「絶望の怪物」作品紹介
製作 | 2019年 |
ジャンル | アニメ |
監督 | コタニジュンヤ |
声優 | 麻言、香川理沙 |
「絶望の怪物」のココがヤバい
「どこから見ても救いがない」というような鬱展開ストーリーは、過去から現在に至るまで数多く作成されてきましたが、『絶望の怪物』ほどの超絶鬱展開アニメはあまり見たことがありません。
主人公である星野葵は、自分の正体が怪物であることを知り、その日を境に、幸せな日常が一気に絶望のどん底へと叩き落とされます。
その絶望っぷりに「監督の精神大丈夫かな?」と心配してしまういたくなるほどでした。
そもそもこのアニメは、脚本や原作はすべてコタニジュンヤ氏が手がけており、主題歌の「星の終わり」の作詞すら本人が書いているとのことです。
またこの主題歌の歌詞が、救われないストーリーに拍車をかけています。
実は私は、このような鬱展開ストーリーは大好きです。しかも、30分ほどの長さですので、一気に見ることができました。忙しくい方でも、短時間で楽しむことができます。
「絶望の怪物」の考察及び感想
全く救いようのないストーリー展開です。特にラスト10分の絶望っぷりは、ハンパなかったです。自分の家族を殺さなければいけないなんて、想像もしたくないですね。
圭吾への告白シーンなんかは、あまりにも切なすぎて泣きたくなってきます。
なぜ怪物は地球に来たのか?なぜ葵の家族は怪物たちと決別してしまったのか?残念ながら、作中で細部を語られることはありませんでした。
しかし、葵の家族(特に両親)は、怪物ということを隠しながら十数年間生活してきたということになり、その生活は想像を絶するくらい辛いものだったということは容易に想像がつきます。
恐らく、子供を産むとなった時も、夫婦は相当葛藤したに違いありません。産まれてくる子供にも、今後一生怪物であることを隠しながらの生活を強要することになるのですから。
そもそも、作者はなぜこのような救いようのないアニメを作ったのでしょうか?この作品を通じて、視聴者に何を伝えたかったのでしょうか?
恐らく、
人間とは、一見平和そうに暮らしているように見えていても、実は誰にも打ち明けられない深刻な悩みを抱えているものだ
ということを伝えたかったのではないでしょうか?
私もそうですが、深刻な悩みであればあるほど、なかなか人には打ち明けられないものですよね。一人で抱え込んでしまって、中には精神を病んでしまう人もいるのでしょう。
そんな人間の孤独な性質を、「怪物」というわかりやすい形で表現したのではないでしょうか?
キャラのタッチはかわいらしいく、いかにも子供向けのアニメのような感じですが、ストーリとのギャップがものすごい作品でした。
鬱アニメマニアの人にはぜひともおススメです。
「絶望の怪物」登場人物
星野葵
ごく普通の女子高生・・・・と葵本人は思っていたが、どうやら普通ではないということを知る事になる。
ややおとなしい性格だが、頑固な一面もある。家族や友達との関係は良好。同級生である大宮圭吾に対して、密かに好意を寄せている。
大宮圭吾
星野葵の同級生である男の子。社交的で誰とでも親しく話すことができる。みんなのまとめ役的な存在でもあり、クラスで何か問題が起こっても、圭吾が丸く収めることが多い。
SF系の話が大好きで、「宇宙人が捕まった」みたいなオカルトニュースに敏感。
星野敏夫
星野葵の父親。家族が幸せになるためにはどうすればいいのかを、常に考えている。
星野早苗
星野葵の母親。機械の操作が苦手。娘の葵とはたびたび衝突するが、本心ではいつも葵の事を大切に思っている。
星野勇太
星野葵の弟。純粋で素直な性格。見た目や言動を見るに、小学生くらいと思われる。まだ幼いため、大人の事情は理解できない。
「絶望の怪物」のストーリー
幸せな日常
星野葵は、どこにでもいる普通の女子高生でした。星野葵を取り巻く環境は素朴な幸せに包まれており、いい友達にも恵まれ、なにもかも順調そうに見えました。
ある日葵は、お気に入りTV番組の録画に失敗した母親とケンカしました。抗議の意味で食事を採らなかった葵ですが、その後の体育の授業、貧血で倒れてしまうのでした。
体調が戻った葵に話しかけてきたのは、同級生であり葵が好意を寄せている大宮圭吾。葵が貧血で倒れたと聞いた圭吾は、サンドイッチを差し入れに持ってきたのでした。
さらに圭吾は、「葵が録画し損ねたTV番組を録画しているから、うちに見に来ないか?」と葵を自宅に誘います。
