「テネット」作品紹介
製作 | 2020年 |
ジャンル | アクション |
監督 | クリストファー・ノーラン |
キャスト | ジョン・デヴィット・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、ケネス・ブラナー |
今回紹介する『TENET(テネット)』は、時間遡及をテーマにしたSF映画で、その制作には200億円以上をつぎ込むほどの力の入った映画となっております。
特に、視覚効果を売りにしている作品で、第93回アカデミー賞で視覚効果賞を受賞しています。
個人的には、近年まれにみる良作映画だ思いました。
「テネット」のみどころ
この映画一番面白いところは、売りにしている視覚効果です。初めて見たとき、本当に衝撃が走りました。
この映画は、主人公たちが過去や未来を自由に行き来するという、タイムスリップが一つの大きなテーマとなっています。
タイムスリップといえば、スピルバーグの名作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を始めとして多くの作品で取り上げられてきたテーマですが、この作品はちょっと違います。
これまでの作品は、過去や未来に移動した後、登場人物たちの時間は未来の方に進んでいきます。
しかしテネットは、リアルタイムで時間を遡ります。つまり、通常の時間軸で生活している人からすれば、過去を遡っている最中の人の動きは、まるでDVDを逆再生しているかのように逆動作に見えてしまうのです。
そして、通常の時間軸に存在する人間と、リアルタイムで時間遡及している人間が、同じ空間で同時に存在するのです。この映画は、この摩訶不思議な現象を映像化しているのです。
一体どうやって撮影しているんか?まったく想像がつきません。
「テネット」の考察及び感想
時間の逆行がテーマの映画でしたが、ストーリー進行が複雑すぎて、初めて見る方は頭が混乱すると思います。
私も、2回連続で見ることによって、ようやく内容が理解できたといった感じでした(ただ単に私の理解力が低いんじゃないか説)。
頭を混乱させる原因は、再三書いてきたとおり、この映画が二つの交差する時間軸について描かれているからです。言葉に表すのがとても難しいので、図にしてみました。
なんといっても、時間遡及している最中の人間を目撃した人間なんて、人類史上存在しないですからね(もし「見たことある」という人がいれば、コメントください)。
2回目を見ると、1回目は「?」ってなっていたシーンも、2回目は「あー、そういうことだったのだ」と合点がいきます。そういう意味で言えば、伏線の回収がものすごい映画でした。
総じて言えば、近年稀に見る優秀な映画だと思います。是非とも皆さんには見ていただきたいと思います。
「テネット」登場人物
主人公(無名)
元CIAのエージェントだったが、あるミッションをきっかけに超極秘任務を与えられることになる。その極秘任務について細部は不明であるが、第3次世界大戦を防ぎ、ひいては人類を救うというものらしい。
特殊部隊出身なだけに、非常に腕が立ち、どんな過酷なミッションでも恐れずに挑むことができる。また、仲間思いの一面もあり、同僚が死んだことで涙を流すシーンもある。
ニール
主人公の相棒で、主人公のサポートに全力を注ぐ。鍵の開錠作業を得意とし、電子ロックであろうとなんだろうと、どんな扉でも短時間で開けてしまう。
また、なぜか主人公の性格や嗜好なども熟知している。本人は「プロだから調べるのは当たり前だ」と言っているが、本当にそうだろうか・・・?
アンドレイ・セイター
ロシア出身の武器商人で、主人公とは対立関係にある。嫉妬深く、独占欲が強い性格。武器売買により巨額の資産を産みだすことに成功し、傍には常に用心棒を抱えている。
健康状態が気になるらしく、常に血圧を測っている。
キャサリン・バートン
セイターの妻だが、すでに夫婦関係は破綻しており、愛情よりも憎しみの方が強くなってきている。一人息子のマックスを溺愛している。
美術品の鑑定を仕事としている。
プリヤ・シン
武器商人である初老の女性。夫のサンジェイ・シンの方が業界的には有名だが、それは表向きの話で、実はプリヤが裏で糸を引いている。
セイターの正体を突き止めようとする主人公に対し、全面的に協力を申し出る。
「テネット」のストーリー
過酷な選抜試験の始まり
ある日、ウクライナにあるキエフ・オペラハウスがテロリストに襲われます。地元の警察や特殊部隊が突入していきますが、主人公とその仲間たちは、特殊部隊に紛れて、ある物を奪ってくるという任務を与えられます。
主人公たちは、言われるがままに目標物を奪うことに成功しますが、敵対するロシア人勢力に捉えられてしまいます。
捕まった主人公たちは、厳しい拷問を受けます。仲間は、苦痛に耐えきれずに口を割ってしまう中、主人公は口を割らずに頑張り、最後は自殺薬を飲んで自ら命を絶とうとします。
