『ルパン三世 血煙の石川五エ門』作品紹介
制作 | 2014年 |
ジャンル | アニメ |
監督 | 小池健 |
キャスト | 栗田貫一、浪川大輔、小林清志、沢城みゆき、山寺宏一 |
『ルパン三世 血煙の石川五エ門』は、2014年、『次元大介の墓標』に続く劇場版第8作目として放映された映画です。
監督は、前回に引き続き小池健さん。
R12指定。
『ルパン三世 血煙の石川五エ門』のアニメのみどころ
本作は、ルパンの用心棒的存在であるメインキャラクターの一人『石川五エ門』が主人公です。
五エ門と言えば、斬鉄剣を持たせればルパン三世の世界の中では1、2位を争う強者。そんな五エ門が、ルパンシリーズ歴代最強クラスの強敵”ホーク”に1対1の決闘を挑むのですが…
そのホークという敵が、これまためちゃくちゃに強いんです。
プロレスラー並みの体躯を持ち、しかもかなりの怪力で、建物を手斧だけで倒壊させることができるのです。
ちなみに、見た目は完全にスタン・ハンセンです。
しかも、人間離れした反射神経を持ち、次元の早撃ちや五エ門の居合抜きに対しても瞬時に対応できてしまいます。
ドラクエで例えれば、武闘家と戦士と盗賊を混ぜ合わせたようなヤツです。間違いなく、全ルパンシリーズの中では最強の敵と言えるでしょう。
こんなバケモンみたいな敵を相手に正面から向き合い、己の腕を磨き上げ、正々堂々の勝負を挑んでいくわけです。
そもそも五エ門は、単純な戦闘能力だけで考えれば感覚的にはルパンや次元よりも頭一つ抜きんでているというイメージがあります。
「斬鉄剣を亡くした・・・」みたいな特殊な環境を除いて、こと1対1の状況下で考えれば、五エ門に勝てるキャラクターはこれまでに存在しませんでした(いるとすれば、『ロシアより愛をこめて』のラスプートンくらいかな?)。
ところがホークは、人間離れしたパワーで五エ門を圧倒。五エ門のプライドとメンタルをボロボロにする。
さらに、いつ死んでもおかしくないくらいの厳しい修行を積んでゾーンに入った五エ門と戦っても、両肩の肉をそぎ落とし骨が露出するくらいの重傷を負わせます。
最終的には右腕を斬り落とされて負けを認めますが、ここまで本気になった五エ門と互角以上の戦いができるやつはホークだけでしょう。
(ルパンと次元も、「もし五エ門が助太刀に来なかったら、俺たちは地獄へ行っていた」と、ホークに殺されていたかもしれないことを認めています)
五エ門のまっすぐな性格と、剣術にかける情熱が伝わってくるような、そんな熱い作品に仕上がっています。
五エ門ファンにはたまらない作品でしょう。
また、本作も『次元大介の墓標』に引き続き、大人向けの作品になっています。
ストーリーもさることながら、R12指定だけあって、黒焦げになった人間の死体や、肉が削げ落ちて骨まで露出してる生々しい傷が描かれていたりなど、結構グロいシーンが多めです。
「まさかあの五エ門が…」と、ショックを受ける視聴者も多いのではないでしょうか?
