【考察】「ルパン三世 燃えよ斬鉄剣」(ネタバレ)五エ門の過去とは?そして斬鉄剣はどうやって作られた?

アニメ

作品紹介

制作 1994年
ジャンル アニメ
監督 奥脇雅晴
声優 山田康夫小林清志井上真樹夫増山江威子納谷悟朗

「燃えよ斬鉄剣」は、ルパン一味の一人である石川五エ門にスポットライトを浴びせた作品であり、ルパン三世TVスペシャルシリーズの第6作目となっています。

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このアニメのみどころ

この映画の見どころは、なんといっても石川五エ門です!!

石川五エ門がルパン以上に活躍するストーリーとなっており、五エ門の過去や斬鉄剣の謎が描かれているなどしていますので、五エ門ファンの人にとってはたまらない作品となっています。

また、寡黙で硬派な半面、女性には弱くて非情になりきれないという五エ門の性格が良く描かれており、「五エ門らしいなー」と思える場面が数多くあります。

 

五エ門が大活躍するこの映画、一見の価値ありです!

斬鉄剣とは?

斬鉄剣とは、ルパンシリーズでの主要キャラ「石川五エ門」が愛用している主戦武器のことことです。

鞘のついていない日本刀で、五エ門は常に仕込み刀のように持ち歩いています。

刀の製法については諸説ありますが、隕石を原料として製造されたとする説が一般的と言われています。

この世において斬鉄剣で斬れないものは無い、という設定ですが、唯一斬鉄剣で斬れないものは”こんにゃく”だそうです(この時点で設定に矛盾がある気がするが・・・)。

しかし、”斬鉄剣でも斬れないもの”というのは、シリーズを通じてみれば結構存在していて、その設定もまちまちとなっています(長期シリーズものなので仕方ない一面も・・・)。

 

ストーリー

序盤

余暇を楽しんでる途中だった五エ門は、ある日突然、謎の忍者集団に襲われます。その忍者集団を指揮する幻斎の狙いは、五右衛門が持つ斬鉄剣にあったのです。

五右衛門は、ルパンたちの協力を得てなんとか幻斎たち忍者集団を退けます。五右衛門は、この忍者集団の来襲に関して、何か事情を知っているようですが、ルパンたちには何も語らず、「この件には関わるな」と言ったっきり一人で去ってしまいます。

 

ルパンと次元がこの事件について調べてみると、香港に住む大富豪・陳珍忠が一枚噛んでいることが判明します。

 

ルパンたちは早速香港に赴き、陳が主宰するパーティーに忍び込みます。すると、そこには峰不二子の姿がありました。

そして3人は、1912年に海底に沈んだ豪華客船「タイタニック号」の船内に、世界一の美術品”竜の置物”が眠っており、陳がそれをねらっているという狙っているということを知ります。

一方、五エ門は伊賀の国へ戻り、先祖代々伝わる”巻物”を手にしていました。

”竜の置物”とは、80年前、伊賀の忍者屋敷から何者かによって持ち去られてしまったものだったのです。そして、五右衛門が手にしたこの”巻物”がなければ、”竜の置物”は一切価値を発揮しないというものだったのです。

その後五エ門は、かつて忍術を教示していた桔梗と運命的な再開をします。そうして五右衛門と桔梗の二人は、共に”竜の置物”を取り戻すべく動き出します。

 

ここに、

ルパンたち vs 陳珍忠 vs 五エ門たち

の、”竜の置物”を巡る三つ巴の戦いが開始されたのです。

中盤

ルパンたちは早速海底に潜り、タイタニック号の船室密室の謎を解き、”竜の置物”を手に入れます。

しかし、そこで現れたのが五エ門と桔梗。五エ門は、なんとかルパンから”竜の置物”を奪い取ろうと斬鉄剣で切りかかりますが、剣先が”竜の置物”に触れた瞬間、不気味な光を放ったのです。

