【考察】「ラビッド」(ネタバレ)希少価値が高い、クローネンバーク監督の初期作品

ホラー

作品紹介

制作 1977年
ジャンル ホラー
監督 デヴィッド・クローネンバーグ
キャスト マリリン・チェンバースフランク・ムーア

『ラビッド(Rabid)』は、1977年、クローネンバーグ監督によって作成されたパニックホラー映画。

なお、この映画は、2016年にシルビア・ソスカとジェン・ソスカの姉妹監督によってリメイクされています。

※ ↓はリメイク版の予告

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この映画のみどころ

この映画は、50年近く前の映画だというにもかかわらず、

未知のウィルスに人間が感染→狂暴化→他の人間を襲う→襲われた人間はウィルスに感染→狂暴化→さらに他の…

という、ゾンビ映画等に見られる今日のホラー映画のお約束パターンが組み込まれているところが大きな特徴です。

(じゃあ一体このお約束パターンはどこからくるのか?という疑問は、「考察」で調べているので、気になる方はご覧ください。)

従って、ホラー映画に慣らされ過ぎた現代人が見ると、「あー、ゾンビになって人を襲うパターンの映画ね、はいはい」と思ってしまうかもしれませんが、そこは50年以上前の映画ということで、生暖かい目で見てもらえるとクローネンバーグファンの私としても嬉しいです(笑)

 

 

ちなみに「ラビッド」とは、ウサギ意味を示す「Rabbit」ではなく、「狂犬病」という意味を示す「Rabid」です。

狂犬病とは、野犬などに噛まれると感染し、感染すると興奮・錯乱・幻覚・水を怖がるなどの症状に陥って非常に攻撃的になり、最後には100%の確率で死亡するという恐ろしい感染症です。

本作に登場するウィルス(らしきもの)も、まさに狂犬病のような特徴を持っていて、瞬く間に感染拡大していきます。

この記事を書いたのは2022年10月。下火になったとはいえ、未だコロナウィルスが存在感を示しています。

この映画が、なんとなくコロナウイルスのパンデミックと重なって見えてしまうのは私だけでしょうか?

 

ちなみにこの映画は、古すぎるせいかDOVで配信されておらす、どこのTSUTAYAにも置かれていません。

どうしても観たい方は、ネットで個人売買されているところを購入するか、またはリメイク版を見るしかありません。

登場人物

ローズ

悲劇のヒロイン。恋人とバイクでドライブ中に大事故に遭い、全身に大火傷を負う。

ケロイド医師の中性皮膚科手術により一命をとりとめるが、それ以来食べ物を受け付けず、人間の血を啜って腹を満たすというとんでもない怪物になってしまう。

ローズは今夜も、人の血を求めて街をさ迷い歩く。

ハート・リード

ローズの恋人。ローズと共に事故に遭うが、骨折と脱臼だけで済んだのが不幸中の幸い。

何時までもローズのことを想い続ける、一途な男。

ダン・ケロイド医師

ケロイド医院の医院長。今回の事件における諸悪の根源。

体のどこの部分にも対応できるという中性皮膚化手術に、絶対的な自信を持っている。ローズの命を救うためと、半ば実験的に中性皮膚化手術を施す。

ミンディ・ケント

ローズの親友。

怪物になったことを知らずに、ローズを自宅に匿う。

ストーリー(細部)

序盤

ハートローズはバイクでドライブ中をしていると、故障中のバンにぶつかり大事故を起こす。

ハートは骨折だけで済んだが、ローズは全身大やけどの重傷。救急車でケロイド医師が運営するケロイド医院に運び込まれる。

ローズの命を救うには、今すぐ中性皮膚化手術を行うしかない。そう判断したケロイド医師は、ローズにこの特殊な手術を施す。

手術の甲斐あって、ローズは一命をとりとめる。ローズはそのまま、ケロイド医院に入院することとなった。

 

しかし、この後ローズに異変が起こる。

突然ベットから起き出したかと思うと、男性職員を誘い出し、”何か”でその職員の脇を突き刺した。その男は、その場で気絶する。

なんとその男性は、ローズに襲われた記憶は全く無く、何故自分が怪我をしたのかが理解できていないのだった。

 

その後もローズは、夜な夜な奇行を繰り返す。病院を抜け出しては街の男性と接触して、”何か”で男性を突き刺していく。

そして、ローズに”何か”で突き刺された者は、決まってその時の記憶を失っているのだった。

ローズの奇行はさらにヒートアップし、ケロイド医院に通う女性患者を溺死させるという殺人行為にまで及んでいった。

なぜローズは、このような奇行に走るのか?

