【考察】「鳩の撃退法」(ネタバレ)鳩の撃退って何?この難解な映画を徹底解説!!

名作

作品紹介

制作 2021年
ジャンル ミステリー
監督 タカハタ秀太
キャスト 藤原竜也土屋太鳳西野七瀬風間俊介豊川悦司

「鳩の撃退法」は、第157回直木賞受賞作品「月の満ち欠け」「身の上話」で有名な佐藤正午さんが書いた小説が基となっており、2014年に出版され第6回山田風太郎賞を受賞しています。

佐藤正午の書いた数ある小説の中でも、最高傑作と名高いのがこの「鳩の撃退法」なのです。

 

内容の特殊性から、これまで「この小説の映像化は不可能」されていましたが、タカハタ秀太監督が果敢にも映像化に取り組み、完成するに至っています。

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この映画のみどころ

この映画の見どころは、斬新なストーリー進行、そして終盤における伏線の回収具合です。

 

まずストーリーの進行ですが、この映画では、主人公の津田が書いた小説の中身と現実の世界交互に映し出されることになります。

しかも、津田の書く小説の主人公もまた「津田」であり、演じる役者も同じ役者で藤原竜也さん。時には、藤原竜也さんが同時に二人出てくるシーンもあります。

現実パートはまさに現在進行形であり、小説には過去のことを書いてあるので、過去と現在がパラレルワールド的に進むことになります(以前紹介した「メメント」にも少し通じるところがあります)。

しかも、津田が書く小説には「嘘」が含まれているというのですから、うまく頭の中で整理ができないと混乱してしまいかねません。

 

この映画は「難解だ」と言われていますが、その理由がこのストーリー進行にあると思われます。

 

また、伏線の回収については見事の一言です。

主人公の津田は、意図せず偽札の3万円を手にしてしまい、それがきっかけで命を狙われることになるのですが、なぜ津田が偽札を手に入れるに至ったのか?

そこには、合計13人の人間が関わっており、「風吹けば桶屋が儲かる」理論で巡り巡って津田のもとにやってくることになるのです。

 

”点”と”点”が結びついて”線”になる瞬間は、まさに快感の一言です。

 

また、監督のタカハタ秀太さんが富山県出身ということで、ロケはすべて富山県で行われています。

富山県の方が見れば、「あ、ここ近所じゃん!」みたいなシーンが出て斬るかもしれませんね。

一見の価値ありです。

登場人物

津田伸一

本作の主人公であり、小説家。かつて、直木賞を受賞したほどの天才作家だったが、以前書いた”現実を基にしたフィクション小説”が、他人の秘密を暴露するような内容だったため、名誉棄損で訴えられ、落ち目となった。

今は、デリヘル「女優俱楽部」の送迎ドライバーとして日銭を稼ぎながら、執筆活動を続けている。

現在小説を執筆中であり、編集者の鳥飼に担当してもらっている。

 

金と女にだらしなく、トラブルが絶えない。俗な言い方をすれば”クズ”な人間。

沼本

津田の行きつけのコーヒーショップの店員。沼本と書いて「ぬもと」と読むが、津田からは「ぬまもと」と呼ばれている。

津田をぞんざいに扱うことが多いが、徐々に津田に対して特別な感情を抱くこととなる。

鳥飼ほなみ

編集者に務める社員で、津田伸一を担当している。

津田の実力を認めているが、以前津田画が書いた小説が名誉棄損で訴えられて以来、「津田は”フィクション小説”と言いつつも、また事実を書くのではないか?」と疑っている。