登場人物
ホーク
二本の手斧を両手で操るプロの殺し屋。過去の戦場では、一人で2000人の兵士を殺害したという伝説の兵士。
その後、バミューダ海域で戦死したと報告されていたが、どういう訳か生存が確認されており、「バミューダの亡霊」と呼ばれている。
「ご主人様」からの依頼により、ルパン、次元、不二子の命を狙う。
しかし、睡魔にだけは弱いらしく、眠くなると一切の抵抗を止めてしまう。
サリファを「お嬢様」と呼び、常に敬語で喋る。
サリファ
小学生くらいの小さな女の子。
ホークに懐いている。
「ご主人様」からの仕事の依頼を、間接的にホークに伝える役目を負う。
稲庭牧男
鉄竜会の組長。賭博船で大金を稼いでいる。
五エ門の剣の腕を高く評価し、用心棒として雇い入れる。
西郷兄弟
稲庭四天王のうちの二人。こん棒の使い手。
組長に贔屓にされている五エ門を訝しく感じている。
ストーリー(細部)
序盤
稲庭組は、博打船で上流階級の人間を相手に大金を稼いでいた。
稲庭組の組長・稲庭牧男は、最近用心棒として雇い入れた石川五エ門がお気に入りだった。
今日も、神業的剣術を持って牧男の命を救ったばかりだった。
ルパン、次元、不二子は、そんな賭博船に忍び込んで稼ぎの一部を盗み出そうとする。
ところが、船の機関室で爆発音が鳴り響く。なんと、プロレスラー並みの大男が、手斧を振り回して船のエンジンを破壊していたのだった。
五エ門は切りかかるが、男に逃げられてしまう。
エンジンは爆発し、船は沈没。稲庭牧男ら、稲庭会の幹部は軒並み焼死してしまう。
その男の名はホーク。「バミューダの亡霊」と呼ばれている伝説の兵士だ。公安の銭形も、ホークの行方を追っていたのだった。
五エ門は、牧男の息子から、用心棒でありながらも組長の命を守れなかった責任を責められ、3日以内にホークを殺してくるよう約束させられる。
一方ルパンたちは、大金を盗み出しさくさに紛れて逃走していた。
ホテルの一室で祝杯を挙げていると、突然ホークが部屋に乱入。なんとホークの殺しの目標とは、ルパン、次元、不二子の3人だったのだ。
ルパンたちは逃亡。ホークはルパンたちの後を追うが、ここで五エ門が助太刀に入る。
賭博船で死んだ組長の仇を討ちに来たのだった。
中盤
五エ門は、全力の居合で切りかかるが、ホークは指先だけで五エ門の剣を受け止める。
そして、斧を振り回して五エ門を一撃で吹き飛ばしてしまう。
ここで銭形が乱入し、ホークを逮捕(ホークは、睡魔に襲われたため無抵抗)。五エ門は、一命をとりとめる。
しかし、五エ門のプライドはズタズタに引き裂かれてしまった。
自慢の剣術も斬鉄剣も、ホークには一切通用しなかったのだから。
その日から、五エ門の修行が始まる。
と、言っても、五エ門の修業とは全く剣を抜かず、同じ姿勢を長時間続けるというものだった。
五エ門の様子を心配そうに見ていたルパンと次元も、五エ門のあまりにも痛々しい姿を見かねてしまう。
その後五エ門は、満身創痍の姿で稲庭組の前に姿を現す。稲庭組は、ホークを倒せない五エ門を殺そうとするが、ここで五エ門が開眼!
稲庭組の組員らの動きをすべて読みとり、一瞬にして数十人の組員を斬り伏せる。
終盤
その頃、睡眠をとったホークはいとも簡単に留置場を脱出。ルパンたちを追う。
ルパンと次元は、なぜホークが自分たちをつけ狙うのかを調べようとするが、明確な理由は分からなかった。ただ、ホークのバックには、何か巨大な力が働いていることは間違いなかった。
ルパンと次元は、廃れた廃寺に逃げ込むが、ホークは執拗に追跡。最大のピンチを迎える。
ここで、復讐に燃える五エ門が登場。ホークに斬りかかる。
五エ門は、完全に五感を封じていた。人間が感じる感覚は、脳に信号が到達するまでに僅かな時差が生じる。
五感を封じることによって、そのわずかな時差さえも縮め、最速の剣を振ろうとしていた。
これまでに五エ門が行っていた修業とは、そんな五感を封じるための修行だった。
ホークが斬りかかる刹那、五エ門は斬鉄剣を抜く。
五エ門は、両肩の肉をそぎ落とされるほどの重傷を負うが、代わりにホークの右腕を斬り落とす。まさに、肉を切らせて骨を断つ作戦だった。
ホークは、深手を負いながらも反撃に出ようとするが、五エ門に首を斬り落とされる自分の未来をはっきりと見てしまう。恐怖に駆られてしまったのだ。
そこでホークは、ゆっくりと葉巻をふかしながら一言。
「完敗だ…」
ラストシーン
五エ門は、小さな墓石に線香を立て、これまでに斬ってきた多くの者に対する供養を行っていた。
「助太刀をしようとすればできたのに、なぜ手を出さなかった…?」
五エ門はルパンたちに尋ねる。
それに対しルパンは、決闘は1対1でやるという決まりがあることと、もし五エ門が負けた時は、苦しまずに介錯をしてやるつもりだったことを明かす。
五エ門は、それを聞いて微かに笑う。
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