【考察】「ルパン三世 ロシアより愛をこめて」(ネタバレ)あの怪僧ラスプーチンがモデルの悪役登場!

アニメ

作品紹介

制作 1992年
ジャンル アニメ
監督 出崎統
キャスト 山田康雄小林清志井上真樹夫増山江威子納谷悟朗

『ルパン三世 ロシアより愛をこめて』は、1992年、ルパン三世TVスペシャルシリーズ第4作目として放映された作品です。

なお、”ロシアより愛をこめて”というタイトルは、1972年に放映されたジェームス・ポンド主演のスパイ映画『007/ロシアより愛をこめて』をもじったとされています。

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このアニメのみどころ

このアニメのみどころは、歴史上最も奇妙な人物と言われる怪僧ラスプーチンが、メインテーマとなっていることです。

グレゴリー・ラスプーチン 1869~1916

ラスプーチンとは、帝政ロシア時代、ロマノフ王朝に仕えた祈祷僧で、僧侶という身分でありながら政治の世界に大きな影響力を及ぼし、やがては帝政ロシアの崩壊を呼び込んだ悪名高き人物です。

彼の人生は謎に包まれていて、超能力で机を持ち上げることができたとか、予知能力があったとか、青酸カリを飲んでも死ななかったとか、数々の逸話を残しています。

 

そんな謎多き人物をモデルとして今回登場するのは、大司教のラスプートン

名前も似ていますが、風体も歴史上のイメージそっくり。さらには、テレパシーを使うなどの特殊能力を持っているところなども、ラスプーチンの逸話になぞらえた設定になっています。

 

ストーリーを楽しみながらも、ロシアの歴史をほんのちょっとお勉強できる。

本作は、そんなアニメになっております。

登場人物

ジュディー・スコット

今回のヒロイン。

会社の上司をセクハラで訴え、慰謝料をふんだくるなど気の強い一面を持つ。

ジュディー曰く、「女一人の部屋に入ってきた男は、いつ殺されても文句は言えない」だそうです。

峰不二子のことを「姉さま」と呼んで慕い、二人で何かを企んでいるようだが・・・

ラスプートン

怪しい宗教団体の教祖。ラスプーチンが娼婦に産まれた子の子供。

イカサマ坊主だが、信者たちを洗脳することに成功。

テレパシー能力を持ち、相手の考えていることが手に取るように解る。

テレパシー能力を悪用して各国要人を手玉に取り、インチキな助言をして荒稼ぎしている。

何かと人の口に指を入れたがる。

ラッキー・マクドナルド

ラスプートンに雇われた殺し屋。幼い頃からの友人であるビックマウス・ジョーとコンビを組む。

腕は一流で、プロ意識が強い。頭も良く、ルパンたちの作戦を見破って先回りすることができる。

走るトラックの屋根に立ち次元と真正面から撃ち合うなどかなりの度胸を持ち合わせており、次元からは「いい根性だ」と評価されている。

ビックマウス・ジョー

ラッキーの相棒で、ラッキーをアニキのように慕っている。

脳筋で猪突猛進型。撃ち合いなど過激なことが大好き。

シャワーを浴びる時は気持ち悪い声を出す。

カルシオーネ

ニューヨークマフィア・カルシオーネ一家のボス。

ボケ防止のため、喋る人形を常に持ち歩いている。

ラスプートンのことを崇拝している。

ドンビーノ

カルシオーネ一家のNo.2。カルシオーネの甥っ子にあたる。

ラスプートンを崇拝するオヤジ(カルシオーネ)を、内心快く思っていない。

受付のお姉ちゃん

色っぽい図書館の受付のおねえちゃん。

意外と狂暴。

イントロでおっ〇いポロリ♡が見れる。

ストーリー(細部)

序盤

かつてロマノフ王朝が猛威を振るっていた時代、ロシア帝国が保有していた金は1240tと言われていた。

今回ルパンが目を付けたのは、このロシア帝国の金塊だ。1240tのうち500tは、今もどこかに隠されているというのだ。

金塊の隠し場所のヒントが記されているのは、「ロマノフ王朝の身代金」という三流ミステリー小説。

ルパンと次元は、先日この本を借りたというジュディ・スコットに会いに行き、本を見せてもらえるよう許可を得る。

ルパンが本を閲覧していると、ラッキービックの二人が部屋に殴りこんでくる。この二人も、ルパンと同じく「ロマノフ王朝の身代金」を狙っていたのだ。

ルパンと次元は車でその場を脱出するが、今度はラッキーたちは、大渋滞の橋の上を大型トラックで強引に追跡してくる。

撃ち合いの末、周囲では大爆発が発生。本は、ラッキーたちの手に渡ってしまう。

 