この争奪戦に巨大潜水艦を持つ陳珍忠が加わり、圧倒的な資金力でルパンたちを追い詰め、”竜の置物”を奪い去ってしまうのです。しかも、陳珍忠の潜水艦の中には、幻斎の姿も・・・

なんと、陳珍忠と幻斎はグルだったのです。

 

なお不二子は、お得意の変わり身を使い、ルパンを裏切って陳珍忠側に付いてしまいます。

 

ここで、陳によって”竜の置物”の秘密が語られます。

この”竜の置物”には、とある金属の製造方法が記されているのです。そしてその金属とは、なんと五エ門が持つ斬鉄剣よりも優れた最強の金属であるというのです。

かつて、この金属の製造に関わった日本の刀技師は、あまりにも恐ろしい切れ味だったため、後世において悪用されることを恐れ、その製造方法を書き記した金属に加工を加えて”竜の置物”に変えていたのです。

この”竜の置物”を元の形に戻すやり方が書いてあるのが、”巻物”だったのです。

以前、斬鉄剣が”竜の置物”に触れたときに不気味に光ったのも、この二つの金属は兄弟のようなものだったからなのです。

 

その頃、ルパンと次元の二人は、”竜の置物”を取り戻すために陳の屋敷に忍び込んでいました。しかし、時を同じくして、五エ門と桔梗の二人も陳の屋敷に忍び込んでいたのです。

再び三つ巴の争奪戦が繰り広げられますが、途中、幻斎の罠にはまり、桔梗は”巻物”とともに多数のワニが蠢く水場に落ちてしまうのです。

桔梗を失った悲しみは大きく、五エ門はショックを受けてしまいます。

 

ルパンたちはなんとか”竜の置物”を奪還し、五右衛門を連れて陳の屋敷を脱出するのです。

後半

香港内のホテルで一夜を過ごすルパンたちですが、五エ門は相変わらず悲しみに暮れていました。

そこで、なんと死んだと思われていた桔梗が五エ門の前に登場します。

「桔梗、生きていたのか!?」と叫ぶ五右衛門ですが、桔梗は手持ちの小刀で五エ門の腹部を刺し、”竜の置物”を奪って逃げてしまいます。なんと桔梗は陳の回し者であり、”巻物”を奪うために五エ門に接近していたのでした。

80年前、伊賀の忍者屋敷から”竜の置物”を奪い去ったのは桔梗の曽祖父であり、陳に”竜の置物”の存在を教えたのも桔梗だったのです。

 

ついに”竜の置物”と”巻物”の二つを手にした陳珍忠。早速”竜の置物”に記されてある最強の金属の製造方法を解読し、金属の製造に取り掛かります。

そこで完成したのは、最強の金属を使用して作られたステルス爆撃機(B-2爆撃機?)。

(ってか、完成するの早っ!)

陳は、この絶対に撃墜されない爆撃機を使って世界中を席巻し、ありとあらゆる権力者からお金を巻き上げようとしていたのです。

 

かくして、この最強の爆撃機は、ニューヨークへ向けて離陸していくのです。

ラストシーン

陳の爆撃機は、米海軍艦載機F-14トムキャットの攻撃をものともせず、あっという間に3機を撃墜。

しかも、機体を体当たりさせて、まるで日本刀のように真っ二つに切って撃墜。

(どんな飛行機やねん!!)

あっという間に、アメリカ太平洋艦隊を全滅させます。

 

快進撃を続ける爆撃機の前に立ちはだかったのは、小型の複葉機に搭乗する五エ門とルパンたち。なんと五エ門は、この最強金属でできている爆撃機を斬鉄剣で斬ろうとしているのです。

(その発想もヤバい!!)

