【考察】「ルパン三世 バイバイ・リバティー・危機一髪!」(ネタバレ)89年当時のIT事情に思いを馳せることができる作品

アニメ

作品紹介

制作 1989年
ジャンル アニメ
監督 出崎統
声優 山田康夫小林清志井上真樹夫増山江威子納谷悟朗

「ルパン三世 バイバイ・リバティー・危機一髪!」は、ルパン三世シリーズのTVスペシャルにおける記念すべき第1作目となっています。

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このアニメのみどころ

この映画の見どころは、科学技術の粋を結集させたコンピューター・テクノロジーです!!

 

・・・とはいっても、このアニメが作られたのは1989年。

1989年といえばまだまだワープロが主体で、windows95すら無く、ようやく32bitのパソコンが世に出始めたといった時代です。

インターネットがようやく民間で普及し始めたのも、このころです。

当然スマートフォンなんかも無く、ビジネスマンなどのごく少数の限られた人が、トランシーバーのような形をした携帯電話を持ち歩くようになった頃なのです。

 

作中では、まるでブラウン管テレビのようなPCや、大量のフロッピーディスク/CDが登場します。主要人物であるマイケルは、持ち運び型のノートPCを使いこなし「コンピューター・ウイルス」という言葉も登場します。

今見れば時代を感じるものとなっていますが、これが当時としては最先端だったのです。

 

そう考えると、このアニメはまさに、時代のトレンドに乗って作られたアニメだといえるでしょう。

 

また、大人をうならせるような名台詞が登場するのもこの回の特徴です。

私が特に好きなセリフは、次元大介の

「ルースター!やっぱりいい女の子だぜ、この娘はよ!」

そして、石川五エ門の

「恋は無常でござるな、アラスカの雪は実に奇麗だった・・・」

これだけだと、どこが明言かわからないと思いますが、実際にアニメを見ながらストーリーを追っていくと、このセリフの意味が分かると思います。

ストーリー

序盤

次元大介の旧知のパートナーであるルースターは、かつて、世界最大のダイアモンド「スーパーエッグ」を盗み出し、ニューヨークにある自由の女神の”どこか”に隠していました。

秘密結社「スリー・メーソン」は、そんなルースターからスーパーエッグの隠し場所を聞き出そうと、刺客を送り込みます。しかしルースターは、スーパーエッグの隠し場所を明らかにしないまま殺されてしまうのです。

かくして、ルパンはスーパーエッグを求めて、次元はルースターの復讐のため、スリー・メーソンに立ち向かっていくのでした。

 

そこでルパンは、自由の女神の銅像に巨大な気球を取り付け、銅像丸ごと引っこ抜くという大胆な手法で、スーパーエッグを銅像ごと盗むことに成功します。

ここでルパンたちの前に、謎の少年が現れます。正体不明のこの少年は、自分の名前を「マイケル」と名乗り、コンピューターに詳しくていろいろな情報に長けていました。

そしてマイケルは、ルパンにあることを依頼します。それは、どんなデータでも自分の好きなように作り替えることができるという特殊プログラム”ニューウイルス”を盗んでほしいというものだったのです。

そうしてルパンたちは、スーパーエッグを探しつつも特殊プログラムを追求していくということになったのです。

 

一方、アラスカで修業中の五エ門は、電車の中で、スリー・メーソンの手下に追われている美しい女性を助けます。その女性の名は「イザベル」といい、五エ門は一瞬のうちに恋にイザベルに落ちてしまいます。

この日以来五エ門は、イザベルの用心棒として共に行動することになるのです。

中盤

スリー・メーソンの総帥であり、不思議な妖術を使う老人シルバー・マンは、「No.3」と呼ばれる実力者ジミーに、スーパーエッグとニューウイルスのデータを探してくるよう指令を与えていました。

なんでも、ニューウイルスのデータは、裏切り者の「No.2」が持っているとのこと。

シルバーマンは、偶然捕まえた峰不二子を利用して、ルパンたちからスーパーエッグを奪還しようと企むのです。

 

一方、ルパンたちはついにスーパーエッグを探し当てます。しかし、スリー・メーソンの手下の襲撃や銭形警部の邪魔などが入り、スーパーエッグを持つマイケルと離れ離れになってしまいます。

その後、五エ門、イザベルの二人と合流したルパンたちは、ニューオリオンズのホテルに向かうのでした。

ここでルパンは、イザベルから「スーパーエッグを買い取りたい」という申し出を受けます。商談は成立しますが、なぜイザベルがスリー・メーソンから追われているのかという理由は不明のままです。

 

マイケルと合流したルパンたちは、再びスーパーエッグを手に入れ、イザベルに受け渡すこととなりました。

しかし、ここでシルバーマンの妖術により操られた不二子が乱入し、スリー・メーソンによってイザベルが連れ去られてしまうのです(スーパーエッグはなんとか死守)。

ここでマイケルは、イザベルを見て「ママ!」と叫びます。そう、イザベルはマイケルの母親であり、”ニューウイルス”の発明者でもあったのです。

マイケルがルパンに依頼した「ニューウイルスを探してほしい」というのも、母親を見つけるということが真の目的にあったのです。

 