幸地秀吉

津田行きつけのコーヒーショップに真夜中に現れては、一人読書を楽しむ青年。

BARの店長を務めており、妻と4歳の娘がいる。しかし、娘は妻の連れ後であり、血は繋がっていない。

幸地菜々美

秀吉の妻。現在、妊娠中。

本人は「秀吉の子供」と言い張るが…

晴山次郎

若い郵便局員。女好き。

倉田健次郎

裏社会を仕切るドン。事件の裏には、必ず倉田が絡んでいると言われている。

川島社長

デリヘル「女優倶楽部」の社長。

倉田のことを恐れている。

房州老人

「房州書店」の主人。

津田をかわいがっている。

まえだ

床屋「まえだ」の主人。

無口だが義理堅い性格で、口も堅い。

ストーリー

序盤

津田伸一は、以前は直木賞を受賞したほどの大作家であったが、今は落ちぶれ、デリヘルのドライバーの仕事をして日銭を稼いでいた。

新作を執筆しようとする意欲は低く、チンピラに絡まれてボコられるなどトラブルが絶えない日々を過ごしていた。

 

そんな津田は、良き話し相手でもある房州老人から「ピーター・パンとウェンディ」という古本を100円で購入する。

午前3時、津田は行きつけのコーヒーショップで「ピーター・パンとウェンディ」を読んでいると、一人の青年が入店し、一人で読書を始める。実はこの青年は、深夜にたびたびこの店を訪れては読書を勤しんでいたのである。

 

津田はこの青年に声をかけ、小説談議に花を咲かせる。

聞くところによると、この青年は「幸地秀吉」と名乗り、4歳の娘がいるらしい。そして、つい最近”良くない方の奇跡”が起こったという。

秀吉は、「ピーター・パンとウェンディ」を気に入った様子だったので、津田は「今度会った時にこの本を貸す」という約束をし、二人は別れることとなる。

しかし、二人はこの場所で二度と会うことはなかった。なぜなら、幸地一家は、その日を境に失踪したからだ。

 

・・・と、ここまでの話は、実は津田が執筆中である小説の内容だった。津田は、この書きかけの小説を、編集者の鳥飼に見せていたのである。

鳥飼は、この話の続きが書いてある原稿を5万で買い取り、自宅に帰ってさらに読み進めることとした。

中盤

(以下、小説パート)

秀吉は、津田に出会う前日、妻である菜々美から「妊娠した」と告げられていた。しかし、お腹の子が自分の子供ではないことを、秀吉が一番よく知っていた。

動揺した秀吉は、BARに電話し、今夜は出勤できないことを店員に告げた。

ここで秀吉は、重大なミスを犯すことになる。秀吉は、倉田からある頼まれごとを引き受けていた。それは、BARに届く”ある物”を預かっておくというものだったが、秀吉はBARに顔を出さなかったため、人任せになってしまったのであった。

 

一方津田は、「女優倶楽部」に所属するデリヘル嬢の加賀まりこが貢いでいる男・晴山次郎を駅まで送り届けることとなったが、晴山が指定してきた場所は特急の止まらない無人駅。

そこで晴山は、別の女とキスをし始める。津田は、嫌な気持になりながらも淡々とドライバーとしての仕事を続ける。なお、この女は幸地秀吉の妻・菜々美であることが後に判明する。

 

(以下、現実パート)

ここまで読み進めた鳥飼は、ある疑念が湧き始めていた。それは、この小説はフィクションではなく事実なのではないか?という疑問だった。

鳥飼は津田に問い詰めるが、うまくはぐらかされてしまう。また、津田はこの小説に浮いて「幸地一家失踪事件の他に、もう一つでかいネタが登場する予定だ」と告げる。

 

(以下、小説パート)

ある日、房州書店の主人が急死する。津田は、房州老人から遺品としてとあるキャリーバッグを譲り受けることとなった。

津田が中身を空けてみると、中には3000万円の札束と、バラで3万円の合計3003万円が入っていた。その他にも、亡くして行方が分からなくなっていた「ピーター・パンとウェンディ」の本も入っていた。

「房州老人は、一体なぜこんなものを自分に残したのか?」

津田は、ついいつもの癖で、バラの3万円をしおり代わりに「ピーター・パンとウェンディ」に挟み込む。

 

