作品紹介
制作 | 1999年 |
ジャンル | アニメ |
監督 | 殿勝秀樹 |
キャスト | 栗田貫一、小林清志、井上真樹夫、増山江威子、納谷悟朗 |
『ルパン三世 愛のダ・カーポ』は、1999年、ルパンTVスペシャルシリーズの第11作目として放映されたアニメです。
ちなみに”ダ・カーポ”とは、イタリア語で「はじめから」という意味を示す言葉であり、曲の一番初めに戻るという意味として知られる音符記号の名称にも使われます。
このアニメのみどころ
本作の見どころは、峰不二子が物語の中心人物になっているところです。
不二子といえば、ルパンの恋人的ポジションでありながら、特にはルパンを裏切って敵と手を組んだりと、ストーリーにスパイスを加えてくれる存在です。
今回は、なんとその不二子の記憶が無くなります。ルパンの顔も忘れてしまい、気が強くてお転婆な性格も影をひそめてしまいます。
そんな不二子の記憶を元に戻そうと、ルパンはあの手この手を試すんですね。
お宝を手に入れられるかどうかは、不二子が記憶を取り戻すかどうかにかかっているのですが、ルパンはそんな損得勘定などではなく、純粋な不二子への愛情のみで接していくわけです。
そんなルパンの優しさを目の当たりにできるのも、本作のみどころの一つなのかもしれません。
登場人物
ロザリア
本作のヒロイン。職業は盗賊で、美術品を盗んでは売却することによって生計を立てている。
左目が赤色で、右目が青という変わった瞳をしている。
幼い頃、母を病気で亡くしている。医者である父は行方不明だが、病気の母を懸命に助けようとしていた記憶がある。
屈強な敵が現れても、ナイフを振り回して戦うなど勇敢な一面を持つ。
コロンブスの卵を見つければ、父に会えると信じている。
バートン
科学省の長官。オルゴン・エネルギーの研究者。
研究の事故で体が不自由になり、それ以来車いすでの生活を余儀なくされている。
私兵軍団を持っており、面倒ごとは力で推し進めることができる。
ナザロフ
バートンが雇った傭兵。笑い声が下品で、敵味方から不評。
ロザリアにナイフを突きつけられて脅されたかと思えば、ルパンと互角以上の戦いを見せるなど、戦闘能力にちょいちょいブレがある。
不二子のことが気に入っている。
古美術商のおじさん
ロザリアの盗品を買い取ってくれている、いろいろと親切なおじさん。
しかし、その正体とは・・・
ストーリー(細部)
序盤
コロンブスファイル。それは、1492年に太平洋を横断したコロンブスが見つけたお宝「コロンブスの卵」の隠し場所が記されたファイルと言われていた。
長らく、このネタはガセネタと言われてきたが、峰不二子はついにこのコロンブスファイルを見つけ出すことに成功した。
ここで傭兵ナザロフは、コロンブスファイルを奪い取ろう不二子を襲う。不二子は、襲われたショックで記憶喪失となり、いつもの気丈な性格とは全くの別人になってしまう。
あまつさえ、自分の名前はもちろんルパンの顔すらわからない状態に。
ファイルは燃えてしまったため、財宝の隠し場所のヒントは、不二子の頭の中に眠る記憶だけが頼りとなった。
記憶を失った不二子が行きついたのは、盗賊ロザリアの家。
不二子は、「コロンブスの卵・・・」と言い残し、気を失ってしまう。
ロザリアは、この頃ちょうど取引相手である古物商のおじさんから、コロンブスの卵の話を聞いていたため、不二子に強い興味を持つことになる。
ここでナザロフは、本格的に不二子誘拐に乗り込んで行く。
ここに、コロンブスの卵を手に入れたいナザロフ、ロザリア、そして不二子を救い出したいルパンの三つの勢力による、不二子の争奪戦が始まる。
そして、いかにして不二子が記憶を取り戻すのか、今後はここが大きな焦点となっていく。
中盤
