「ルパン三世 ルパンVS複製人間」の作品紹介
制作 | 1978年 |
ジャンル | アニメ |
監督 | 吉川惣司 |
キャスト | 山田康雄、小林清志、井上真樹夫、増山江威子、納谷悟朗 |
『ルパン三世 ルパンVS複製人間』は、1978年、ルパン三世の映画第一作目として放映された映画です。
「ルパン三世 ルパンVS複製人間」のみどころ
本作の見どころは、なんとホラー要素満載なところ(/ω\)
今や完全に子供向けのコンテンツと化したルパンにおいて、ホラー要素なんてあまり考えられませんが、本作に限って言えばそうなんです。
そのホラー要素の原因となっているのは、メインテーマとなっている複製(クローン)人間の存在!
クローン人間とは、クローン技術を駆使することによって作り出される、母体と同一の遺伝子を持った人間のこと。
現在、クローン人間は倫理・哲学・宗教・文化・法律等の観点からタブー視されており、人類史上、クローン人間が存在したという記録はない。
2018年、中国では、遺伝子上人間に近い存在とされる猿のクローン「中中」と「華華」が生み出されていることから、技術上人間のクローンも可能であると言われている。
そう、現代ではアニメのテーマに選抜することすらタブー視する風潮があるクローン人間。
1978年だからこそ放映されたわけで、令和の時代であれば間違いなくアウトでしょう。
もし自分のクローンが産まれたらどうしよう?そもそも、自分がクローンだったどうしよう?
いろいろ考えていると、どんどん恐ろしい気持ちになってしまいますよね。
このアニメは、まさに視聴者をそのような気持にさせる作品なのです。
ひょっとしてこのアニメは、禁断の世界に踏み入れてしまったのではないか?そんな気すらします。
考察及び感想
全体的にいろいろ怖すぎる…
このアニメ、なんといっても全体的に怖すぎます(T_T)
ホラーのジャンルにしてもいいんじゃないかと思えるくらい。間違いなく子供が見ればトラウマになるでしょうね。
ということで、私が怖いと感じたポイントを書いていきます。
恐怖ポイント①ルパンの処刑
まず、開始早々ルパンが処刑されるというショッキングなシーン。絞首刑です。
首を吊られた人間は黒く塗りつぶされているんですが、シルエットはどう見てもルパン本人。
それがなんとも生々しくて、恐怖が伝わってきます。
しかも、それはルパンのコピー。つまり、我々が知っているルパンと同一人物ということです。
いくらコピーとはいえ、あのルパンが絞首刑にかけられて死ぬとは…想像すると相当ショックですよね。
また、途中のマモーがルパンに問いかけた内容も地味に怖い。
「処刑されたのは、コピーの方か?オリジナルの方か?」
これは、コピー人間はオリジナルと同じ記憶を持っているので、仮にコピーだとしても自分がコピーであることに気付けないということを暗に示しています。
つまり、処刑されたルパンは、クローンという自覚が無いまま死んでいったということ。
処刑台に向かうルパンは、一体どんなことを考えていたんでしょうか?恐怖に震えていたのでしょうか?
そんなことを考えていると、背筋がゾクゾクと寒くなってくるのです。
恐怖ポイント②不老不死
マモーが言っていた不老不死。それは、自分は脳みそだけの存在になり、あとはクローン人間を大量生産して生き続けているように見せる、ということでした。この発想、マジで怖すぎる(T_T)
「不老」ということは、ある程度歳をとったコピーは、若いコピーに後を託して自分はこの世からいなくなる、ということでしょうか?
どうやって?まさか、自殺!?
つまり、不老不死を続けるために自分は定期的に自殺し続けなければならないということ。
これは…、地獄でしょう。必ず自殺するという運命を持って産まれてくるなんて。
自分が自殺する現場を見て、「ああ、俺も歳をとったらこうやって自殺しないといけないんだな」って思わなければならない。
なので、マモーはしきりに不二子を「不老不死にしてやる」といってましたが、これは不二子から脳みそを取り出し、それをオリジナルにして後はコピーを大量に作るということ。
脳みそだけとなり、繰り返し自殺する自分のコピーを眺めなければならない運命を背負った不二子は、一体何を思うのだろうか?