房州老人の意図が汲み取れないでいた津田だが、何気なく使った1万円がきっけけとなり、なんとこの房州老人が残したお金は偽札だったことが判明する。

そして、この偽札の出所についてヤクザのドンであ倉田が探し回っているという情報も出回り始めた。津田は、倉田に命を狙われることとなった。

その後津田は、倉田の手下・大河内に捕まることになるが、報復を恐れた津田は、3000万円が入ったキャリーバックを大河内に渡す。

大河内は倉田に電話で報告するが、そこで倉田から「つがいの鳩が飛び立つのを見なかったか?」という伝言を受ける。

倉田の伝言の意図が理解できないまま、津田はその場を後にする。

 

倉田を恐れて、川島社長は津田を解雇。津田は、床屋「まえだ」の店主である前田の紹介で、東京の高円寺にあるBAR「オリビア」で世話になることとなる。

 

(以下、現実パート)

ここまで読み進めた鳥飼は、この小説は本当にフィクションなのかと強く疑うことになる。

なぜなら、津田が働いていて、且ついつも原稿を読み合わせている場所が、この小説に登場する「オリビア」だったからだ。

 

鳥飼は、単独で小説の舞台(富山県)に向かってみると、津田行きつけのコーヒーショップ、沼本という名の店員、床屋「まえだ」、すでに売地となった高知家の家などすべてが小説の内容と同じように実在していることを知る。

この小説はフィクションではなく、津田の実体験を基にして書かれたものだったのだ。

終盤

津田がオリビアで働いていると、一人の男が津田を訪ねてきた。

その男は、慈善団体に所属する堀之内という男で、3000万円の寄付のお礼に来たという。

津田から3000万円を受け取った倉田だったが、実はその3000万円は偽札ではなく本物だった。倉田は、3000万円の方には興味はなく、津田の名前で慈善団体に全額寄付をしていた。

倉田が本当に探していたのは、バラで入っていた偽札の3万円(津田がしおり代わりに本に挟んでいた)の方だった。

倉田の伝言にあった”つがいの鳩”とは、2枚の偽札(1枚は使用済み)だったのだ。

 

津田は、なぜ自分のもとに偽札が出回ることになったのかを推理してみる。

当初、倉田が幸地秀吉にした頼みごとが”偽札の保管”であり、その後あらゆる偶然が重なった結果、房州老人からもらい受けたキャリーバッグの中に偽札が入り込み、知らずのうちに津田が受け取っていた(細部は後述)。

 

津田は、小説を書いているうちに、偽札事件、そして幸地一家失踪事件の真犯人を暴いてしまったのだ。事件の真相を知っている津田を、倉田は許すはずはない。

そんな中、津田はとある地方紙の第一面を目にする。そこには、「車が発見され、男女二人の遺体が発見」という見出しがあった。

ラストシーン

(以下、小説パート?)

倉田は、自分の頼み事(偽札の保管)を人任せにした幸地秀吉の責任を追及していた。その結果、幸地秀吉の妻・菜々美の浮気騒動が原因であることを知る。

倉田は、早速菜々美とその浮気相手である晴山を拉致してくるよう部下に伝えると、人気のない廃車置き場に連れてこさせ、晴山に激しい暴行を加えた。

そこで秀吉は、「晴山の命を助けてやってくれ」と倉田に懇願する。

子供を作ることができない体質の秀吉にとって、晴山は、妻を寝取った憎い存在であると同時に、家族を一人増やしてくれたありがたい存在でもあった。

しかし、倉田が秀吉の願いを聞くことはなく、容赦ない暴行が晴山に加えられていった。

 

(以下、現実パート)

ここまで読んだ鳥山は、「バットエンドですね」と呟く。

しかし津田は、「まだわからない」と返答する。

津田は、”小説家にしかできないこと”をやろうとしていた。

 

(以下、小説パート?)

