作品紹介
制作 | 1995年 |
ジャンル | アニメ |
監督 | 伊藤俊也、柏原寛司 |
声優 | 山田康夫、栗田寛一、小林清志、井上真樹夫、増山江威子、安達祐実 |
劇場予告 | https://www.youtube.com/watch?v=0eSMLKDhm8M |
「ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス」は、20世紀末の1995年に公開されたルパン三世劇場版映画第5作目で、長年ルパンの声優を務めてきた山田康夫さんから、初めて栗田寛一さんに代わった作品でもあります(山田康夫さんは、アフレコを直前に控えた1995年に逝去)。
このアニメのみどころ
このアニメのみどころは、当時世界中で話題となっていた「ノストラダムスの大予言」を作中に取り入れたところです。
ノストラダムスの予言によると、1999年に恐怖の大王が君臨し世界は滅亡するとされており、日本はもちろんのこと世界中で、ノストラダムスの予言は本当に当たるのか否かという話題で持ちきりでした。
当時高校生だった私は、
「どうせ世界が滅亡するんだったら、お〇んちん丸出しで街を走り回ってやろう」
などと考えていましたが、今思えばそれを実行に移さなくてよかったと心から思っております(笑)
ルパンシリーズの映画では、当時のトレンドを取り入れて作成するという特徴があるのですが、本作もまさに1995年当時のトレンドを取り入れたものとなっております。
また、アニメーションが繊細でとても丁寧!当時のアニメは、どことなくカクカクしていたような気がしますが、本作に関しては、今から20年以上前に作成されたアニメとは思えないくらいの滑らかさです。
原画を担当していたのは、「鬼滅の刃」「鋼の錬金術師」など数多くの担当をこなしてきた滝口貞一さん。
この辺も、このアニメの大きな魅力の一つでしょう。
補足:ノストラダムスとは?
↑
ノストラダムス(1503~1566)享年66歳
本作の表題にもなっている「ノストラダムス」とは、今から400年以上前、16世紀のフランスに実在していた人物です。
本来は”医師”ということなのですが、それよりも彼の名前を世界的に有名にしているのは”預言者”という肩書の方でしょう。
往年のノストラダムスは、医師として仕事に従事する一方で、占星術などを活用した占いにも力を入れており、未来の予言を書き記した『予言集』を刊行します。
歴史的資料が不足していることに加えて、そもそも『予言集』が抽象的な書きっぷりであったため、当時どのくらいの頻度で予言を的中させたかは定かではありません。
しかし、当時は狂信的に彼の予言を信じる者が多数存在したことも事実です。
そして、その予言集の中で一番の物議を醸したのが、
「1999年7月、恐怖の大王がやってくるだろう」
というものでした。
この「恐怖の大王」とは何なのか?核戦争か災害か?
20世紀末には、様々な憶測がされてきましたが、何かわからない恐怖の大王が降臨することにより、世界は滅亡してしまうというのが大方の解釈でした。
中には、世界が滅んでしまうことに悲観し、自殺者まで出る始末。
結果的には恐怖の大王は降臨せず、20年以上たった今でも、なんだかんだ言って世界は滅亡しておりません。
つまり、”預言は外れた”ということになるのです。
なんという人騒がせな・・・
ストーリー
序盤
ある日、サッカーのブラジル代表11人を乗せた飛行機が、テロリストによってハイジャックされてしまいます。
この飛行機に偶然乗り合わせていたのが、ルパンと次元、そしてダグラス財団総帥の一人娘であるジュリアと、その教育係を務めている峰不二子。
ルパンと次元は、なんとかハイジャック犯の排除に成功しますが、降機後、何者かによってジュリアがさらわれてしまいます。。
「このハイジャック事件には、何か裏がある・・・」ルパンはそう思うようになります。
なんとこのハイジャック事件は、ノストラダムス教団の教祖ライズリーが、”失われた預言書”をもとに予言していた内容と合致。
ライズリーは、預言書の内容が的中したことを信者たちにアピールし、絶大な信望を集めることに成功していたのです。
さらわれたダグラスの娘ジュリアには、5000万ドルの価値があるといわれており、その秘密はダグラス本社「アースビル」200階の金庫室に保管されている”ノストラダムスの予言書”にあります。
しかし、セキュリティが厳重で、これまで侵入に成功した人間はルパンの先輩でもあるフィリップ爺さんのみ。しかもフィリップ爺さんは、侵入時につかまってしまい、今では監獄島に収容されているのです。
ルパンと次元は、早速アースビル200階の金庫室に忍び込みます。しかし、そこにはだだっ広い屋上があるだけで、他には何もありません。
ルパンが金庫室へ行っている間に、今度は不二子が曲者(ジュリアをさらったヤツと同一人物)にさらわれてしまいます。
さらに、合流した五エ門の情報によると、ノストラダムス教団が持つ預言書は、全くのにせものということ。
金庫室の謎とは?ジュリアと不二子をさらった曲者は、いったい何者なのか?そして、ノストラダムス教団との関係は?