なんだか恐怖系SF小説を読んでいるような気分になってきますね。
恐怖ポイント③絵が怖い
今回のルパンは、全シリーズと比較していても圧倒的に絵柄が怖いです。絶対に子供向けじゃありません。
ルパンの処刑シーンは前述のとおりですが、クローン人間製造工場での瓶詰の赤ん坊、しわくちゃでとても人間とは思えないマモーの出来損ないコピー、マモーの焼死シーン、すべてが生々しくて、ホラームービーを見ているような感覚です。
恐怖ポイント④マモーの最期
マモーは、脳みそだけになって宇宙をさ迷うだけの存在となるのですが、このシチュエーション、めっちゃ怖い。
手塚治虫の漫画「火の鳥 宇宙編」を読んだ時、コース設定ミスにより仲間とはぐれて宇宙を一人漂うことになった木崎や、隕石に衝突して名もなき惑星の表面に宇宙船ごと置き去りにされた隊長を見た時、子供ながらに「孤独」という名の恐怖を感じたことがありましたが…
その感覚に似ています。
マモーは、脳みそだけとはいえ意識はあるんでしょうね。そのまま、ただ宇宙をさ迷うだけ。永遠に。
こんなの、私だったら頭がおかしくなってしまうでしょうね。
恐怖ポイント⑤銭形
本作の銭形は、他のシリーズの銭形よりも50倍くらい殺気が強い気がします。
まず序盤、ルパンの遺体(実は生きている)の胸部分に、全力で杭を突き立てるシーンがあります。
これ、ガチでルパンを殺しに来ています。
この時点で銭形は、ルパン死亡説を信じていませんでした。ルパンは生きているはず、それを確かめるためにやった行為、ということらしいです。
殺意丸出しですよね。
あと、途中の銭形のセリフ。
「ふっふっふ、例え蠣のごとく身をやつそうとも、必ずルパンの息の根を止めてやるぞ。」
息の根を止めるって…殺すき満々やん!いつもの銭形なら、そこは「逮捕してやるぞ」と来るはずなのに。
ということで、いつもよりも殺意がむき出しの銭形でした。
斬鉄剣が折れる!?
こんにゃく以外斬れないものは無い、という代物の斬鉄剣ですが、なんと今回ポッキリ折れてしまいます。
斬れなかったものは…クリンチが身に着けていた、ただの鉄の防具。
え!?超マイナーな敵キャラがなんとなく身に着けている防具に…こんなしょぼいものに斬鉄剣は負けてしまったの?
「拙者の腕が…」と言って五エ門は凹んでましたが、うん、確かにこれは腕が悪いのかもしれない(笑)
新事実!銭形に子供!?
ここで驚愕の新事実が…
なんと銭形にはトシコちゃんという娘さんがいたようです。
こ、子供がいたのか!?
銭形のプライベートはなかなか明かされないことが多いですが、例えば「ルパン三世 炎の記憶」では、銭形は安アパートで明らかに独身一人暮らしの生活をしているシーンがありました。
もしかして、結婚して奥さんと子供がいたけれども、離婚されて親権も奪われたとか?
考えるに、銭形はルパン逮捕に命をかけているので、家庭を顧みずに仕事に没頭していたのでしょう。そんな銭形を見て、奥さんは愛想を尽かしたのではないでしょうか?
登場人物
マモー
本作の敵。長髪で小柄、肌が青白く目が大きくギョロリとしていて、常に不気味な雰囲気を漂わせている。自称「地上最高の英知」「予言者」「神」。
宙に浮く、衝撃波で物を破壊する、地震を発生させるなど、人知を超えた不思議な術を使う。
表向きは、世界の三分の一の富を所有する大富豪ハワード・ロック・ウッド。
スタッキー
アメリカ合衆国大統領特別補佐官。世界で一番偉い男を操る男。
アメリカがマモーから脅迫されてたことを受けて、何とか反撃に出ようと策を練る。
アメリカの権威を守るためなら、手段を選ばない非情な一面を持つ。
ゴードン
トーマスの友達…ではなく、スタッキーの右腕。
スタッキーからの命があれば、次元たちと接触したり戦闘指揮所で指揮をとったりと割とフットワーク軽く動く。
クリンチ
マモーの部下。脳筋ゴリラだが、飛行機の操縦をこなしたりなどわりかし有能。
剣術の腕はなかなかのもので、五エ門と結構いい勝負をする。
ストーリー(細部)
序盤
絞首刑にかけられる一人の男がいた。男は絶命するが、検視の結果その男はルパン三世本人であることが判明した。
一方、ルパンはピンピンしている。しかし、絞首刑で死んだ男もルパン本人に間違いない。
この矛盾は、いったいどういう訳なのか?
