「漂流教室」の作品紹介
連載 | 1972~1974年(週刊少年サンデー) |
単行本 | 全6巻(完結) |
ジャンル | ホラー |
作者 | 楳図かずお |
『漂流教室』は、1972~1974年、週刊少年サンデーにおいて連載されていたホラー漫画。
本作は、1987年と2009年に映画化され、2002年にはドラマ化されています。さらに、1995年には日米共同でオリジナルビデオが製作されていますが、原作との食い違いが多く、日本では上映されませんでした。
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「漂流教室」のみどころ
この漫画のみどころは、”コンプライアンスなどどこ吹く風!倫理観無視のぶっ飛びまくったストーリー”です。
なぜなら、この漫画は今よりも約50年前という、倫理観的な考えが今よりもゆる~い時代に作られたからなのです(決して楳図かずおさんの倫理観が低いという話ではないのであしからず)。
ジャンルはホラー漫画ということなんですが、いくらホラーと言っても、一応倫理的なルールというものがあります。例えば、小さな子供は虐殺対象外、とか…。
しかし、この漫画はそんな小さな子供がバンバン死んでいきます。手足がもげたり、内臓が飛び出たり、串刺しにされて丸焼きにされたり…
例えば、こんなシーンがあります。
変わり果てた世界に飛ばされ、悲観した小学生(低学年)が、「鳥になればここから抜け出せるかもしれない…」といって屋上から飛び降りる。もちろん、鳥になどなれるはずもなく、地面に身体を打ち付けて即死。
そんな様子を見た他の低学年たちは、異世界に飛ばされて思考回路が混乱しているため、恐れるどころか「鳥になって飛んで行った!」といって逆に奮い立ち、次々に屋上から飛び降りようとする。
主人公の翔(六年生)は、”屋上から飛び降りても鳥になんかなれない”ということを低学年生に分からせるため、先ほど飛び降り死した小学生の遺体を持ち上げて、ぐちゃぐちゃに潰れた顔面を見せつける(さすがに「ひえっ!汗っ」てなる)。
小さな子供は対象外ルールを見事にぶち破ってくれる、今であれば完全にコンプライアンス違反のシーンでしょう。
次はどんな大事件が起きるのか?子供が何人死ぬのか?など、いろんな意味で気になって気になって仕方なくなります。
そんなかなりぶっ飛んだストーリーのこの漫画、読み手がひっくり返ってしまうようなストーリーが次々と繰り広げられていきますので、読んでいて全く退屈しません。
騙されたと思って、とりあえず第1巻だけでも読んでもらいたいです。
「漂流教室」の登場人物
高松 翔
本作の主人公。大和小学校に通う小学六年生の男の子。
大友くん
翔の同級生。
当初は翔と団結しながら危機に立ち向かっていくが、意見の食い違いから対立するようになっていく。
我猛くん
翔の同級生。策士タイプの人間。
頭がよく、状況に応じたアドバイスをすることができる。
池垣君
翔の同級生。防衛大臣。
人を食う巨大怪獣が現れたときは、あらゆる手段を用いて退治しようとするが、ハサミで右手を捥がれてしまう。
残った左手のみで最後まで戦うが、肉がはみ出て内臓が飛び散り、まるでぼろ雑巾のようになって死亡。
若原先生
翔の担任の先生。
責任感が強く、率先して生徒の危機を救おうとしていたが、途中から気が狂い、同僚の先生や生徒を殺害し始める。
翔を殺そうとしたところ、反撃にあって死亡。
関谷
給食のおじさん。普段は優しいおじさんだが、事態が変わってからは態度が急変。学校の食料を独り占めにしすなど、独裁者のような性格を露にする。
数人の先生を焼き殺す。
「漂流教室」のストーリー(序盤)
高松翔は、大和小学校に通うごく普通の小学生だった。
しかし、翔が学校で授業を受けている途中、突然の大地震に見舞われる。
何事かと外に飛び出してみると、なんと学校の周りにあるはずの車や建物、通行人などの一切が消失し、殺風景な砂漠だけが広がっていた。
電話も通じず、ラジオも入らない。大和小学校全体が、完全に孤立してしまったのだ。
突然の出来事にうろたえる生徒たち。
学校の先生たちは、必死に生徒たちを落ち着かせようと試みるが、このすぎる異常な事態を迎えては子供でなくても混乱してしまう。大人たちは、一人また一人と命を落としていく。
唯一大人で生き残ったのは給食係の関谷だったが、この異常事態を迎えて普段は優しい性格が豹変し、子供たちを利用して自分だけが生き残ろうとする非情な独裁者になってしまう。
その後、朽ち果ててボロボロになってしまった大和小学校の表札、そして、「大和小学校 862人の霊 ここにねむる」と書かれた墓石が発見される。
状況から察するに、どうやら翔たち大和小学校の生徒たちは、校舎ごと相当未来の地球へタイムワープしてしまったようだ。
独裁者の関谷は、子供に命令をして食料を取ってこさせようとする。
子供たちが砂漠の中に唯一生えている植物群に足を踏み入れてみると、なんとそこから巨大な怪虫が現れ、子供たちを捕食していく。
あまつさえその怪虫は、学校に侵入してきて生徒たちを食い荒らしていく。
全校生徒のリーダー的存在になっていた翔は、自分や友達の命を守るため、怪虫退治のための策を練らなければならなくなったが…
今後の展開
この後も翔たちは、超過酷なサバイバルを繰り広げていきます。
校内でペストが流行ったり、ペスト患者を体育館に押し込めて焼き殺そうとする勢力が現れたり、現代の人類とは似ても似つかない姿をした未来人類が現れたり…
その間にも、リーダーを誰にするだとか、生き残りの方針をどう打ち立てていくかの論争があったりとか、やや政治臭い争いも勃発することとなります(まだ小学生なんですがそれは…)。
やがて子供たちは、正常な判断ができなくなっていって、人間の道から外れた行動をとっていくこととなります。
特に後半、食糧危機で全員が飢餓状態に陥るのですが、とある勢力が相手を殺し、丸焼きにして人肉を食らうシーンがあります。この辺はさすがにコンプライアンス違反なんじゃないかなと思うんですが…
そこはさすがに1970年代初頭に連載されていただけあって、今よりは緩かった時代だからこその表現だったのかもしれませんね。
最初は862人いた生徒たちですが、殺されたり病死したり自殺したりと次々と命を落としていき、最終的には数十人くらいにまで数を減らしてしまいます。
まるで戦争映画でも見てるんじゃないかって勢いで人が死んでいくんですが、死ぬのは兵隊じゃなくて、7~12歳の幼気な小学生たちなんですよね(;・∀・)
そして翔たちは、どうすれば現代の地球に戻ることができるのか?
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