一方シベリアでは、ラスプートンが教祖を務める怪しい宗教団体があった。テレパシー能力を持つラスプートンは、世界の要人の相談にのることで、大量のお布施をせしめていたのだった。

このラスプートンのもとで、五エ門は修行に励んでいた。もっとも、業深きラスプートンとの相性は最悪のようだが・・・

 

その頃ルパンは、「ロマノフ王朝の身代金」に書いてある暗号の解読に成功していた。金塊の在りかは、サンアントニオにある銀行”バンク・オブ・リバティ”

この銀行は、一見すると田舎の小さな地方銀行だが、その実、裏社会で生きる者御用達の銀行だった。

ルパンは、不二子とジュディを呼び寄せると、早速金塊奪還作戦を立てるのだった。

中盤

ルパンは、バンク・オブ・リバティの地下金庫直下まで地面を掘り進める。そして、強盗に成りすまして銀行施設内に侵入すると、地下金庫の床に穴をあけ、予め掘っていた穴を通して金塊を倉庫内に運び入れる。

そして不二子は、独自に雇い入れた大型トラック運転手30人に、その金塊を運ばせるのだった。

一方、ラッキーとビックの二人も、本の暗号の解読に成功しこの銀行に目をつけてはいたが、ラスプートンから待機命令が下されていたため、遠くから傍観していた。

金塊は、今はニューヨークマフィアのカルシオーネ一家が所有者となっているため、カルシオーネに直接話を付けてから金塊を奪おうとラスプートンは考えたのだ。

 

ここまでは、すべてはルパンの計画通りだった。

しかし、ここで不二子とジュディがルパンを裏切る。盗んだ金塊を、予定していた場所ではなく全く別の場所に運び入れ、二人で山分けをしようとしていたのだ。

さらに、動き出したラッキーとビックが不二子たちの隠れ家に突入し、二人を人質にとって金塊を奪ってしまっていた。

 

実はルパンは、不二子の裏切りを見越していた。

発信器を基に不二子とジュディの場所を見つけ出すと、たちどころにラッキーとビックを圧倒して縛り上げ、奪われた金塊を逆に奪い返した。

 

形勢逆転したかと思われたが、なんとここでラスプートンが所有する旧ロシア帝国時代の大型輸送機”ツンドラの帝王”が飛来する。

ツンドラの帝王は、ラッキーとビックの二人を見捨て、隠れ家の上に容赦なく爆弾を落としていった。

ルパン一味とラッキーは全員無事だったものの、ビックは死亡、ラッキーは明日をも知れぬ重傷を負った。

さらにツンドラの帝王は、隣の塔に隠してあった金塊を根こそぎ奪っていったのだった。

 

その後不二子とジュディは、その場を抜け出し、へそくりとしてわずかに確保しておいた金塊を分け合おうとしていた。

しかし、今度はジュディは突然不二子に銃を突き付け、金塊はすべて自分がもらいうけると言い渡す。

どうもジュディには、どうしても金塊を他人に渡したくない理由があるようだが・・・

終盤

ジュディは、金塊を土産にラスプートンのもとを訪れ、なんと教団に入団してしまう。

ジュディの本心とは思われない。一体何の狙いがあるのか?

ジュディはその後、施設の中で五エ門と会う。そして、五エ門から「斬鉄剣を探して欲しい」と頼まれごとを受ける。

五エ門の斬鉄剣は、ラスプートンによって施設のどこかに隠されていたのだ。

その代りということで、ジュディは”あること”を五エ門に依頼する。ジュディと五エ門は、秘密の約束を交わした仲となった。

 

一方、ルパン一味とラッキーは、金塊を奪い返そうとラスプートンの本山があるシベリアの奥地に降り立った。

 

この頃、ドンビーノが部下を連れ、ラスプートンのもとに押しかけていた。ドンビーノは、ラスプートンを崇拝するカルシオーネを見限り、自分がボスへとのし上がっていたのだった。

そして要件はもちろん、ラスプートンが持つ金塊の事だ。

ドンビーノは、金塊を返すようラスプートンに迫るが、返り討ちにあい重傷を負う。ヤケクソニなったドンビーノは、時限爆弾を起動させてラスプートンの本山を爆破してしまう。

 

ここでラッキーは、金塊を守ろうとするラスプートンを奇襲して撃ち殺そうとするが、逆に殺されてしまう。

 

