『スカイ・クロラ』の作品紹介
製作 | 2008年 |
ジャンル | 戦闘機アクション |
監督 | 押井守 |
キャスト | 菊地凛子、加瀬亮、谷原章介、山口愛 |
『スカイ・クロラ』は、2008年、押井守監督によって製作された戦闘機アクションアニメです。
押井守監督は、『パトレイバー』『イノセンス』『攻殻機動隊』などを手掛けた、日本を代表する映画監督。
『スカイ・クロラ』のみどころ
このアニメのみどころは、なんといっても戦闘機同士の空中戦でしょう。
仮想の機体とは言えめちゃくちゃリアル風に描かれていて単純にかっちょいい!そして、エンジンやバルカン砲の音が、「本物?」と疑い
たくなるくらいです。それに、尾翼の汚れ具合、高速飛行に伴う空気を切り裂く感じや、コントレイル(飛行機雲)を引く様子など細かいところまでこだわって書いているので、臨場感がすさまじいです。
きっと、映画館のような場所で、しかも爆音で視聴出来たら相当迫力があるでしょうね。
飛行関係で見ると「いや、そうはならんやろ!」という場面もあることはありますが、そんな野暮なツッコみ一旦置いておきましょう。
そして、やはりこのアニメでも出てきましたね、旧日本海軍が開発した幻の局地戦闘機『震電』っぽい戦闘機。
『震電』っぽい戦闘機は、以前紹介した『とある飛行士の追憶』でも登場してました。やはりあの独特なフォルムは、戦闘機ファンたちを引き付けて止まないようですね。
まず最初に度肝を抜かれたのは、オープニングでの空中戦です。本作最強のパイロット”ティーチャー”が、戦闘機「散香」3機を瞬く間に撃墜する力の入ったシーン。
「そうはならんやろ!」機動は置いておいて、飛行機の躍動感がものすごい!機体が被弾した感じやパイロットに弾が命中して出血する感じなど、本当に目の前で実戦が行われているような迫力を体験することができます。
ストーリー中盤、数機の爆撃機に100基以上の護衛戦闘機を付けて敵国に攻めていくシーンも、なかなか迫力があります。「いやいや、護衛多すぎやろ!!」とツッコんでしまいそうになりますが、これはファンタジーの世界なので良しとしましょう笑
とにかく、飛行機が飛んでいるシーンは迫力満点で見ごたえ十分!
あと、ストーリーの肝を握るのが「キルドレ」と呼ばれる存在。
序盤から優一たちは、「僕たちは子供」「大人になれない存在」みたいなことをしゃべります。一体どういうことかと見ていると、それは彼らがキルドレという特異体質的な存在なのだということが分かります。
どうもこの世界では、パイロットはキルドレが選ばれることが一般的のようです。
考えてみれば、パイロットは全く歳をとらないキルドレの方がいいのかもしれませんね。操縦のような直感的な操作は、老人よりも若者の方が吸収が早いですし、歳をとると、首が痛いだの腰が痛いだの血圧が高いだのと、いろいろ不具合が生じますからね笑
表題に「もう一度、産まれてきたいと思う?」とありますが、この言葉もまさにキルドレの存在概念をほのめかす言葉。そして、水素が仁郎を撃ち殺した動機にも繋がってきます。
主人公の優一が、キルドレとして生きるという本当の意味を知るシーンが、なんとも衝撃的なんですよね。
最後に、この『スカイ・クロラ』というアニメの立ち位置について説明します。
このアニメは、全6章からなる小説が原作で、『スカイ・クロラ』の他に『ナ・バ・テア』『ダウン・ツ・ヘヴン』『フラッタ・リンツ・ライフ』『クレィドゥ・ザ・スカイ』『スカイ・イクリプス』があるようです。
それぞれ時系列が異なり、『スカイ・クロラ』に関しては一番最後にあたるということです(刊行順では一番最初)。
本作では、最強の敵パイロット”ティーチャー”の正体や、ある程度成長すると一切歳をとらなくなる異常体質な人間”キルドレ”の謎などが、明らかにされないまま終わっていますが、他の作品を見てみるとその謎が初めて分かる、という刊行構成をとっています。
このアニメを見て「スカイ・クロラシリーズについてもっと知りたい―!!」って思った方は、小説の方を見てみることをお勧めします。
必殺技「ストールターン」について考察
さて、ここでは優一やティーチャーの必殺技「ストールターン」について、元戦闘機パイロットの私がガチ考察していきたいと思います。
そもそも、ストールターンとはどんな技なのか?