ルパンたちは、預言書を謎を解き明かすべき、ノストラダムス教団に接近することとなるのです。
中盤
ルパンは、囚人を装って監獄島に向かいます。フィリップ爺さんから、アースビル200階金庫室へ忍び込んだ時の話を聞きに行ったのです。
フィリップ爺さんは、ルパンのためにメモを残そうとしますが、突然現れた曲者(ジュリアをさらったヤツ)に捕らわれ、殺されてしまいます。
ルパンは、フィリップ爺さんの遺体からメモと義眼を抜き取り、監獄島から脱出を図ります。
次元の操縦するヘリに乗り込もうとするルパンですが、あの曲者に邪魔され、サメが泳ぐ海の中に落ちてしまうのです。
ルパンは、その後アマゾンの小さな村に流れ着いき一命をとりとめますが、ノストラダムス教団によって捕らえられてしまいます。
しかしルパンは、そこで誘拐されたはずの不二子と出会います。しかも、不二子の傍には、あのジュリアもいるのです。
しかし、不二子は自分のことを「ターニャ」と名乗り、以前の記憶は完全になくしていたのです。
実は不二子は、教団から手首に付けられたミサンガによってマインドコントロールされているだけで、ミサンガが外れると、元の不二子に戻るのです。
ここで、ジュリアや不二子をさらった曲者の正体が判明します。
その曲者の名は「クリス」といい、ノストラダムス教団のライズリーとつながっていたのです。
ライズリーは、クリスを使ってテロ活動をさせ、まるでノストラダムスの予言が本当に的中しているかの如く見せていたのです。
そしてジュリアをさらった狙いは、ノストラダムスの予言書を狙うと同時に、ダグラスの大統領選挙出馬を取りやめさせることにあったのです。
その後ルパンは、不二子をジュリアを連れ、クリスの追跡を振り切ってアマゾンから脱出することに成功します。
終盤
体勢を立て直したルパン一味は、フィリップ爺さんが残したメモを解読します。
すると、本来金庫室は、ダグラス親子のみ対応の瞳認証装置により解除するしかないのですが、フィリップ爺さんが残した義眼を使っても解除が可能ということが判明します。
早速ルパンたちは、金庫室目指してアースビルに潜入するのです。
その頃ライズリーは、アースビルが崩れ落ちるという予言を発表します。アースビル内に住む住民は大混乱。
(実は、裏でクリスがアースビル内に潜入し、ビル内に大量の時限爆弾を仕掛けていた)
しかし、クリスはライズリーを裏切り、ジュリアを連れ、抜け駆けて金庫室に隠されている預言書を手に入れに行きます。その姿を見たライズリーは、クリスを追ってアースビルに乗り込んでいくのでした。
いち早く200階に到着したのは、クリス。ジュリアを使って瞳認証をクリアし、ついに本物の金庫室を見つけ出します。
しかし、クリスは防衛プログラムの罠にハマり、永久に落下するかのような幻覚を見せられて錯乱状態に陥ります。
クリスに一歩遅れてルパンたちも金庫室に到着。ジュリアの協力を得て防衛プログラムをクリアしたルパンたちは、ついに失われたノストラダムスの予言書を手に入れるのです。
ところが、ここでライズリーがダグラス夫人を人質に取ったまま登場。ルパンたちから、預言書を奪ってしまいます。
ラストシーン
ライズリーの手に予言書が渡り、万事休すと思われたその時、アースビルに仕掛けられていた時限爆弾が爆発を始めるのです(錯乱したクリスが、爆破スイッチを押してしまう)。
次元、五エ門、ダグラス夫婦はなんとかヘリコプターで脱出し、爆発の衝撃でライズリーはビルから落下して死亡します。
同時に、金庫室の防衛プログラムも解除され、クリスが錯乱状態から復帰します。
ルパンは、ジュリアを守りながらクリスと最後の戦いを行いますが、クリスは瓦礫に押しつぶされて死亡。
ルパンは、ありとあらゆる手段を使って、ジュリアと共にビルからの脱出に成功します。
こうしてジュリアは、ようやくダグラス夫妻のもとに戻ることができたのです。ダグラス夫妻は、ここで娘の命よりも大切なものはないことを再認識します。
一方、ようやく本物の預言書を手に入れたルパンたちですが、中身を開いてみると、なんとジュリアが書いた落書きだらけ…とても誰かに売れるような代物ではなかったのです。
ルパンは笑顔で預言書を天に放り、五エ門はそれをなますのように切り刻んでしまうのです。
考察及び感想
ライズリーの目的は?