ツンドラの帝王を奪ったルパン一味は、機内に入り込んだラスプートンと最後の決戦を行う。

次元がさっそく銃弾を数発撃ちこむが、人の心が読めるラスプートンはすべてかわしてしまう。

そこで今度はルパンが、頭の中を空っぽにしたまま銃を撃つという芸当を見せると、さすがのラスプートンも避けることができず、銃弾は眉間に直撃する。

ラストシーン

ラスプートンも死に、金塊を目の前にして喜ぶルパン達だったが、ここで五エ門が突如金塊の前に立ちはだかり、

五エ門
五エ門
この金塊はすべて拙者がもらい受ける
と言い始める。

驚きを隠せないルパン達だったが、五エ門にはちゃんとした理由があった。それは、ジュディとの約束だった。

実は五エ門は、命よりも大切な斬鉄剣を見つけてくれたお礼として、金塊をジュディに渡すよう鵜約束していたのだった。

ジュディは、なんとロマノフ王朝の血を引く女だった。そんなジュディにとって、この金塊は自分の命よりも大切なものであり、この金塊を使って、故郷で餓えている人たちを救いたいと考えていた。

そしてジュディは、全ての金塊をもらえるよう、涙ながらにルパンに訴えるのだった。

 

ルパンはそれを承諾。

経費分のごく少量の金だけを手に取り、シベリアの地を後にする。

1分で振り返るストーリーまとめ(忙しい人向け)

忙しい人向けに、本作のストーリーを1分で把握できるようにまとめてみました。

✔ ルパンは、旧ロシア帝国の財宝である500tの金塊に目を付ける。
✔ 金塊の隠し場所の鍵を握るのは、「ロマノフ王朝の身代金」という本であり、ルパンはこの本の借主であるジュディと接触する。
✔ 暗号を解読した結果、金塊は、バンク・オブ・リバティに隠されていることを突き止める。
✔ しかし、ラスプートンも同じくその金塊を狙っていた。ラスプートンは、殺し屋(ラッキーとビック)を雇い、金塊を奪ってくるよう命令する。
✔ ルパン一味とラッキー&ビックの間で激しい争奪戦が起こるが、最終的にはラスプートンが所有する飛行機”ツンドラの帝王”が飛来し、金塊をすべて奪っていく。
✔ ラスプートンの本山がシベリアの奥地にあると知ったルパンたちは、早速シベリアに飛ぶ。
✔ ラスプートンとの最後の戦いの結果、ルパンたちの勝利。しかし、ジュディがやってきて、「金塊をすべて貰いたい」と申し出る。
✔ ジュディは、ロマノフ王朝の末裔の娘であり、金塊を祖国の人のために使いたいと思っていた。

興味が湧いた方は、是非ともストーリー(細部)も読んでみてくださいね!!

考察及び感想

五エ門はなぜシベリアに?

今回五エ門は、ラスプートンのもとで修業をしています。

しかも、ラスプートンがイカサマ強欲坊主であるため、毎日イライラしながらも・・・

一体なぜ、ラスプートンのもとで修業をしているのでしょうか?

唯一考えられるのは、シベリアという地理を利用して耐寒修業をしていたのではないかという可能性が、ワンチャンあるのではないか?というもの。

でも、耐寒訓練であれば北海道でも十分な気もしますが(;’∀’)

 

ということで、五エ門の修行の目的が謎、というお話でした。

ルパンの移動が速すぎる件

バンク・オブ・リバティから金塊を盗み出すことに成功したルパンと次元は、不二子・ジュディの二人と合流するため、モニュメントバレーに向かいます。

しかし、不二子とジュディはルパンを裏切り、全く別な場所に金塊を持って行ってしまうのです。

その場所とは・・・、ルパンのナビ付腕時計の画面から察するに、ニューヨーク!

そこからルパンは、車でニューヨークに向かうのですが・・・

 

ちなみに、モニュメントバレーとニューヨークの位置関係はこんな感じ。

距離にして、約2500km!

この距離をルパンは、恐らくたった数時間で移動してしまう(夜に出発し、到着も夜だった。つまり、夜は明けていない)。

仮に移動に5時間かかったとしたら、平均速度は時速500km!

 

最近、アメリカのSSC(シェルビー・スーパーカーズ)という会社が「トゥアタラ」という車をリリースし、市販車最速となる時速532kmを規則して話題となりましたが、ルパンたちが運転する車はこのトゥアタラに匹敵するくらいの性能を持っていたということなのでしょう。

SSC社製「トゥアタラ」

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