれませんね((+_+))

マリアのバーは、実は大儲け?

マリアは、すたれた街の中で、一人きりでバーを経営していました。

劇中では、あまり人でにぎわっているシーンはありませんでしたが、実は超大儲けをしていたのではないかと予想しています。

 

劇中、ルパンたちは何度もこのバーに訪れています。つまり、カルロス側からもコンサノ側からもそれなりに行きやすい立地にあったと考えられます。

そして、お客さんの中心となるのがカルロスとコンサノの兵士たちですが、実はこの兵士たち、とてつもない数がいるものと思われます。

 

ヒントとなるのは、カルロスとコンサノの戦闘による戦死者です。

最後の方では、カルロスとコンサノの戦闘でお互いに100人程の戦死者が出たということですが、近代戦において、戦死者の合計が200人というのはなかなか大規模な戦闘といえます。

そのように考えると、感覚的には両陣営合わせて2000~3000人近い兵士がいたのではないかと思われます。

 

つまり、2000~3000人近くの若い男たちが、マリアのバーの近くにはうようよいるということ。しかも、バー以外に娯楽施設は特に見当たらない。マリアの独壇場。

連日お客さんが押しかけて、席は常に満席。忙しくて忙しくて仕方ない、という毎日だったのではないでしょうか?

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