ルパンたちは、スーパーエッグとイザベルの身柄を交換することとなりました。

終盤

スリー・メーソンによって捕らえられたイザベルは、なんと裏切り者の「No.2」だったということが判明します。

そしてイザベルは、ジミーを誘惑して仲間に引き入れ、シルバーマンを銃で撃ち殺してしまうのです。

そうとは知らずイザベルの身柄とスーパーエッグを交換に来たルパンたちを罠にはめて、地下水路に落とすという鬼畜っぷり。

 

地下水路から脱出したルパンは、ジミーを捕まえてスーパーエッグとニューウイルス、イザベルの関係性について問いただします。

 

もともとスーパーエッグは、スリー・メーソンのもとにあったのですが、No.2だったイザベルがニューウイルスの開発に成功したと同時に、スーパーエッグを持って組織を去ってしまったのです。

ニューウイルスを使うにはどうしてもイザベルの存在が必要であり、それゆえスリー・メーソンは二つの行方を同時に追っていたということです。

イザベルは、やがてはニューウイルスを独り占めにし、世界をわがものにしようとしていたのです。

 

そしてイザベルは、スーパーエッグを使って自らを催眠状態にして深層心理に隠された暗号を導き出し、ついにニューウイルスを発動させるべく巨大コンピューターを呼び出すことに成功します。

しかし、野望の成就まであと一歩というところで更なる裏切りが起こります。

ジミーがナイフでイザベルを刺し、自らがNo.1にとって代わろうとしたのです。

ラストシーン

ルパンは、重症を負ったイザベルを担ぎ、ビルから脱出を図ります。

その後イザベルは、エレベーターの中で、マイケルとの涙の再会を果たすのです。

 

一方ジミーは、五エ門に斬られて重傷を負い半狂乱状態となりますが、最後の力を振り絞ってニューウイルスを発動させ、アメリカとロシアのコンピューターに侵入して核ミサイルを乱発させるよう指令を出します。

 

そこで立ち上がったのがマイケル。ルパンとともにビルの中に戻り、巨大コンピューターを操作して、核ミサイルの発射を0.02秒差でキャンセルさせます。

 

かくして、ルパンたちの活躍により世界の平和は守られたのです。

ルパンたちはヘリでビルから脱出しますが、そのなかで、イザベルは息子を目の前にして絶命してしまうのです。

考察及び感想

スリー・メーソンについて

まず、「スリー・メーソン」についてですが、これは、世界の重大事件の裏には必ずこの組織が絡んでいるとされる都市伝説的な組織「秘密結社フリー・メーソン」がモデルになっていると思われます。

スリー・メーソンは、作中においても一応「秘密結社」という扱いなんですが、本部はニューヨークのど真ん中そびえたつ超巨大ビルということで、秘密にしようとする気はあまりなさそうです。

イザベルがスリー・メーソンを抜けた理由

次に謎が残るのは、イザベルがスリー・メーソンを抜けた理由です。

ジミーの説明では、「イザベルはニューウイルスを独り占めしようとしていた」ということです。

しかし、ニューウイルスはスリー・メーソンの巨大コンピューターからでしか発動させられないようなので、イザベルがスーパーエッグを持って組織を抜けたとしても、あまり意味がないように思えます。

 

イザベルは、シルバーマンのことを「骨董品」と卑下していたくらいなので、彼のことを嫌っていたということはわかります。

なので、サラリーマンが会社の上司のことが嫌になって辞めてしまうのと同じく、案外イザベルも上司が嫌になって辞めただけなのかもしれませんねww

ルースターとは誰なのか?

序盤に登場し、次元大介となにやら関係が深そうな雰囲気を醸し出すルースターですが、彼はこの映画だけに登場するサブキャラで、原作で登場することはありません。

イザベルからスーパーエッグを盗んだのはルースターで、自由の女神のたいまつ部分にそれを隠したのです。

 

ストーリーから察するに、次元とスールターは相棒同士だったと推測されます。

ルースターの口癖は「無理だからこそ俺がやる」というもので、昔(何年前かは不明)から次元が止めても聞かなかったようです。

 

そもそも次元とルースターは、組んで何をしようとしていたのか?ストーリ進行上、おそらくスーパーエッグを回収しに行ったのだと思われます。

作中で次元は、「スーパーエッグを売ったお金をルースターの妻と子供に仕送りする」とも言っていたので、ただ単に回収したスーパーエッグを売ってお金に換えてしまおうというものだったのではないでしょうか。

マイケルの分析

マイケルの登場により、ルパンと銭形の詳細なデータが語られています。

・ルパン
犯罪歴(何罪なのかは不明)→3331回
成功率(何の成功率なのかは不明)→98.752%
加入クレジット→32社
所有メンバーズカード→327枚

・銭形警部
ルパン逮捕失敗歴→738度(そのため、同僚よりも28%給料が低いらしい)

 

それにしても、ルパンの犯罪歴3000回以上というのはすごい。1日1回犯罪を犯し続けても、10年近くかかる!

主要VOD4社配信状況

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