見ていて疑問に思ったのは、ライズリーの目的は何か?ということです。
ライズリーが、クリスにジュリアを誘拐させたのは、ダグラスのアメリカ大統領選挙出馬を取りやめさせるためでした。では、ライズリーが出馬するのかというとそうではありません。
作中、ライズリーは「我々にたてつくものは破壊あるのみ」という主旨の発言をしていました。
確かに、ダグラスは自らの演説の中でノストラダムス教団のことを批判していました。
つまり、ライズリーからすれば、ダグラスが大統領になってしまえば教団が弾圧されてしまう可能性が出あるのです。そう考えれば、なんとしてもダグラスの大統領選挙出馬を食い止めたいと考えたのも自然なのかもしれません。
また、クリスはライズリーに向かって「我々の目的は、富と権力の世界制覇にあったはず」という発言をしています。
富と権力で世界制覇?つまり、ノストラダムス教団を発展させることにより、人的戦力と金銭力を強化して圧倒的な影響力を持ちたいということか?
そもそも、「世界を制覇する」というのはどういった状態のことを言うのか?
この辺は、残念ながら作中では明らかになっていません。
それにしても、教団に批判的だからと言っていきなり娘を誘拐して脅迫とは・・・ちょっとやりすぎな気がします(;’∀’)
アメリカは自由の国ですし、宗教の自由というのも認められているわけですから、まずはダグラスに抗議をして、それでも教団批判をやめないのであれば民事訴訟を起こすとか、いくらでも手段はあっただろうに・・・
クリスの裏切りの謎
ストーリー終盤において、クリスはライズリーを裏切り、抜け駆けして預言書を手に入れようとします。
クリスは、「ほんの少し、あなた(ライズリー)の後継者になりたかっただけです」と発言していますが、クリスにとって、ライズリーを裏切ることはあまりメリットがないように思えます。
クリスは、アースビルを破壊してしまえばお宝が失われてしまうと考え、ライズリーの裏切りを決断したらしいですが、ノストラダムス教団は、大勢の傭兵を抱え戦闘用ヘリコプターや各種武器を用意できなど、相当な資金力を持っていると思われます。
布教も順調そうに見えますので、そのまま教団に居続けた方がクリスにとってはよかったのでは?
フィリップ爺さんって誰?
フィリップ爺さんは、作中ではルパンの同業者的な描かれ方をしていました。次元に言わせれば、泥棒の腕はルパンより上だとか・・・
そんなフィリップ爺さんですが、原作にはいないキャラで、この映画単独のサブキャラとなっています。
監獄島から読み取る、アトランタ州の恐ろしい司法制度
作中に出てくる監獄島。ここでは、フィリップ爺さんが収監されていました。おそらく、刑務所的な施設だと推測されます。
管理は恐らくアメリカ合衆国アトランタ州(フィリップ爺さんが、アトランタ州にあるアースビルに忍び込んだ時に捕まっているから)。
海の真ん中の孤島(というか、ただの岩)の上に建てられて、脱出はほぼ不可能。囚人たちは皆、シマシマの服を着て、足にボーリングの玉みたいなものを付けて生活しているようです。(比較的内陸部に位置するジョージア州ですが、いったいどこの海上でこの刑務所を管理しているのでしょうか?)
しかも、一度収監されたら死体になるまで出てこれないという・・・
これはつまり、無期懲役の囚人のみを収監している刑務所と理解していいでしょう。
こんな人権無視の刑務所ですが、では凶悪犯罪者だけが収監されているのかというとそうではないらしく、ルパンは”コソ泥”だけでぶち込まれています。
コソ泥、つまり窃盗罪なわけです。窃盗罪だけで無期懲役はヤバすぎる・・・
ジョージア州の司法制度、恐るべし((+_+))
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