作品紹介
制作 | 2020年 |
ジャンル | アニメ |
監督 | 小池健 |
キャスト | 木村拓哉、蒼井優、浅野忠信 |
『RED LINE』は、2010年、すべて手描きで描かれたカーアクションアニメとして放映されたアニメです。
監督は、『アニマトリックス ワールド・レコード』で知られる小池健さん。
木村拓哉、蒼井優、浅野忠信などの超豪華声優陣を揃えたことでも話題となりました。
このアニメのみどころ
「ずっとずっと未来の話 車が4輪を捨ててエアカーに移行する時代に 失われていくその魂にこだわり疾走する 愚か者たちの物語」
という、なかなか粋なオープニングで始まるこのアニメのみどころは、なんといっても約50分間に及ぶド迫力のカーアクション。
『RED LINE』と呼ばれる銀河最速を決める大レースに向けて、あくまでも4輪に拘り続ける”愚か者たち”が熱いカーレースを行う訳なんですが…
監督の小池健さんは、CGが溢れかえるこの時代において、本作をすべて”手描き”で貫き通しており、作成期間は約7年、使用されたメガは10万枚を超えるということです。
従って、肝となるカーアクションシーンも手描き感が満載。CGと異なり、人間が手掛けた独特の躍動感が感じられます。「これ全部手描きで描いたのかー」と思うと、ため息しか出ません。
CGが溢れかえるこの時代において、小池健さんもまた、失われていく魂にこだわり続けた”愚か者”だったという訳ですね。
とにかく、前半の20分と終盤の30分のレースシーンは、一度は映像で見てみて欲しい。そのシーンだけは、何回観ても飽きないです。
え?車やカーレースの知識がない?大丈夫、そんなもの必要ありません。「車は人が運転する」ということだけ知っていればOK!
登場人物
JP
本作の主人公で、本名はジョシュア・パンクヘッド。矢吹丈もびっくりの巨大なリーゼントが特徴(矢吹丈はリーゼントではないが…)。ニックネームは「すごく優しい男」。
普段はキザでクールなキャラを気取っているが、実はシャイボーイ。
若かりし頃、暇つぶしついでに観戦していたレースにおいて、
車がクラッシュしたにもかかわらず泣きながら車体を引き起こしてレースに復帰しようとする女レーサーを目の当たりにする。その光景に感動し、JP本人もレーサーを志すようになる。
愛車はトランザム20000改WR。1レースにつき2回だけ、起爆剤をセットすることにより爆発的な末脚を発揮することができる。他のレーサーと異なり、車体には武器を一切装備せず、己の腕だけで勝負することがポリシーの硬派な男。
レーサーとしての腕は超一流。
レースの不正が発覚したため警察に逮捕され、現在拘留中の身。保釈金を稼ぐために、メカニックで相棒のフリスビーと組み、わざと負けることによって裏で報酬を得る八百長レースを繰り返している。
フリスビー
JPとは長い付き合いで、固い絆で結ばれている。マネージャー的存在であり、トランザムのメカニックでもある。そして、JPに八百長レースを持ち掛ける張本人。
メカニックとしての腕は超一流で、どこからともなく超優秀なエンジンや車体を仕入れてくる。
JPがレース中は、八百長を約束した商売相手と共にレースを観戦し、JPが勝ちに行こうものなら手元の自爆スイッチを起動させ、トランザムを破壊して強制的に負けレースにしてしまう。
稼ぎのために八百長稼業に手を染めてはいるものの、心の中では密かにJPがレーサーとして大成することを祈っている。
ソノシー・マクラーレン
本作のヒロイン。ニックネームは「チェリーボーイ・ハンター」だが、これは本人が知らないところで勝手にそう呼ばれているだけ。(別に童貞好きなわけではない)
愛車は、クラブソノシー。ホバーエンジンを搭載しており、水上でも走行することができる。
レーサーだった父親に憧れて、本人もレーサーを志す。