ナザロフの雇い主は、某国科学省長官であるバートン。
バートンは、オスゴン・エネルギーの研究者であり、この研究を大成させるためにはどうしてもコロンブスの卵が必要だったのだ。
その後、不二子はナザロフによって拉致される。ルパンとロザリアは、不二子を奪い返すためにバートンの本拠地である研究施設に忍び込む。
この時ルパンとロザリアは、研究施設の中で奇妙な装置を搭載した巨大潜水艦を見つけるのだが、何のためにこんなものがあるのかは全く不明だった。
次元と五エ門の破壊工作により研究施設を停電状態にさせると、ルパンとロザリアは不二子を救い出すことに成功する。
ロザリアの自宅に戻った不二子は、コロンブスの卵に関する記憶を少しだけ取り戻す。この島にある未解明の洞窟であるエンリカ宮殿に、このお宝は眠っているのだという。
その頃バートンは、ナザロフに対し不二子だけではなくロザリアも連れてくるよう命令する。
バートンにとってロザリアは、どうも特別な存在なようだった。
エンリカ宮殿に侵入したルパン一味とロザリア、そして「コロンブスの卵が見たい」といって付いてきた古物商のおじさん。
ノーヒントで進んでいくルパン達だったが、要所要所で不二子の記憶がタイミングよく蘇り、最深部まで到着。最後の謎も解き、ついにコロンブスの卵を見つけ出す。
しかし、ここまで付いてきた古物商のおじさんは、実はナザロフが変装した姿だった。
不意を突いたナザロフは、ルパンたちからロザリアとコロンブスの卵を奪い、バートンのもとに帰還する。
終盤
なんとバートンは、ロザリアが探していた行方不明の父だった。
しかしバートンは、オルゴン・エネルギーの研究のためと称して母を殺し、また娘のロザリアさえも研究材料として見ていない恐ろしい男だった。
そして、バートンが手に入れたコロンブスの卵とは、地球上の気象を自由に操ることができるというとんでもない力を持ったお宝だった。
バートンは、コロンブスの卵と共に原子力潜水艦に乗船。そして、増幅装置を利用して早速巨大な竜巻を発生させ、世界各国を脅迫しはじめる。
さらにバートンは、オルゴン・エネルギーを体内に取り込み、ナイフの刃も通らないほどの強靭な超スーパー脳筋ハゲマッチョに変身する。
ここで、ルパンはバートンの潜水艦に潜入。アルゴン・エネルギーを暴走させて潜水艦を航行不能に陥れる。
たまらず浮上した潜水艦の上で、ルパンたちとバートンの最後の戦いが始まる。
ラストシーン
周囲には巨大な竜巻が渦巻いている中、浮上した潜水艦の上で戦うルパンたちとバートン。
さらにルパンは、ナザロフとの戦いで負傷し、本来の力を出せる状態ではない。
ルパンを殺そうと空中を泳いで近づいてくるバートンだったが、ここで急に不二子の記憶が舞い戻る。
そして、バートンに強烈なケリを食らわせると、バートンは潜水艦の突起物の上に落下。体を貫かれ、コロンブスの卵と共にそのまま潜水艦と共に海の底へ沈んでいく。
1分で振り返るストーリーまとめ(忙しい人向け)
忙しい人向けに、本作のストーリーを1分で把握できるようにまとめてみました。
✔ しかし不二子は、ナザロフに襲われたショックで記憶喪失となる。コロンブスの財宝を狙うバートン、そしてロザリアは、不二子の確保をしようとする。ルパンは、必死に不二子を守ろうとする。
✔ 最終的に不二子を助け出すことに成功したルパンは、ついに”コロンブスの卵”を見つけだす。しかし、すずにバートンに奪われてしまう。
✔ バートンは、なんとロザリアの父だった。しかし、娘のロザリアすら殺そうとする悪党だった。
✔ 最後、不二子の記憶が戻り、アルゴンエネルギーにより脳筋ハゲマッチョと化したバートンを倒す。
興味が湧いた方は、是非ともストーリー(細部)も読んでみてくださいね!!