主人公が気がつくと、そこは船の上でした。そして、そばいたスーツの男が、「これまでのミッションは、テストだった」ということを明かします。そして主人公は、そのテストに合格したというのです。
スーツの男が言うには、主人公には、世界を救うための壮大なミッションに参加して欲しいというのです。
突然世界を救う、と言われても困ってしまいそうですが、主人公はとにかくこの超極秘任務に就くことになりました。
時間を逆行する兵器
主人公が最初に訪れたのは、とある研究施設。ここでは、「時間を逆行する兵器」に関する研究が極秘に行われていました。
主人公には、穴が空いた壁のようなものと、弾が入っていない銃が用意されます。そして、「その中でその壁を撃ってみろ」と研究員は言うのです。
弾が入ってないのに、どうやって撃つの・・・?とクエスチョンマークが浮かぶ主人公でしたが、「とにかくやってみろ」と研究員が言うので、とりあえず銃を構えて引き金を引きます。
すると、不思議なことが起こります。壁から銃弾が逆向きに銃口へ入り込んだのです。弾倉を取り出してみると、さっきは確かに空だったのに、一発の銃弾が装填されているのです。
つまり、時間が遡ったのです
研究員の話によると、これは時間の逆行を利用した平気で、未来から送られてきたというのです。さらに、近い将来起こるであろう戦争の残骸物も発見されています。
つまり、未来からの攻撃を受け、核戦争よりも悲惨な第3次世界大戦が勃発しようとしているというのです。
主人公は、早速この銃弾の作成元を尋ねることにしました。
影の番長、プリヤ・シン
調査の結果、この銃弾の作成には『サンジェイ・シン』という男が絡んでいるということがわかりました。
心強い相棒のニールと出会った主人公は、サンジェイ・シンの屋敷に侵入します。侵入に成功した主人公とニールは、サンジェイ・シンに銃を突きつけ、時間を逆行する銃弾について、情報を聞き出そうとします。
すると、ここで妻のプリヤ・シンが口を開き、サンジェイ・シンは商売用の顔であり、自分が黒幕であることを告げます。
プリヤ・シンの話によると、作った銃弾に関して、最初はごく普通のものだったのに、「アンドレイ・セイター」という男に売ってからというものの、時間を逆行するという奇妙な現象が起こるようになったというのです。
プリヤ・シンは、セイターに接近し、その謎を確かめてくれるよう主人公に依頼します。
セイターの妻、キャサリン
セイターほどの大物になると、直接会おうと思っても、なかなかそうは行きません。
そこで、イギリス諜報部の協力を得て、まずはセイターの妻であるキャサリンに接近することにしました。
キャサリンは、美術品鑑定の仕事をしていますが、夫であるセイターに偽物を高額で売りつけたことがあるようなのです。そこで、セイターに売った偽物と同じものを用意し、キャサリンに鑑定を依頼することで、それをきっかけに接近しようという作戦を立てます。
主人公の目論見ああたり、キャサリンと接触することができました。当初は、キャサリンからセイターを紹介してもらうつもりの主人公でしたが、キャサリンからは意外な話を聞くことができました。
キャサリンは、偽物をセイターに売ったことにより、ハイターから「詐欺罪で訴えるぞ」と脅され、セイターの奴隷状態に陥っているというのです。さらにセイターは、キャサリンと一人息子のマックスの仲を不必要に引き離すなど、意味不明な冷遇処置を行い、夫婦間の愛情は既に枯れているというのです。
キャサリンの境遇に同情した主人公は、偽物の美術品さえ処分できれば、キャサリンはセイターの呪縛から解かれると思うようになりました。
美術品破壊作戦
偽物の美術品は、空港近くにある「フリーポート」という建物内に保管されているというのです。
主人公とニールは、飛行機をハイジャックしてフリーポートにぶち当て、混乱の乗じて建物内に侵入し、美術品を破壊してしまうという大胆な作戦をうちたてます。
作戦は見事に的中し、フリーポート内に侵入することができました。すると二人は、ガラスで完全に二つに区切られ、中央には回転するドアのようなものがあるという奇妙な部屋を見つけました。
奇妙な部屋
この部屋は一体何なのか?不思議に思う主人公でしたが、ここで突然中央の回転ドアが開き、完全武装した2人の人間が飛び出してきたのです。そして、二人のうち一人は主人公と格闘になり、もう一人は逃げ出したので、ニールが追いかける格好となりました。
格闘することとなった主人公ですが、相手の人間は明らかにおかしい動きをするのです。さらに、主人公に対して発砲しますが、あの研究所で見た時間の逆行と同じ現象が起こります。
そうです、主人公と格闘している相手は、武器だけでなく動きそのものが時間逆行をしていたのです。
一方、ニールが追いかけていったもうひとりの人間は、時間の逆行は見られず、普通の動きをしています。
一人は普通で、もう一人は時間逆行の動き。これは一体どういうことでしょうか?