 

このようにして、斬鉄剣とステルス爆撃機のものすごい空中戦が始まります。

 

五右衛門は、複葉機から爆撃機目指して飛び出して(飛び降りて?)、直接斬鉄剣で切りかかります。当初は、全く歯が立たないかのように見えました。

しかし、一寸の狂いもなく同じところを切り続け、3度目の挑戦でついに爆撃機を真っ二つにすることに成功します。

 

そこには、墜落していく爆撃機とともに、海に落ちていく桔梗の姿がありました。五右衛門は、そんな桔梗を厳しい目で見つめていたのです。

考察及び感想

幻斎の祖先

最初に、幻斎という男。

幻斎は、「百地党の流れを組む」と自己紹介していましたが、これは史実における「伊賀の三大上忍」に由来すると思われます。

伊賀の忍者というと服部半蔵が有名ですが、実は伊賀の国には、忍者を統括する3人の実力者がいて、それが服部半蔵と、百地丹波(ももちたんば)藤林長門守(ふじばやしながとみのかみ)の3人だったのです。

おそらく幻斎は、百道丹波の流れを組む忍者だったのでしょう。

また、幻斎は五エ門を「兄弟分だ」と言っていましたが、これは、五エ門の祖先である石川五右衛門が、百地三太夫(≒百地丹波)から忍術を教えてもらっていたという説が存在するためだと考えられます。

幻斎の目的変更の謎

次に、幻斎の目的変更の謎です。

ストーリーの最初、五エ門を襲った幻斎の目的は”斬鉄剣を奪うこと”にありました。しかし、いつの間にか”巻物を奪うこと”に目的が変更されていました。

五エ門が巻物を手に入れる際に、斬鉄剣で大岩を切っています。この大岩は、斬鉄剣でないと切れないものだったのでしょう。

おそらく幻斎は、”巻物”の場所は知っていたものの、斬鉄剣がなければこの大岩は切れないと考え、当初は斬鉄剣を奪おうとしたのだと考えられます。

しかし、五エ門が大岩を切って”巻物”を手に入れてしまったので、柔軟に”巻物を奪うこと”に目的を変更したのだと考えられます

 

作中では、タイタニック号の船内を捜索中だったルパンが、”竜の置物”の持ち主と思われる白骨と、その傍にあった刀の鞘から「日本人か…?」と推測するシーンがあります。

タイタニック号が沈没したのは1914年。1914年といえば、ちょうど第一次世界大戦が勃発した頃なので、さすがに当時の日本人で刀をぶら下げて海外旅行に行く人はいなかったのでは?

と思ってしまいましたwww

まあ、五エ門もそうですが、幻斎や桔梗や他の忍者集団の人たちも、この現代の世において平気で日本刀を振り回し、手裏剣を投げつけてくるくらいなので、その当時もきっとそんな感じだったのでしょう。

戦闘機の出来上がりが速すぎる

最後に、陳が作った爆撃機について。ストーリーの進行上、おそらく製造方法が分かったその日に爆撃機が完成したと考えられますが、これはいくらなんでも早すぎなのでは・・・?

考えられるのは、アビオニクスやエンジンなどは既に完成していて、後は最強の金属で装甲を固めればOK!という段階だったということ。

その状態であれば、技術者を総動員して突貫工事をすれば、1日で完成すると考えられなくもないです。

しかし、例えば航空自衛隊の支援戦闘機であるF-2戦闘機は、設計チームが編成されてから初飛行まで5年かかっているわけで、さすがに1日で完成というのは無理がある設定だったのでは?

感想

全般的な感想としては、なかなかシリアスな終わり方をしたなといった印象を受けました。桔梗が裏切った時、「途中で改心して、最後はめでたしめでたしパターンか?」と思ったんですが、最後まで悪役を貫き通していました。

桔梗との過去の思い出が美しく描かれていただけに、五エ門にとって桔梗の裏切りはかなりショックな出来事だったに違いありません。同時にそれは、「人間とはそういうものだ」という世間の厳しさを我々に教えてくれているのかもしれません。

 

また、個人的に好きなキャラである銭形が、今回は完全なお笑いキャラとして扱われており、ストーリーになんら関わってこないので、その点についてはやや残念ではありました(;’∀’)

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