考察及び感想
ラストシーンはカオス状態
最後のルパンとバートンとの戦闘シーンですが、これがもはや完全なるカオス状態になっています。
まず、浮上した潜水艦の周りには、コロンブスの卵の力により発生した巨大竜巻が渦巻いています。
これがまた強烈で、ルパン、不二子、ロザリア、脳筋マッチョバートンがまるで紙のように吹き飛ばされています。
なので、竜巻で飛ばされながらの空中肉弾戦というよくわからない対決方法を採用。
バートンも、「オルゴン・エネルギーの研究は終わった」といいつつも、ロザリアを研究材料だと言ってみたり、かとおもえば急に殺すと言ってみたりと、発言がまあまあ安定しません。
竜巻の暴風の中を次元と五エ門はオンボロ飛行機で飛行し、空中でルパンをキャッチしたり、バートンが空中を泳いで飛行機を追っかけるなど、人間の理解を遥かに超えた戦いが繰り広げられます。
さらに、ナザロフは海に落っこちた後、なぜか銭形に逮捕され、どういうわけか銭形と共にルパン(というか不二子)を追いかけるという謎の展開。
そして、奇声をあげる銭形とナザロフの横で、ロザリアは笑顔でルパンたちを見送っているという理解不能のシチュエーション。
なんだか無理やり終わらせた感が否めないラストでした(+_+)
五エ門と次元の薔薇的キスシーン
五エ門は、海に溺れて意識の無い次元に対し、人工呼吸をしようとするのですが・・・
さて、人工呼吸の正しい姿勢とは、
この図のような感じで、相手を仰向けに寝かせるとともに、顎をやや上方に持ち上げて気道を確保しなければなりません。
ところが、今回の五エ門が行った人工呼吸は、
こんな感じで、肩を抱きかかえるようにしていました。
これでは、気道の確保が出来ずに次元は窒息してしまいます。この状態で、五エ門は「27回した」と言っています。
次元は、この後気持ち悪がって念入りに歯磨きしていましたが、これは勘違いされて当然ともいえるでしょう。
みなさん、人工呼吸の正しい知識を身に付けましょう(笑)
ロザリアの両目の色が不安定
ロザリアは、元々は両目とも青い色をしていたのですが、幼い頃にアルゴンエネルギーの暴走を見てしまったため、左目だけが赤色になってしまいます。
しかし、シーンによってたまに両目が青色に戻っているのです。
もしかして、大事なシーンを見逃したか?と思って入念に何度も見返してみたのですが、そんなシーンはありません。
そして気付いたのですが、なんとシーンによって両目が青だったり片目が赤だったりと、そもそも色が安定しないのです。
恐らく、アニメーターの塗り忘れ・・・・ではないかと。
ロザリアはそれでよかったのか?
ロザリアは、優しいと思っていたお父さんが、実はアルゴンエネルギーに憑りつかれたただのマッドサイエンティストであることを知ります。
しかも、「最初は優しかったけれど途中でおかしくなった」というパターンではなく、「最初から鬼畜だった」というパターン。
普通であれば、
となってしかるべきと思うのですが、ロザリアは
しかし、落ち着いて考えて欲しい。
バートンは、別に母親を助けようとしていた訳ではない。初めから、研究材料としか見ていなかった。つまり、”優しい父親”なんていうものは初めから存在しないというわけだ。
それなのに、思い出補正だけで美化された父親をいつまでも「優しい父親」と思い続けるのは、精神的に無理があるのではないだろうか?
例えば、大好きだった彼氏が、実は最初から浮気をしまくっていた最低の男だったと知ったら、「浮気する男は大嫌いだけど、思い出の中の彼氏は好き」とはならないだろう。
バートンとのルーショット写真なんか捨ててしまって、一刻も早く忘れた方が、彼女のためには良いように思います。
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