結局、主人公と格闘していた相手は奇妙な動きのまま逃走し、ニールが追いかけていた相手もそのまま逃走、正体は分からずじまいでした。しかしニールは、主人公から「そっちはどうだった?」と聞かれた時に、「始末した」と嘘をつきます。
どうやらニールは、何かを隠しているようです。
プルトニウム241
主人公は、再びプリマを訪ね、フリーポートで起こった奇妙な二人の敵の話をします。プリマによると、その二人は同一人物であり、時間逆行マシンである回転ドアから現れたというのです。
その回転ドアの秘密を探るために、どうしてもセイターと接触する必要があります。
プリマの話によると、セイターはプルトニウム241という核兵器の原料となるものを探しているので、それを餌にすれば、セイターと接触できるというのです(今はウクライナ保安局が保管)。
セイターに接近
フリーポートの件で美術品を始末することができた主人公は、再びキャサリンに接近し、セイターに会えるよう依頼します。そこでキャサリンは、セイターが開くディナーパーティーに主人公を招待します。
(なお、処分されたはずの美術品は、事前にセイターが場所を移していたので、実は処分されていないことが後ほど解ります)
そこで主人公は、プルトニウム241を奪うから協力し合おうと持ちかけますが、セイターは、素性がはっきりしない上、自分の妻に妙に接近してくる主人公を嫌い、首を縦に振りません。
しかし、ここで事件が起きます。主人公がセイターに協力を要請している途中、キャサリンがセイターを殺そうと、海へ突き落としてしまうのです。主人公は、「まだ殺しちゃダメだ」と言って海へ飛び込み、セイターを救助します。
これにより、主人公はセイターにとって命の恩人となるわけですが、やはりセイターは主人公をパートナーとして認めてくれません。
交渉決裂
主人公はその後、セイターがタイムマシンを使って金塊を入手している現場と、部下をその金塊で殴り殺す現場を目撃します。しかし、覗きの現場をセイターの部下に見咎められてしまいます。
これにより、協力体制を敷くという目論見は完全に絶たれ、プルトニウム241を巡ってセイターと争うことになります。
奪われたプルトニウム241
主人公は、ニールとニールの仲間たちの協力を得て、プルトニウム241をウクライナ保安局から奪うことに成功します。
しかし、過去を逆行してきたセイターが自らの妻キャサリンを人質に取ったので、主人公は逆にプルトニウム241を奪われてしまいます。
さらに、セイターはキャサリンの腹部を銃で撃ち、瀕死の重傷を与えます。
このままだとキャサリンの命が危ない!ここで主人公は、「時間を逆行させれば、キャサリンの傷は自然と回復するはず」というトンデモ理論を唱え、ニールとキャサリンを連れてタイムマシン回転ドアに入り、時間を逆行し始めます。
時間逆行が頻繁に・・・
このあたりから、敵味方関係なく時間逆行を乱用しまくります。アクションシーンはかなり面白いので、見ごたえがあるんですが、ストーリー展開がどんどん複雑になっていき、文字で説明するのは結構しんどいです(;▽;)
従って、ラストのシーンまでを簡単に説明すると、
↓
過去の自分に合う(フリーポートで遭遇した謎の敵は自分だったことを知る)
↓
キャサリンの傷回復
↓
ニールが怪しい(過去、嘘をついた)
↓
ニールは何か知ってるみたいだけど、教えてくれない。誰に雇われたかも教えてくれない。
↓
セイターは、プルトニウム241を手に入れたことによりアルゴリズムを作ることが出来る
↓
アルゴリズムを使うと、世界中の時間が逆行し、生き物は一瞬にして消える
↓
セイターは、末期ガンを患っているので、余命幾ばくの状態。
↓
セイターは、自分が死ぬ時期に合わせて、ヤケクソでアルゴリズムを使うに違いない。
↓
過去に戻り、キャサリンはセクターが自殺するのをギリギリまで止め、そのあいだに主人公とニールの仲間たちが、セイターのアジトを攻めてアルゴリズムを奪取する。
こんな感じに進行します。
総攻撃
最後、主人公とニール、その仲間たちは、チームを二つに分けてセイターのアジトに大攻勢を仕掛けます。
作戦は、『未来と過去からの挟み撃ち』です。片方のチームが正常な時間軸で攻撃し、もう片方のチームは逆光時くから攻撃します。
ここで、本作のみどころでもある視覚効果が全面に展開されます。
文字で書き表すのが非常に難しいんですが、とにかくアクションシーンは圧巻です。普通通りに動いている兵士がいるかと思えば、巻き戻しシーンを見ているかのように動く兵士もいます。
主人公は、アジトの最新部まで辿り付きますが、なんとここでは、セクターの部下がアルゴリズムを使う準備をしていました。しかもセクターは、時間軸的に主人公たちを出会ってすらいないのに、主人公たちのことを知っているというカオスっぷり。
セクターは、未来から来てひたすらタイムトラベルを繰り返している人間なので、すべてお見通しだったということです。
しかし、時間逆行チームだったはずのニールが、主人公のピンチを悟って正常の時間軸に戻り、主人公たちを救出するという機転を利かし、主人公はアルゴリズムの奪取に成功します。
ほぼ同じ時間に、キャサリンはセクターを殺して、主人公たちの逆転勝利に終わります。
衝撃のラスト
映画最後の3分は、誰もが驚くの衝撃のシーンがあります。あのニールの正体も明らかになります。
ラストに関しては、この記事ではあえて書きません。あとは、皆さん是非映画を見て確認してみてくださいね。
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