その後二人は、圭吾の自室で録画されたTV番組を見ます。すると圭吾は突然、葵に告白します。このTV番組を見るようになったのも、葵と共通の話題を持ちたかったためだというのです。
突然の告白に、葵は顔を赤らめます。
身体の異変
ここで、葵の体に異変が起こります。
圭吾が宅急便を受け取りに玄関に出ていった瞬間、葵の右腕が、まるで怪物の腕のように変化したのです。
葵は自分の身体の変化に驚きます。そして、その右腕を隠しながら、圭吾の家を後にします。
家に帰った葵は、母親に自分の右腕のことを相談します。
母親は、その怪物のような腕を見ても落ち着いた様子を崩さず、「大丈夫だから、ちょっと待っててね」と言い、ガンタイプの注射器のようなもので緑色の薬を葵に注射します。
すると、葵の怪物のような右腕は、人間の腕に戻るのでした。
怪物一家
この出来事により葵は、自分と自分の家族の正体が、実は怪物であるということを知ります。
今から20年前、怪物たちは宇宙船で地球にたどり着きます。葵の父親と母親は、怪物の仲間と決別し、人間に姿を変えて地球人とともに暮らす道を選んだのでした。
怪物を人間の姿を止めておくためには、「コフ」と呼ばれている薬が必要で、葵の家族はこの「コフ」を定期的に注射しているのでした。
葵は、この「コフ」の薬に耐性が出来てしまったため、薬の効果が切れるまでの期間が極端に短くなってしまったのです。
葵は、自分が怪物である事実を知り、幸せであるはずの日常が一変します。自分が怪物であることをクラスメイトにバレてしまわないか?そんな心配ばかりするようになったのです。
そしてなによりも、圭吾がこのことを知ったらどうなるだろうか?
不登校生活
コフは数には限りがあるため、このままだといつかなくなってしまうのは目に見えています。そこで葵の父親は、昔の仲間に会いに行き、いい解決方法を探しに行きました。
学校でコフの効果が切れたら大変・・・ということで、葵はその日から不登校の生活が始まります。学校どころか、外出することもままならず、葵のストレスは溜まる一方でした。
コフの効果が切れる期間は徐々に短くなっていき、コフの数自体もだんだんなくなっていく、そんな焦りが葵の精神を蝕んでいきます。
母親の死
そんな中、父親が帰宅します。父親は、何やら母親と深刻そうな話をしているようでした。
葵が父親に話しかけると、父親は「もう心配するな、新しいコフを手に入れた」と言って、葵に新型コフを渡します。
しかし、その新型コフは、緑ではなく赤い色をしていることに葵は気が付きませんでした。
葵が新型コフを注射しようとすると、母親が「私が先にやる」といって注射器を取り上げます。
父親が「やめろ、おまえがやる必要はない」と静止するも聞かず、母親は自分の身体に新型コフを注射しました。
そして母親は、「葵のことが大好きだよ」と言い残し、絶命してしまいます。
父親が「新しいコフ」と言って持ってきた物は、実はコフではなく毒薬だったのでした。
父親は、葵が人間として生き残っていく手段を見つけることができず、毒薬を注射して葵を殺すという非常手段に出たのでした。ところが、葵が打つ前に母親が自身に注射し、自ら死を選んでしまったのです。
父親の焼身自殺
母親が死に、葵にも新型コフの正体が知られてしまった父親は、なけなしのお金と毒薬のすべてを葵に渡すと、部屋にガソリンを巻いて焼身自殺をしてしまいます。
勇太の死
葵は、弟の勇太を連れて一旦は外に脱出します。勇太は、また葵が母親と喧嘩したと思っていて、家に帰りたがります。勇太は、今の家族の状況が理解できていないのです。
葵は、勇太を神社に連れて行くと、泣きながら毒薬を注射して勇太を殺してしまいます。
最後の告白
葵は、勇太を殺した後、圭吾に会いに行きます。
そこで葵は、自分が宇宙人であること、両親は自宅のマンションで焼死したこと、勇太はさっき自分が殺したことを圭吾に打ち明けます。
葵の話を全く信じようとしない圭吾ですが、葵は「私も圭吾のことが好き」と告白し、すでに怪物化している自分の右手を圭吾に見せます。
そして、「バイバイ」とだけ言い残し、葵はその場を去っていくのでした。
ラストシーン
海岸沿いのテトラポットの上、右腕が怪物化した葵は、毒薬と注射器を片手に海を眺めていました。日が昇るのを待っていたのです。
日が昇り、沖がうっすらと明るくなってきたその時、葵は毒薬を自分の身体に注射するのでした。
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