作品紹介
制作 | 2008年 |
ジャンル | アニメ |
監督 | アミノテツロ |
キャスト | 栗田貫一、小林清志、井上真樹夫、増山江威子、納谷悟朗 |
『ルパン三世 sweet lost night 〜魔法のランプは悪夢の予感〜』は、2008年、ルパン三世TVスペシャルシリーズ第20作目として放映された作品です。
今回から、アミノテツロさんがルパンシリーズでは初の監督を務めます。
このアニメのみどころ
本作の見どころは、記憶喪失系のストーリーとなっていることです。
記憶喪失系の映画といえば『メメント』などが有名ですが、本作は、ルパンが過去12時間の記憶を定期的に失ってまうという身体になってしまい、その失われた記憶の中にあるヒントを探していくという、まさにメメント的な展開になっていきます。
自分が忘れないようにするため、体中にマジックでメモをするシーンもメメントそっくり!
もしかして監督は、メメントを見て影響を受けたのか?(笑)
しかし、記憶喪失系を題材にするという着眼は良かったものの、あまり複雑すぎると子供に理解してもらえないという難点もあり、ややご都合主義的なストーリーになってしまったのは少し残念なところ。
なにはともあれ、単純な勧善懲悪ものではない、新しいスタイルのルパン三世を是非ともご覧ください。
登場人物
ドリュー
本作のゲストヒロイン。
幼少期、紛争により父と母を亡くし、兄のアダムと二人で生きてきた。
平和な世界を作るというアイヒマンの思想に共感し、助手として研究を手伝っていた。
しかし、徐々にエスカレートするアイヒマンに対し、反感を覚えるようになる。
アイヒマンにより、3年間の記憶を消されてしまう。
アイヒマン
人間の記憶を研究している研究者。
人間から負の記憶を消し去れば、世界は平和になると信じている。その実験台として、世界中からアスリートや著名な科学者を拉致しては、片っ端から記憶を消している。
魔法のランプの開発者。
アダム
ドリューの兄。
アイヒマンの思想に共感し、ドリューとともに助手として研究を手伝っていた。
ドリューが3年間の記憶を失って以来、行方不明になる。
ガーリック大佐
自ら「戦争屋」と自称する軍人。戦争をビジネスチャンスととらえている。
魔法のランプを手に入れれば、感情を無くした最強の兵士を作り上げることができると信じ、ルパンからランプを奪おうとする。
完全な噛ませ犬。
ストーリー(細部)
序盤
拾った者の願いを何でも叶えてくれるという魔法のランプ。
まるでおとぎ話のようだが、なんとこのランプは実在した。
ルパンは早速これを盗み出し、ランプをこすってみると・・・
なんとランプの魔人!・・・ならぬランプの妖精が現れる。そして、「願い事を叶える代わりに、あなたの人生の時間の半分を頂く」とルパンに伝えてくる。
次の瞬間、不思議な出来事が起こる。砂漠の真ん中にいたはずのルパンは、なぜかシンガポールの街のど真ん中に瞬間移動。
しかも、怒った不二子から「あの女はどこ?(# ゚Д゚)」と全く意味不明な話をされる。
さらに、ガーリックと名乗る見覚えのない男から「ランプを渡せ」と脅され、襲撃を受ける始末。
実はルパンは、ランプを手に入れた前日夜7時から朝7時までの12時間の記憶が、すっぽりと抜け落ちていたのだった。
その後ルパンは、電車の中でドリューと名乗る見知らぬ美女と出会う。しかもドリューは、あの時のランプの妖精と瓜二つ。
どうやらドリューは、ルパンのことを知っているようだった。そしてドリューは「私を助けて」とルパンに懇願するのだった。
何が起こっているのか掴み切れないルパンは、ドリューに説明を求める。
中盤