中盤

その頃、ローズに襲われた最初の男性に異変が起きていた。

タクシーで移動中だったその男性は、急に挙動不審になり、口から緑色の泡を吐き出しながら運転手に襲い掛かったのだった。

二人目に襲われた男性も同様、突然奇声を上げて店員に襲い掛かっていった。

 

そんな騒ぎが起きているとはしらず、ローズはケロイド医師の診察を受けていた。なんとローズの左わきには小さな穴が開き、その穴から得体のしれない棒状の”何か”が飛び出している。

これまでローズに襲われた男性たちは、この”何か”で突き刺されていたのだった。

そして診察中のケロイド医師も、ローズの餌食になる。

ローズの”何か”に突き刺されたケロイドは、その後の手術中、突然暴れ出して周囲の人間を襲いだした。病院は大混乱に陥る。

 

病院を抜け出したローズは、その後、人間を襲いながら親友のミンディの家へと向かっていった。

恋人のハートは、ローズの行方を追い続けていた。

 

ローズに襲われた人間たちは、ゾンビのような状態になって他の人間を襲っていった。そして感染者に噛まれた人間は、同じように狂暴化して他の人間を襲うようになるのだった。

世間では被害が拡大し、何百人もの人間が死んでいった。

(ローズは、自分の襲った人間がゾンビになるとは認識していない)

終盤

ミンディの家に到着したローズは、何かと理由を付けて外出した(ミンディは既にハートと連絡を取り合っており、「ローズを外に出してはダメ」と言われている)。

ここでもローズは、次から次へと人間を襲っていった。

TVでは連日この問題が報道され、「感染者を射殺せよ」などと呼び掛ける始末だ。

空港などでは厳重に取り締まりが行われ、ワクチン接種証明書を持っていない人間は、直ちに別室へと連れていかれた。

そしてついに、ローズが感染源であることが特定されてしまう。

 

甲斐甲斐しくローズの世話を続けるミンディだったが、その生活もついに終わりを迎える。空腹に耐えかねたローズが、ミンディを殺して食べてしまったのだ。

その現場に、ハートがついに到着する。

ハートは怒っており、世間で騒がれているウイルス騒ぎは、すべてローズが発端であることを打ち明ける。ショックを受けたのはローズだった。まさか自分のせいで、こんな騒ぎになっているとは思っていなかったのだ。

ローズは、ハートが頭を撃って気絶した隙に部屋を抜け出し、”ある実験”を行うことにした。

 

とある男性をいつものように”何か”で突き刺し、その男性が感染者になるかどうかを同じ部屋で観察するというものだ。

ハートは電話で、涙ながらに「やめろ!」と叫ぶが、ローズは聞こうとしない。

そしてついに、ローズは感染者に襲われてしまうのだった。

ラストシーン

次の日の朝、ゴミ捨て場にはローズの死体が転がっており、野犬に食われていた。

清掃員がやってくると、ローズの死体を担ぎ上げて、ゴミ収集車の中に放り込む。

ローズの死体は、収集車のローラーの中に巻き込まれていった。

考察及び感想

「暗い」「重い」「救われない」という3つを踏襲しているところ、ローズの脇から飛び出る得体のしれない棒状の”何か”、時折流れるグロシーンなどは、あぁクローネンバーグ監督の映画なんだなと思わせてくれる一作でした。

しかし、クローネンバーグ監督の映画はどこか小難しいストーリーが多いのですが、この映画は珍しく解りやすいストーリーと言えます。

クローネンバーグ初心者にはおススメの映画と思います。

 

ウィルスに感染すると狂暴になり人を襲う→噛まれた人はウィルスに感染し人を襲うようになる→感染が広がる

まさに、ゾンビ映画の王道パターンとも言える図式です。

今ではお約束とも言えるこの構図ですが、「もしかして、この構図を始めて産み出したのがこの映画なのではないか!?」と思い、試しに調べてみました。

結果、今のゾンビ映画王道パターンを産み出したのは、1968年に放映された「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」であるということが分かりました。「ラビッド」が最初じゃなかった、残念!

ラビッドは1977年放映ですので、ナイト・オブ・ザ・リビングデッドとは年代的に近いと言えます。恐らくラビッドは、ナイト・オブ・ザ・リビングデッドが成功を収めたことによりゾンビ映画王道パターンが確立され、その流行に乗った形で作られたのかなと私は推察するわけであります。

 

それにしても本映画のパンデミックは、ローズさえ何とかすれば、実はたいしたことないんじゃないかと思うんです。なぜかというと、本映画のウィルス感染者は、狂暴化した後は勝手に死んでしまうという特性があるからです。

大人気ゲーム「バイオハザード」のように、誰かに首を吹っ飛ばされるまでは町中をさ迷い歩くというのであれば恐らく感染はネズミ算式に増えていくでしょうけども、勝手に自死してしまうのであればそこまで悪化はしないでしょう。

映画を見ていた感じ、感染者が襲う人の数は1~2人くらいが平均っぽい。一人に噛みつくとだいたい大騒ぎになり、周囲の人間は逃げてしまうので、クラスター感染が起きづらい状況になっているのです。

従って、一週間くらい我慢して家に引きこもり、今の感染者たちが自死するのを待っていれば、きっと感染は収まるでしょう。

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