作品紹介
制作 | 1991年 |
ジャンル | アニメ |
監督 | 出崎統 |
キャスト | 山田康雄、納谷悟朗、小林清志、井上真樹夫、増山江威子、戸田恵子 |
『ルパン三世 ナポレオンの辞書を奪え』は、ルパン三世シTVリーズの第3弾として放映された作品です。
このアニメのみどころ
本作のみどころ一つ目!
まずは、ルパンのおじいちゃんにあたる初代ルパン、そしてお父さんにあたるルパン二世が登場します。
ルパン一世はちょいちょい登場しますが、ルパン二世が出てくるのはかなり貴重といえるのではないでしょうか?
そして、初代ルパンが築き上げた”ルパン帝国”とは、いったいどんな帝国なのか?そして、ナポレオンの辞書との関係は何なのか?
その謎が明らかになります。
みどころ二つ目!
個人的には一番衝撃的だったんですが、あの銭形警部のキスシーン(!?)があります。これは、歴代のアニメを見比べてみてもかなり貴重なシーンだと思います。
そして・・まさか・・・あの銭形警部が女に惚れられるのです。
一体、なぜ女には無縁の銭形が、女性に惚れられたのか?
実は、それには裏があるのですが・・・(笑)
登場人物(メインキャラクター以外)
木戸千恵子
本作のヒロイン。国家保安局の局員。いわゆる、出来る女。
射撃の腕は優秀だが、それは訓練の話。
知的でクールな半面、一度惚れるとたちまちしおらしくなる。
ロバート・ホーク
アメリカCIAの局員。
軍人のようないで立ちで、戦闘能力に長け、あらゆる武器を使いこなし、次元大介と互角の戦いを見せる。
一見すると、祖国アメリカに忠誠を誓っているように見えるが、給料が安いことに不満を持っている。
マッカラム
ホークの部下。
忠実に任務をこなしていくプロ。
エリック
若い青年実業家。超金持ち。
ナポレオンの辞書を得るため、クラシックカー・レースへ出場する。
マルチンベック
マルチンベック財団の会長。
クラシックカー・レースを開催し、財団の宝であるナポレオンの辞書を商品として出すことにした。
ストーリー(細部)
序盤
G7では、各国の代表者が集い、厳しい経済状況の打開について話し合われていた。
ここで議題に上がったのが、”ルパン帝国の財宝”。
ルパン帝国には、現在の資産価値にして2000億ドルもの財宝が隠されており、その場所を知っているのは、ルパン一族の末裔であるルパン三世だけということなのだ。
この情報を聞きついて、G7主要各国はルパンを探すことに注力する。
そのため、日本の海辺首相は、国家保安局の木戸千恵子を介して銭形警部とコンタクトを取る。「なんとしてもルパンを捕まえろ」これが、海野首相からの指令だった。
同じくアメリカも、CIAのホークを呼び出し、ルパンを捕まえてくるよう指示を出す。
その頃、ルパンと次元は、ヨーロッパで行われるクラシックカー・レースに出場するため、スコットランドで車の整備を行っていた。ルパンの狙いは、レースの優勝賞品として用意されている”ナポレオンの辞書”だ。
ナポレオンの辞書には、なんとルパン帝国の財宝の在りかが記されているということなのだ。
ここで、ホークが率いるCIAが現れ、ルパンたちを襲う。
ルパンたちはかろうじてその場を逃げ出すが、その後もホークによる執拗な追跡は続くこととなる。
また、スコットランドで銃撃戦が行われたという情報を知り、銭形警部と木戸千恵子の二人が現地に飛ぶ。銭形は、ルパンが多国籍軍に逮捕されれば殺されてしまうため、自分が真っ先に逮捕すべきと考えたのだった。
ここで、ルパン帝国の財宝を巡る争奪戦が始まる。
中盤
その頃スペインでは、マルチンベック主催のカーレースが開催されていた。レースは、マドリードからパリまでの長距離に渡る。
このレースには、若い実業家であるエリックと、玉の輿を狙う峰不二子の姿があった。