倉田の部下に暴行を受け続ける晴山。許しを懇願するが逆に暴行を受けてしまう秀吉。恐怖で何もできない菜々美。

そんな絶望できな状況の中、晴山はどさくさに紛れて傍の車に乗り込み、周囲を暴走して倉田の部下たちを翻弄する。

 

そんな一瞬のスキをつき、秀吉は菜々美と娘の茜が乗る車に乗り込み、走り去ってその場を逃げ出す。そんな3人の姿を、倉田は茫然と見つめていた

 

(以下、現実パート)

すべてを読み終えた鳥飼は、「タイトルをどうしますか?」と津田に尋ねる。

決めあぐねている津田に、ある贈り物が届く。その中には、「ピーター・パンとウェンディ」の本が入っていた。

 

津田と鳥飼は、慌てて店の外に飛び出し、車に乗り込む秀吉の姿を目撃する。そしてその車内には、倉田の姿もあった。

 

この瞬間、津田は「タイトル決めた!」と鳥飼に告げ、オリビアに帰るのだった。

考察及び感想

3万円の行方

倉田が用意した偽札の3万円を、なぜか津田が手に入れる羽目になったわけですが、その経緯については以下のとおりです。

秀吉が店の従業員の佐野から、3万円の給料前借を頼まれ、これを承諾する。

倉田が、秀吉に偽札の3万円を保管しておくように指示を出す。

妻の浮気が発覚したため、秀吉は店を休み、倉田からの頼まれごとは部下に申し送る。

佐野が出勤。店の金庫にあった偽札の3万円を、
秀吉が用意してくれた前借分の3万円と勘違いし、そのまま持ち出す。

佐野が友人の田中に3万円を貸す。

田中がデリヘル嬢(「女優倶楽部」の加賀まりこ)に3万円を渡す。

まりこが、津田に借りていた分の3万円を
「ピーター・パンとウェンディ」の間に挟んで渡す。

子供が、「ピーター・パンとウェンディ」の本に興味を持ち、
持ったまま降りてしまう。

子供の母親が、「津田に渡すように」と本と3万円を房州老人に渡す。

房州老人は、津田のために残した3000万円の他に、
本と3万円をキャリーケースの中に入れる。

津田がキャリーケースを受け取る。

ラストシーンは本当か嘘か?

サブタイトルの「小説(ウソ)を見破れ」にもある通り、津田が書いた小説にはどこかに嘘が紛れていると思われます。

しかし、どこが嘘なのかは明言されておらず、視聴者が想像するしかありません。

 

私が考えるに、ラストシーンにおいて晴山が暴行を受け、最終的に秀吉たち3人がその場を脱出するというシーンは、津田が書いた嘘なのではないかと思います。

 

その理由の一つとして、

津田はそもそも廃車場の現場を見ていないし、誰かから話を聞いているとも考えられない

ということがあります。

 

もう一つは、

地方に書いてあった「男女二人の死体」とは、晴山と奈々美の二人

であると考えるからです。

ストーリー進行上、殺される男女二人と言ったら晴山と奈々美しか考えられません。

また、最後に倉田と秀吉が共に車に乗っているシーンを見ても、おそらく晴山と菜々美が殺され、秀吉のみが生かされたものと推測できます。

 

そしてもう一つは、

津田が敢えてバッドエンドをハッピーエンドに書き換えたもの

と考えるからです。

津田の言っていた”小説家にしかできないこと”とは、まさにこのようなことなのでしょう。

偽札3万円の存在意義

一つだけわからないことがあります。

それは、

倉田は何の目的で偽札の3万円を用意したのか

ということです。

 

もし偽札を詐欺に使うのであれば、大量に用意して然るべきだと思うのですが、倉田が用意したのは3枚だけ。

そもそも、倉田はお金には興味がない人間なので、偽札を使って大儲けするようなことは考えづらいです。

では、美術品のごとく観賞用なのかというと、倉田の部下が必死こいて探しているところや、偽札を無くしたことで晴山や菜々美が殺された(個人的意見)こと考えると、それも考えづらい。

 

この3枚の偽札には、何か重要な意義が隠されているものと思われます。しかし、作中ではこのことについて語られず、ヒントも出てきませんでしたので、結局不明のままです。

主要VOD4社配信状況

※配信が開始され次第、更新します。

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