アニメを見る感じでは、ディフェンスを背負っての機動中に、機首を90°上に向けたまま故意的に機体を失速(※1)させて相手のオーバーシュート(※2)を誘い、彼我のDO(※3)を逆転させるという技だということが推察できます。
※1 失速:航空機の浮揚を維持できない程度までに速度が低下する現象。失速すると航空機は、適切な対処方法を取らない限り、操縦困難となりながら高度が落ち最悪墜落する。
※2 オーバーシュート:ドックファイト時において、攻撃側が勢い余って相手機を追い抜いてしまう現象。オーバーシュートが起こってしまうと、攻撃側と守備側の立場が逆転してしまう。
※3 OD:オフェンス(Offence)とディフェンス(Defence)の総称。
図解すると、だいたいこんな感じです↓
なんとなくですが、Su-27フランカーなどの極東系戦闘機がたまにやる戦闘機動「コブラ」に似ている気がします。
じゃあ、このストールターンが実際にできるのかというと…残念ながら、ほぼ無理でしょうと言わざるを得ない。
そもそも、プロペラ機でこのコブラ的機動は不可能です。似たようなことは出来るかもしれないけど、戦闘機動には到底使えません。
Su-27はなぜコブラができるのか?それは、可変ノズルと言って、お尻についているノズル(ジェット気流を吐き出すところ)がグルグル動くという特殊な構造をしているからです。
作中に出てくるプロペラ機や、もちろん私が搭乗していたF-15にだって空力学的に無理です。
第一、Su-27のコブラも、使えたからと言って果たして本当に空中戦で有利に立てるのか怪しいもんです…
100万歩譲ってこのコブラ的機動ができたとしましょう。相手をオーバーシュートさせた後の追撃が非常に困難です。
この技は、故意的に自機を失速させているのですから、失速した航空機はまともな機動なんてできません。パイロットは、失速をリカバリーさせるだけで精いっぱいのはずです。
仮に、失速ではなく失速ギリギリまでの減速だったとしても、そんなヘロヘロの状態で戦闘機動なんで不可能です。
ストールターンは上図の②~③ように、ほぼ垂直上に機首が向いている状態から、(わざわざマイナスGをかけて)下向きに強引に機首を下げていますが、こんなむちゃくちゃな機動は速度が乗ってる状態だって無理ゲーです。
Su-27がなんとかかんとかやっているのも、やはり可変ノズルのおかげです。
相手をオーバーシュートさせたはいいけれど、そこから自分は何もできず相手はそのまま悠々と飛び去っていく…という残念な結果になってしまうことでしょう。
以上、元戦闘機パイロットによるガチ考察でした!
『スカイ・クロラ』のストーリー(細部)
戦闘機「散香」のパイロットである函南優一は、戦争請負会社「CAIRN」の基地に降り立った。どうも優一は、欠員となった栗田仁郎の後任者としてこの基地に配属されたようだ。
この基地のボスは、草薙水素という元パイロットの女だった。
しかし、優一が前任者の栗田仁郎のことを上司の草薙水素に尋ねても、水素は口を固く閉ざし答えようとはしない。
仁郎の愛機だった散香は残っているため、撃墜されて死んだというわけではないようだが…
そんな一種の不自然さを感じる優一を、基地の仲間たちは快く迎えてくれた。特に同部屋の土岐野 尚史はいつも明るくかつ豪放磊落な性格で、優一の良き友人となった。
新天地での生活もようやく板についてきた頃、優一は不穏な噂を耳にする。
どうやら前任者の仁郎は、ボスの水素に銃で撃ち殺されたらしい。
この噂は本当なのか?仮に本当だとしたら、なぜ水素は部下である仁郎を撃ち殺したのか?
以後の展開
出撃を繰り返しながらも、水素との関係を深めていく優一。
最初はクールな態度で接していた水素も、徐々に女の顔を見せるようになってきます。
そしてある時、水素は優一にとんでもないことを聞いてきます。
「あなたも殺されたいの?」
この質問の意味とは?それに、仁郎の死と何か関係があるのか?
そんな中、敵戦争請負会社のエースパイロット”ティーチャー”が猛威を振るい、優一の仲間たちは一人また一人と撃墜され死んでいきます。
そしてある日、優一は自分たちの呪われた運命に気付いてしまうのです。
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