男には全く興味が無く、人生の全てをレースに捧げている。負けず嫌いな性格で、どんな絶望的な状況に追い込まれたとしても、絶対に勝負を諦めたりはしない。
ソノシーが7歳の誕生日に父親からもらった青い宝石「スチームライト」は、とんでもない爆発力を秘めている起爆剤なのだが、この爆発力に絶えられる人間はいないと言われている。
ソノシーは、スチームライトをネックレスにして保管している。
夢は、銀河最速を決めるレース『RED LINE』で優勝すること。
モグラオヤジ
ジャンク屋であり、凄腕の整備士でもある。
JP、フリスビーと共にチームを組んでREDLINEに挑むのだが、フリスビーとは馬が合わないらしく、すぐ喧嘩をする。
酒に酔うと陽気になり、イケイケどんどんになってしまう。
マシンヘッド鉄仁
銀河一を決める大レース『RED LINE』の第4回~第7回までを連続で優勝し、20年間王者として君臨している本作最強のレーサー。愛車は、ゴットウイング。
マシーンと共に自分自身も改造を続け、いつしか体と機械が一体化するまでに進化してしまう。
額に漢字で「鉄仁」と書かれているのがポイント。
2mを優に超える立派な体格を持ち、相手が軍人であろうが一発で吹き飛ばしてしまうほどの腕力がある。態度・言動ともに威厳があり、決して卑怯な真似はしない。常に王者としての風格を漂わせている。
JPと同様に、車体に武器などは装備せず、己の腕(というか身体)のみで勝負するレーサー。
超加速装置「プラチナ加速」や、己の腕をタイヤに変えて代用するなど、まさに全身全霊でレースに挑む。
ボイボイ&ボスボス
リンチマン&ジョニーボーヤ
超金持ちスーパーグラス姫の教育係を務める、お色気たっぷりの姉妹レーサー。二人合わせて、「スーパーボインズ」。愛車は、ボインカー(どんだけボインやねん!)。
お色気たっぷりの攻撃で敵を翻弄する。
リンチマン&ジョニーボーヤ
賞金稼ぎを生業とする、ヒールヒーローレーサー。愛車は、リンチカー。
トラヴァ&シンカイ
本作の監督である小池健の別作「TRAVA」から特別出演。
元ボストン軍団の団員。
ゴリライダー
レース前日においても交通取り締まりを行うという、仕事熱心なダーティーポリスマン。愛車は、ゴリラタンク。
レース前日においても交通取り締まりを行うという、仕事熱心なダーティーポリスマン。愛車は、ゴリラタンク。
副官と不倫疑惑があるが、その点を突き詰めようとした記者を、カメラのまわっている前で殴り飛ばしている。
スピード違反者には容赦ないのに、自分は相当クレイジーなレースに参加するという矛盾…
三木&轟木
我らが地球から出場するレーサーコンビ。愛車は、セミマル。
まるでセミの幼虫のように、地面を掘り進めて進むことができる。
デイズナ(弟)
ロボワールド所属のボストン軍団所属。自分を残して除隊したトラヴァとシンカイのことを恨んでいる。
RED LINEを崩壊させるため正体を率いて出撃するが、走っているうちに、トラヴァたちに対しライバル心が芽生えてしまい、任務を無視してレースに参加してしまう。
ロボワールドの大統領
その名のとおり、ロボワールドの大統領。
REDLINEが国家機密満載のロボワールドで開催されることを知り、怒り心頭。軍隊まで導入し、何が何でもレースを妨害しようと企む。
ストーリー(細部)
序盤
銀河最速を決める5年に一度の大レース『RED LINE』。宇宙中のレーサーが、この大レースに出場するために、日々己の腕を磨いていた。
ドロシー星において行われたRED LINEの前哨戦『YELLOW LINE』では、「すごく優しい男」のJPはいつものように八百長レース。途中、レーサーの魂に火が付いて本気で勝ちに行くJPだったが、そこは相棒のフリスビーが上手くコントロール。
自爆スイッチを起動させて、JPのトランザムはクラッシュ。予選敗退となった。漁夫の利を得る形で優勝したのは、「チェリーボーイ・ハンター」のソノシー・マクラーレン。
(ここでは、約20分にもわたって非常に見ごたえのあるレースが展開されています。文字では伝えられないので、是非とも映像をご覧になってください。)
病院のベットで、八百長で得た報酬を山分けしながらもため息をつくJPとフリスビー。
ここで唐突に、JPがRED LINEの出場権を得たという知らせが入る。出場レーサーにキャンセルが出て、ファンの人気投票で上位にいたJPが繰り上がりで出場することとなったのだ。
突然にやってきた幸運に、JPはレーサーとしての魂を燃やし始める。
中盤
RED LINEに出場するため、エウロパス星に降り立ったJP。ジャンク屋のもぐらオヤジに、『YELLOW LINE』で大破した愛車トランザムの整備をお願いする。
もぐらオヤジは、トランザムに武器を積むよう勧めるのだが、JPは、あくまで走りのみで勝負するという己のポリシーを曲げることはしなかった。
結局トランザムは、フリスビーともぐらオヤジの2人でチューンすることとなった。二人は、喧嘩をしながらもトランザムの整備を進めていくのだった。
トランザムを整備に出している間、JPは街の酒場へと繰り出す。そこには、RED LINEに出場予定のレーサーが葉室っていた。
YELLOW LINEの覇者ソロシー、そして、前回RED LINEの覇者鉄仁もそこにいた。
JPがソロシーをナンパしていると、酒場にロボワールドの軍隊が乱入。そして、RED LINEのレース中に軍隊を出動させて妨害することを宣言するのだった。
ソロシーを自宅まで送り届けたJPは、若い頃に会った、とある負けず嫌いの女性レーサーのことを思い出していた。JPは、この女性レーサーの影響を受けてレーサーを志すこととなったのだ。
そしてその女性レーサーとは、ソロシーのことだった。
そしてJPは、ソノシーとの出会いによって、レーサーとしてのプライドに火が付いた。
一方で、ソノシーはJPが八百長で逮捕された過去があるというニュースを見る。JPに対して興味を惹かれて初めていたソノシーだったが、そのニュースを聞いた瞬間、軽蔑するかのような態度をとるようになる。
終盤
RED LINE当日、JPはフリスビーから「わかってんだろうな?(要約:八百長レースなんだから、わざと負けろよ)」と声を掛けられる。
しかし、レーサーとして勝負に徹することを決めたJPは、既に八百長など眼中になかった。従って、八百長が成立するかどうかは、フリスビーがトランザムの自爆装置を起動させるかどうかにかかっていた。
八百長の客先に赴くフリスビー。予定通りJPが負ければ、フリスビーは多額の報酬を受け取ることができる。
そうして、ついにRED LINEがスタートする。ロボワールド軍の妨害が行われるが、各レーサーは、弾幕を掻い潜りながらも熱いレースを展開する。
(ここから約30分間、ド迫力のレースが繰り広げられます。是非とも、DVDなどの映像でご覧ください。)
ところが、ロボワールド軍の攻撃を受け、ソノシーの車がクラッシュ。レース続行不可能となってしまう。
JPは、リタイアしたソノシーをトランザムに乗せて、何が何でも一緒にレースを走り切ろうとする。
ここでソノシーは、なぜJPは八百長により逮捕されたのかを聞く。
JPは8年前、フリスビーがマフィアと組んでまで調達した車体に乗って負けた。その時JPは、フリスビーを庇って警察に逮捕されたのだった。もともとJPは、自分を信じて車体を調達してきてくれるフリスビーに恩義を感じていた。
その話を聞いたソノシーは、「RED LINEに勝ってその借りを返すべきだ」と語り、JPと一緒にトランザムに乗ることを決意する。
JPは、ソノシーの夢(RED LINE優勝)を叶えてることを約束する。
その頃フリスビーは、なかなかレースを諦めないJPに痺れを切らした八百長の客先から「金をやるから自爆装置をよこせ」と脅しかけられていた。しかし、フリスビーは「俺は最後までレースが見たい。JPが勝つところを見たくなった」と言って強く断る。
激怒した客先は、JPをリンチにかけようとするが、土壇場でもぐらオヤジが助太刀。
さて、レースは終盤。JP&ソロシーと鉄仁の二人が、激しトップ争いを繰り広げていた。
ここで鉄仁は、大技「プラチナ加速」を敢行。車体がバラバラになりながらも、ものすごい加速でトップに躍り出る。
そんな鉄仁に対抗するため、ソロシーは父親の形見であるスチームライトをトランザムの加速装置に放り込む。
「約束でしょ、私の夢を叶えてね」
トランザムは、鉄仁を上回る加速で猛追。JPは、”人間には耐えられない”とまで言われているスチームライトの加速に絶えながら、必死にハンドルを握る。
そしてトランザムは、激しすぎる加速のため徐々に分解していくことに…(もやは車ではない)
そしてゴールの瞬間、JPとソノシーは、完全に瓦解したトランザムから空中へ飛び出し、JPの長いリーゼントの差で1位フィニッシュ!(もはやレースではない…笑)
各レーサーが見上げる中、JPとソノシーは抱き合ってキスをする。
1分で振り返るストーリーまとめ(忙しい人向け)
忙しい人向けに、本作のストーリーを1分で把握できるようにまとめてみました。
✔ しかし、ひょんなことからJPも『RED LINE』に参加できることとなる。JPは、壊れた愛車トランザムを修理するために、エウロパス星へ。
✔ ここでJPは、『YELLOW LINE』の優勝者であるソノシーと出会う。なんとソノシーは、JPがレーサーを志すきっかけを作ったレーサーだった。ソノシーとの出会いにより、JPは、レーサーとしてのプライドを取り戻しつつあった。
✔ 『RED LINE』当日、JPはフリスビーとの約束を無視して勝負に徹する。フリスビーも、「JPが勝つところを見たくなった」と言って八百長を拒否。
✔ 結局JPは、途中リタイヤしたソロシーを乗せ、1位でゴールイン。
興味が湧いた方は、是非ともストーリー(細部)も読んでみてくださいね!!
考察及び感想
※ 本作は、考察が必要な程の複雑な伏線などは無いため、感想を中心に書いていきます。
このアニメは、前半約20分と最後の約30分、計約50分のレースシーンに面白さを全部りしている作品ですね(ストーリーが詰まらないという訳ではない)。
冒頭と最後に流れるレースシーン。これが本当に迫力あって見ごたえがありました。ストーリー関係なく、レースシーンだけ100回見ても飽きが来ないと思います。
個人的には、加速装置を使って加速する際に「いいい~~~~っっ!!!」ってなるJPやソノシーの顔がとても好きです(笑)
あと、JPのキャラがいいですね。クールでキザなハードボイルド風の男を気取ってはいますが、ソノシーに忘れ物のスチームライトをこっそり届けた帰りなんかは、舞い上がってしまってバイク事故を起こす始末。「お前中学生?笑」と思いたくなるくらい純情です(笑)
JPの周りでは、殴り殴られなどの喧嘩が絶えない環境ではありますが、JPはこの作品でほぼ唯一といっていいくらい誰にも危害を加えていないキャラです。「すごく優しい男」の異名は伊達じゃありませんね。
あと、当初は八百長レースに手を染めながらも、ソノシーとの出会いを通してレーサーとしてのプライドを取り戻していく様は、見ていてとても清々しい。
さらに、ライバルたちの存在もまた面白い。「存在が空気」などというキャラは一人もいなくて、全員が見せ場を持っています。
特に、トラヴァとシンカイは、小池健監督の別作品「TRAVA」からの特別出演だそうで。この記事を書いた時点で私はまだこのアニメを見たことがありませんが、「TRAVA」のファンの方からすればたまらないのでは?
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