不二子は、この金持ちのエリックに接近しようとするが、実はエリックには裏の顔があった。
なんとエリックは、あのホークとグルだったのだ。接近してきた不二子を利用し、ルパンの情報をホークに横流ししようとしていた。
一方、ルパンと次元は、ホークの追跡を逃れる中で、ふとしたきっかけで木戸と合流する。
木戸は、国家保安局の身分を隠してルパンたちと行動を共にし、その情報を保安局に流していた。
しかし、次元だけはその正体を見破っていた。
そこで次元は、木戸に”組織に従順になることの空しさ”を問う。かねてより身の振り方に悩んでいた木戸は、次元との話を機に生き方のヒントをつかむ。
一方ルパンは、ホークや多国籍軍からの追跡を逃れるため、銭形警部に変装をしていた。
すると、変装と知らない木戸がルパンと合流。共にルパンを追うことになった。
ルパンを本物の銭形と思い込んでいる木戸は、電車の中で、ルパンを逮捕することについての疑義をぶつける。
木戸は、自由に生きるルパンたちを生き方を目の当たりにし、考え方に変化が芽生えたのだった。
そして、そんな思い悩みながらも前向きに任務に向き合う木戸に、ルパンはキスをする(木戸は、銭形にキスをされたと思っている)。
終盤
ついにクラシックカー・レースも佳境を迎える。
ここでルパンは、ついにナポレオンの辞書を盗み出すに成功する。
しかし、ホークが現れてルパンから辞書を奪う。ホークは、アメリカやCIAを裏切り、財宝を独り占めしようと企んでいるのだ。
ホークは、エリックと共謀し、不二子を人質にして財宝の在りかをはかせようとする。
しかしルパンは、突然の銭形警部の乱入や、次元と五エ門の助太刀を受け、ホークを倒すことに成功する。
ルパンは、ここで改めてナポレオンの辞書を見る。すると、ルパン帝国の財宝がノルマンディーのニプル城に隠されていることを発見する。
ラストシーン
ルパン、次元、五エ門、不二子の4人は、早速ニプル城に向かい、財宝を探し始める。
しかし、同時にルパンと同じくを財宝を狙う多国籍軍の大軍が攻め込んできた。
ここで、ルパン一味と多国籍軍の激しい戦いが繰り広げられることとなる。
戦いの最中、ルパンはついに財宝を見つけ出す。
その財宝とはなんと・・・・、真空管ラジオ!!
つまり、「これで特許を取れば金を稼げる」ということだが、この現代においては何の価値も無い。
財宝が無価値だったことに、一同は笑い転げる。
最後、塔の一部にミサイルを括り付けて脱出を図るルパンを、戦闘ヘリに乗った銭形と木戸が追跡。
ここでルパンは、以前木戸が電車で話した相手(銭形)が、変装した自分であったことを明かす。
木戸は、ルパン追跡を止め、笑顔で帰っていく。
1分で振り返るストーリーまとめ(忙しい人向け)
忙しい人向けに、本作のストーリーを1分で把握できるようにまとめてみました。
✔ 財宝の在りかが記されているのは、マルチンベック財団が保有する”ナポレオンの辞書”。この辞書は、マルチンベックが主宰するクラシックカー・レースの商品になっていた。
✔ ルパン一味は、ナポレオンの辞書を奪うためにスペインに飛ぶ。
✔ レースには、青年実業家のエリックと峰不二子の姿があった。しかし、エリックはホークの仲間で、不二子を使ってルパンの情報を流していた。
✔ 途中、木戸はルパンを逮捕することに疑問を抱くことになる。そこで、銭形に変装していたルパンは、木戸にキスをする。
✔ ホークは、祖国を裏切り、エリックと共謀して財宝を独り占めしようと企むが、失敗。ルパンの返り討ちに合う。
✔ ルパンは、ついに財宝の探し当てる。しかし、”真空管ラジオ”という現在ではほぼ無価値のものだった。
興味が湧いた方は、是非ともストーリー(細部)も読んでみてくださいね!!