魔法のランプは、アイヒマンという科学者が発明した、人間の記憶を抜き取って保存してしまうという不思議な機械だった。
ドリューは、兄のアダムと共にアイヒマンの助手を勤めていたが、徐々にヒートアップする研究に付いていけなくなった。
そして、ルパンと同様に記憶を抜き取られ、行方不明の兄アダムを探すため、ランプを持ち逃げするに至ったのだ。
ガーリックは、ランプを使って兵士の記憶を抜き取ることで、最強の兵士を作り出すことができると信じている男だった。
次の朝、昨夜の記憶が無い状態でルパンが目覚めてみると、なんとドリューは急にルパンに向けて銃を向け、ランプにより”邪念”を消し去って別人格となった五エ門もルパンに襲い掛かる。
ルパンは、ドリューたちによって捕らえられ、アイヒマンのもとに連れていかれることになった。
アイヒマンは、ドリューと五エ門を連れて潜水艦で移動をしようとするが、ドリューは土壇場でルパン側に付くことを決める。
一度はルパンを裏切ったドリューだったが、ルパンは「何があってもドリューを信じる」と自ら書き残していたメモ書きを見て、ドリューを信じることとしたのだ。
終盤
ルパン、次元、ドリューの3人は、アイヒマンの本拠地である島に潜入する。途中、五エ門は記憶を取り戻し、ルパンの味方となる。
そんな中、別行動をしていたドリューは、アイヒマンの墓を発見する。実は、アイヒマンは既に死んでいて(ドリューが意図せず殺してしまった)、アイヒマンと思われていた人物は、アダムがアイヒマンに変装をしていただけだった。
そしてアダムは、アイヒマンの記憶の一部を自分の能に移植していた。そして、世界中の著名な研究者やアスリートを拉致し、記憶を奪い取っていたのだった。
ドリューは、アダムのやっていることが間違いであることを指摘する。
ここで、アイヒマン(アダム)に裏切られたガーリックが登場。アダムの本拠地を爆撃し始める。
崩れ去る建物を見ながら、アダムは一言「ドリュー、すまなかった・・・」
ルパンとドリューは、魔法のランプを使い、失われた記憶を戻すこととした。
しかし、ドリューが失っていた3年の記憶が戻るということは、ルパンとの出会いの記憶が無くなることを意味する。
ドリューは、自身の記憶が戻る前に、ルパンと最初で最後のキスをする。
この後、五エ門によりガーリックのヘリは墜落爆破。
ルパン一味とドリューは、一命をとりとめる。
ラストシーン
すべてが終わった後、ルパンは、手にした魔法のランプを海に投げ入れる。
記憶を取り戻したドリューは、日常生活に戻る。しかし、ルパンのことはやはり一切覚えていなようだった。
ルパンは、自分に振り向きもしないドリューを見て思う。
「今は、思い出す暇がないだけさ」
1分で振り返るストーリーまとめ(忙しい人向け)
忙しい人向けに、本作のストーリーを1分で把握できるようにまとめてみました。
✔ 記憶が無いルパンは、謎の美女ドリューと出会う。ドリューは、ルパンに「私を助けて」と懇願する。状況を理解できないルパンだったが、ドリューの頼みを快諾。
✔ ドリューは、アイヒマンの元から逃げてきた研究員だった。アイヒマンは、人間の記憶を抜き取って平和な世界を作ろうという危険な思想の持ち主だった。
✔ 戦争屋のガーリックは、ちょいちょい出てきてルパンたちを襲う。
✔ なんとアイヒマンは、行方不明だったドリューの兄・アダムだった。ルパン一味とドリューは、抜き取られた記憶を取り戻すため、アダムの研究所へ向かう。
✔ ドリューは、失われた3年間の記憶を取り戻す。しかし、ルパンのことはすっかり忘れてしまう。
興味が湧いた方は、是非ともストーリー(細部)も読んでみてくださいね!!
考察及び感想
アイヒマン(アダム)の壮大過ぎる計画
アイヒマン(アダム)は、そもそもなