【考察】「アシュラ」(ネタバレ)私見を交えつつ解説!「有害図書」とまで言われた、人間のカニバリズム(人肉嗜食)を問う問題作

アニメ

作品紹介

製作 2012年
ジャンル アニメ
監督 さとうけいいち
声優 野沢雅子林原めぐみ玄田哲章平田広明島田敏

『アシュラ』は、ジョージ秋山先生が書いた漫画「アシュラ」をアニメ化したものです。

ジョージ秋山先生と言ったら、『銭ゲバ』など、私好みのなかなかぶっ飛んだ漫画を書くことでも有名な鬼才漫画家と言われております。

この映画の見どころ

さて、この『アシュラ』なんですが、例に漏れずなかなかのぶっ飛び具合になっています。

標題にも書きましたが、この漫画はなんと”食人”大きなテーマとして取り扱っています。

飢餓が訪れた時、人間は人肉を食べることを良しとするのか否か?

飽食の今の時代において、なかなか難しい問題提起だとは思いますが、そんなデリケートな問題について直接メスを入れたのが、漫画「アシュラ」でありこのアニメなのです。

原作である漫画では、腐乱死体や、大量に蛆虫が沸いている様子などかなりグロテスクな描写があったり、人が腐った死体を食べる、母親が我が子を殺して食べるなど倫理上問題がありそうなシーンも多数登場し、心臓の弱い方はとても読みきることはできない内容となっています。

あまりにもやり過ぎたせいか、神奈川県では「有害図書」の指定を受けています。

(「人肉を食べる場合、地面に24時間埋めてから食べると”くさみ”が無くなって美味しい」など、「誰得!?」という情報も・・・)

一方、アニメ版では内容がかなりソフトに修正されており、漫画と比べて視聴しやすいものとなっています。しかし、ソフトとは言っても、テーマがテーマなだけにかなり衝撃的な作品であることは変わりありませんので、心の準備は必要です。

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登場人物

アシュラ

本作の主人公。8歳。産まれて間もなく、飢えた母親に焼かれて食べられそうになるという強烈な経験をする。

それ以来、父も母もなく、動物と同じように一人で生き抜いてきたため、人間の言葉を知らず、社会性を持ち合わせない。

腹が減った時は、人肉だろうがなんだろうがなんでも食う。

 

苛烈な環境で生きてきたせいか、戦闘能力はかなり高い。

アシュラの母

元は結構立場のある男の妾だったが、妊娠を機に捨てられる。その後、究極の飢餓状態を経験し、生きるために腐った死体だろうが何でも食べる。

やがては気が狂ってしまう。

若狭

村に住む若い女。七郎とは相思相愛の関係。

美人で誰にでも優しく、アシュラの世話をしたりなど甲斐甲斐しい一面もある。

七郎

散所で働く若者。若狭とは恋仲。

体力があり、どんなきつい仕事も黙々と真面目にこなす。若狭のためなら、すべてを捧げてもいいと思っている。

法師

正体不明の謎の法師。要所要所で登場し、人を殺したり人肉を食べたりするアシュラを都度戒めている。

地頭

荘園を管理する有力者。幼い息子「小太郎」がいる。

村人から恐れられている。

ストーリー

地獄

時は平安時代末期、戦乱の影響により食べるものは何もなくなり、巷では多くの餓死者が出ていました。街道では、腐ってウジが沸いている死体が、まるで石ころのようにゴロゴロ転がっています。

そんな中、ボロ切れを身にまとい、お腹の大きな一人の女がフラフラ道を歩いていました。その女は、妊娠していたのです。

そしてその夜、女は人のいない廃寺で赤ん坊を産みます。女は、こんな極限状態であっても、新しい生命の誕生に涙します。

 

その後、女は赤ん坊を連れ、食べ物を求めてさ迷い歩きます。しかし、食べられそうなものは一向に見当たりません。

そんな時女の目に止まったのは、道端に転がっている人間の死体。その死体は、半分白骨化していますが、ところどころに腐った肉がこびりついている状態でした。

「肉だ・・・何か食べなければ・・・」

そう思った女は、その腐った人肉を食べてしまいます。

 

その後、死体すら食べるものが無くなってしまうと、ほかに食べれるものと言ったら・・・自分の子供。女は、焚き火の中に自分の赤ん坊を放り投げます。

しかし、女は自分がした行為に恐ろしくなり、火傷を負った赤ん坊を捨ててその場から逃げてしまいます。

8年後

8年後、以前女が見捨てた赤ん坊はまだ生きていました(この時、この子供にまだ名前はありませんが、記事作成の都合上「アシュラ」と呼んでいきます)。

アシュラの主な食料は、人肉です。常に斧を持って歩き、人家を襲って人を殺しては人肉を喰らい、生命をつなぎ止めていたのです。

 

そんなアシュラの前に現れたのが、常に念仏を唱えて歩く謎の法師。アシュラは法師に襲い掛かり、熱いバトルが開始されます。しかし、法師は見た目によらず結構強く、「南無阿弥陀仏!」と絶叫しながらアシュラを木に投げつけて気絶させ、軍配は法師に挙がります。

(技名:南無阿弥陀仏(投げ) 攻撃力50 → ← → + 強パンチ)

 

その後、法師はアシュラに普通の食事させ、言葉をしゃべれないアシュラに「南無阿弥陀仏」という言葉を教えます。この言葉は、やがてアシュラの人生を大きく変えることになります。

散所での労働

日本の中世には、「散所」というものがありました。散所とは、年貢を免除される代わりに、貴族や地主に隷属し労働する人たちが集まる場所のことです。散所にいる人は、一番身分が卑しいとされていました。

そしてこの散所では、七郎やその他年端もいかない子供たちが、重労働を課せられていました。しかも、大木をただなんとなく運ぶという意味不明な労働(原作でも、この労働に何の意味があるのかは書いていない)。

 

あまりの過酷さに、その場に倒れこむ一人の子供。そんな子供を狙って襲いかかったのは、腹を減らしたアシュラだったのです(七郎が握り飯を与えたので、事なきを得ました)

七郎たちは労働を続けますが、そこに地頭の子供小太郎とその仲間たちが現れ、身分が低い七郎たちに石を投げつけて邪魔をします。ところが、ここでアシュラが小太郎に襲いかかり、食い殺してしまったのです。

 

これに激怒したのは小太郎の父である地頭。ここで、地頭とアシュラのバトルが始まります(8歳の子供にムキになる大人・・・)。

アシュラは割と健闘しますが、武器を持った地頭には叶わず、崖から落とされて重傷を負ってしまいます。

若狭との出会い

アシュラは、重傷を負い川辺で気を失っていると、そこで村娘の若狭と出会います。若狭は、無人の小屋にアシュラを匿うと、怪我をの治療を行い食料を与えます(若狭は、アシュラが村から追われていることを理解した上でこの善行を行っている。なんてデキる娘!!)。

その後も若狭は、定期的に小屋を訪れてはアシュラに食料を持っていきます。これは、アシュラにとってすれば産まれて初めて人に優しくされた出来事でした。

こうやって、ふたりの間には徐々に信頼関係が築かれていきます。

そして若狭は、見晴らしの良い丘の上に立ってアシュラにこう言います。

「あの山のむこうに都がある。いつか都に行ってみたい、”あの人”と一緒に」

”あの人”とは、もちろん恋仲の七郎のことを言います。この時のアシュラは、恐らく若狭の言葉の意味を理解なんとなく理解していたのでしょう。

ストーカーと化すアシュラ

その後アシュラは、若狭に逢いたくて頻繁に村に現れるようになります。しかし若狭は、アシュラを匿っていることは村に内緒にしているため、大っぴらに相手にすることができません。

さらに、若狭はどんどん七郎に惹かれていくことになります。七郎との密会を大切にするがあまり、若狭はアシュラにそっけない態度を取るようになります。

 

アシュラは、そんな若狭の心境の変化を敏感に感じ取っていました。そしてついに、若狭が七郎と密会している瞬間を目撃してしまうのです。アシュラからすれば、”自分の若狭を七郎に取られた”という感覚だったのでしょう。

アシュラは、斧で七郎に斬りかかります。恋人を傷つけられた若狭は、激怒スティックファイナリアリティープンプンドリーム状態。アシュラに「人でなし!出て行って!」と言い放ちます。

 

若狭を完全に失ったアシュラは、絶望の淵に立たされます。そしてアシュラは、「こんな苦しいところに産まれてくるなんて。産まれてこなければ良かった・・・」と嘆くのです。

そんな時に登場したのが、謎の法師。半狂乱状態のアシュラは「人間は、食うものがなくなれば人肉だって食う。獣と一緒だ!」といって再び法師に襲い掛かりますが、法師は「喝!」と一喝して衝撃波を飛ばし、アシュラを相手にしません。

(技名:喝(遠距離攻撃) 攻撃力10 ← 溜め → + 強パンチ)

そして、「獣と人間は違う。人間には心がある」といってアシュラを戒めると、自ら自分の腕を切り落として「食えるものならこの腕を食え。食えないから人間なのだ」と説教します。

この強烈な説教の間には、さすがのアシュラも心が震えたようです。

大洪水

その日、大洪水が村を襲い、育てていた作物のほとんどが全滅してしまいます。村人たちは、年貢が収められなくなったばかりか、自分たちが食べる食物すらない状態です。

若狭の父は、食料を運搬中に村人に襲われ、怪我をして働けなくなります。若狭は村中を回って食料を探しますが、人に食料を分けられるほど余裕のある家はありませんでした。

村人たちの心は荒んでいく一方です。

若狭のためになんとか食料を工面していた七郎も、もう限界のようです。

 

食べ物に困り若狭トカゲすら追い掛け回す、そんな若狭を見ていたのは、あのアシュラでした。

人肉?馬肉?

若狭はますますやせ細り、骨と皮だけになってしまいます。そこに登場したのは、手に何かの肉を持ったアシュラ。

アシュラは、「食え」といって手に持った肉を若狭に与えます。極限まで飢えている若狭は、咄嗟に肉にかぶりつきそうになりますが、「これは人肉だ」と判断し、食べることをやめます。

実は、この肉の正体は馬肉であり人肉ではありません。アシュラが、地頭の屋敷に忍び込み、馬を殺して持ってきた肉だったのです。

しかし若狭は、これまでのアシュラの行いから「この肉は人肉」と思い込み、絶対に食べないという態度を貫きます。

アシュラは「これは馬肉」「生きるためなら仕方ない」「死んじゃ嫌だ」と、泣きながら何度も説得を試みますが、若狭は聞きません(若狭の父は、制止する若狭を振り切って馬肉を食います)。

若狭は「それ(若狭は人肉と思い込んでる)を食べてしまうと、今後一生苦しむ。そんな風に生きてくのは嫌」と言うのです。

 

ここで、馬を殺されて激怒した地頭が、村人たちを従えてアシュラを殺しに来ます。アシュラは森の中に逃げ込みますが、追っ手は執拗に追いかけてきます。

そして、アシュラと地頭の一騎打ちになります。つかみ合いの戦いの末、最終的に勝利したのは・・・・なんとアシュラ(8歳の子供に負ける武器を持った大人って・・・)。

 

しかし、村人たちは追求を止めません。アシュラはさらに逃げますが、ついにボロボロの橋の上に追い詰められます。

両端から火を付けられ、絶体絶命のピンチ。橋は焼け落ち、アシュラは谷底に真っ逆さま。アシュラはとうとう死んでしまったのか?

死体を運ぶ七郎

その後、大八車で一体の死体を運ぶ七郎たちの姿がありました。

そんな七郎たちの正面から歩いてくるのは、谷底に落ちたはずのアシュラ。

 

アシュラが七郎たちとすれ違う時、その死体の主が若狭であることを知るのでした。

 

そして物語の最後、袈裟を着て木の仏像を掘り続ける、お坊さんらしき人物が描かれます。その人物とは・・・なんと大人になったアシュラの姿だったのです。

考察及び感想

最後のシーンから、若狭はあのあと餓死してしまったということがわかります。

若狭は結局、人肉(本当は馬肉)を食べるよりも死を選んだということですね。

また、最後にアシュラが出家したところをみると、アシュラは大好きだった若狭の死に直面することによって、これまでは”生きるためなら人肉だってなんだって食べる”という考え方だったところ、”人間らしく生きる”という観点について考えるようになったと思われます。

 

人であることを捨てて人肉を食べるのか、死を選ぶのか・・・重すぎる「究極の選択」ですね(・・;)

私は子供のころ、「カレー味のう〇こと、う〇こ味のカレー、どっちを食べる?」が究極の選択だと思っていましたが、それとは比べ物にならないくらい重い選択肢ですね・・・

私は、どんなにハラが減っても人肉は食べたくないと”今は”思いますが、極限状態に追い込まれれば、どんなことを思うんでしょうか・・・?

 

みなさんはどうでしょうか?

 

というように、なかなか考えさせられるアニメです。また、冒頭でも触れたように、アニメよりも漫画のほうが容赦なくストレートに描かれているので、興味がある方は、是非一度原作を見てみてください。

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