その頃、峰不二子はとある男が用意した豪邸にいた。その男は姿を見せず、声だけで不二子とコミュニケーションをとっていた。何のために不二子をもてなすのか、目的は不明だった。
しかし、その男が不二子の美貌にほれ込んでいるのは間違いなかった。
この男の名は、不思議な魔術を使うマモー。マモーは、不老不死の秘密が込められているという『賢者の石』を求めていた。
そしてこの『賢者の石』は、つい先日ルパンたちがピラミッドから盗み出していたのだった。
マモーは、クリンチに命じあらゆる手段を使ってルパンから賢者の石を奪いにかかる。不二子をルパンに近づかせて情報を横流しさせているのも、マモーの作戦だった。
マモー側のスパイであることが明らかな不二子を擁護するルパン。愛想を尽かした次元と五エ門は、ルパンのもとを去ってしまう。
案の定、不二子はルパンを気絶させてマモーのもとに連れ去る。
そして不二子は、クリンチが操縦する飛行機から「WATER(水)」と書かれたメモ書きを地上に向かって投げるのだった。
中盤
ルパンと別れた次元と五エ門は、ゴードンと名乗る男によって、スタッキー大統領特別補佐官のもとに連れられる。
アメリカ政府は、マモーから脅迫されていた。スタッキーは、次元や五エ門からマモーのアジトを聞き出そうとしていたのだった。
しかし、次元と五エ門はマモーのアジトなど知る由もない。
程なくして二人は釈放されるが、そこで次元と五エ門は、偶然にも不二子のメモ書きが水に濡れ変色しているところを目撃する。変色したメモ書きには、「Carib…Se.(カリブ海)」という文字が浮かび上がっていた。
ルパンは、カリブ海に浮かぶマモーの城に閉じ込められていた。しかし、一瞬のスキをついて牢獄から脱出。
ルパンは城から出ようとするが、途中不思議な光景を目の当たりにする。
ナポレオンやヒットラーなど、はるか昔に死んだはずの歴史上の人物が、場内をうろついているのだ。
ルパンは城内の探索を続けると、さらにとんでもない物を見てしまう。それは、培養液に浸された瓶詰の赤ん坊。ここは、クローン人間の製造工場だったのだ。
マモーは、「神の実験」と称し、歴史上の偉人を中心としてクローン人間を大量生産している男。
例え世界が滅びても、美しいものや優れた者のみが生き続ける権利がある。そんなマモーの信念を実現させるためのクローン人間製造技術だった。
処刑された本物のルパンも、マモーが作ったコピー人間だったのだ。
マモーはルパンを拘束し、ルパンの頭部に怪しげな機械を取り付ける。そして、ルパンの深層心理を探ろうとした。
すると、なんとルパンは夢を見ない人間であることがわかる。マモーから言わせれば、それは「虚無」であり、神と同じ意識を共有する人間だということだ。
その後、アメリカ空軍によってマモーの城は攻撃される。さらに、駆け付けた次元によってマモーは撃ち殺される。
終盤
マモーは死んだはずだった。しかし、再びルパンたちの前に姿を表す。次元に撃ち殺されたマモーはコピーだったということだ。
マモーがクローン技術に辿り着いたのは、はるかに大昔。マモーは、自らのクローン人間を作り続けることで、事実上の永遠の命を得ていた。
マモーは、不二子をさらってどこかへ消えてしまう。
ルパンは、気乗りのしない次元と斬鉄剣が折れて凹んでる五エ門を置いて、一人でマモーの本拠地へと乗り込む。
するとそこには、なんと大量の核ミサイルがあった。警備を担当するのはマモーのコピーの出来損ない達。クローン人間を作り続けていると、染色体に異常をきたすこともあるのだという。
マモーは、全世界に向けて核ミサイルを発射しようとするが、ルパンは事前にすべてのミサイルを破壊していたため、未遂に終わる。
追い詰められたマモーは、ルパンにレーザー攻撃をかける。しかし、ルパンは折れた斬鉄剣にレーザーを反射させて、逆にレーザーをマモーに命中させる。マモーはそのまま焼死する。
すると、ルパンの目の前に、培養液に使った巨大な脳みそが現れる。この巨大な脳みそこそ、マモーのオリジナルなのだ。
そしてマモーは、「神の国へ向かう」と言い放ち、脳みそのままロケットで地球を飛び出す。
しかし、ロケットが宇宙空間に到達したあたりで、ルパンがセットしていた時限爆弾が爆発。マモーの脳みそは、宇宙空間を宛てもなくさ迷うこととなった。
ラストシーン
マモーの本拠地に猛攻撃を加えるアメリカ軍。ノリノリで指揮を執るのはゴードン。秘密を知る者は、生かしてはおけないようだ。
そんな中スタッキーは、攻撃が済んだらこの場所(指揮所)を破壊するよう誰かに指示をだす。もちろんそれは、ゴードンを含めた人員も対象だ。
ミサイルが雨のように降り注ぐ中、ルパンと銭形は、手錠で繋がった足で二人三脚をしながら、仲良くその場を逃げ出し始める。
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