考察及び感想
アニメーションと設定が雑(;’∀’)
全般的に、作りが雑です(笑)
そもそも、短い期間で制作されたアニメですので、そのためかもしれませんが・・・
まず、アニメーションがカクカクしていて、繊細さがありません。なんだか、「チャージマン研」のアニメを見ているような感じ。
あと、細かい設定が雑。
ルパンと不二子がホークに捕まった時、不二子は縛られていないはずなのに、次のシーンでは縛られていたり、かと思いきや次のシーンでは急に緊縛が解かれていたり・・・
極めつけは、ホーク&エリックとルパン一味の決闘のシーン。
地下鉄の屋根にへばりついてのアクションシーンで、電車同士が正面衝突しようとします。その時、ルパンと不二子と銭形は次元が運転する車に乗り込み、間一髪で助かります。
その後、電車同士はぶつかって大爆発!!こりゃ大惨事!!
ホークとエリックはきっと爆発に巻き込まれて死んだんだろうな・・・
と思いきや、ホークは傷一つなくピンピンしています。
エリックに至っては、死んだシーンが写されるわけでもなく消息が不明です。まるで存在が忘れ去られてしまったかのような扱いです。
うーん。もう少しどうにかならなかったのか?
”ナポレオンの辞書”である必要は?
ルパン三世の映画のテーマは、その時の流行や時事を取り入れたものが多いというのが特徴でした。
例えば、ハレー彗星がくる年に放映された「バビロンの黄金」や、世紀末を迎える頃に放映された「くたばれ!ノストラダムス」などです。
しかし、本作については、なぜナポレオンの辞書をテーマとして選んだのかが不明。
映画が放映されたのは1991年ですが、特にナポレオンが話題になったという話はありません。
うーん、もしかしてそれっぽいやつを適当に選定したとか…?
銭形と木戸の恋愛はどうなる?
木戸にキスをしたのは、銭形に変装したルパン。木戸が惚れたのは、銭形に変装したルパン。
つまり、木戸は銭形ではなくルパンに恋をしたということ。
うん、これはきっと銭形はフラれます。
すべてが終わった後、銭形が木戸を「このあとちょっとご飯でも・・・」と誘っても、「私はあなたに変装したルパンを好きになったわけで、あなた自身を好きになったわけじゃありません。ごめんなさい。」とでも言われて、玉砕する未来しか見えませんね。
なんとも辛辣・・・(T_T)
銭形が真の意味で報われる日は来るのか?
ちょいちょい出る、湾岸戦争の日本批判
本作では、”湾岸戦争”という言葉が度々登場します。
湾岸戦争は、1990年(映画が放映される1年前)に勃発した戦争なので、まさに時事ネタとしては適していたのでしょう。
そして、「湾岸戦争のように、日本には金だけ出させればいい」「湾岸戦争のように、日本はまた参加しないのか?」などど、湾岸戦争に絡めて日本を批判するようなセリフがちょいちょい出てきます。
湾岸戦争における日本の態度は賛否両論ありここでは深く議論しませんが、監督が日本をどのように評価しているのかを垣間見ることができます。
★湾岸戦争とは★
1990年8月、イラクがクウェートに侵攻したことがきっかけで勃発した戦争。イラクが国連からの撤退要求を拒否したことにより、多国籍軍が組織された。
アメリカが参戦しため、同盟国である日本の参戦も求められたが、憲法9条を理由に派兵を拒否し、経済支援のみを実施した。
金だけ出して自分は血を流さないというこの日本の行動は、当時世界中から非難を浴びた。
主要VOD4社配信状況
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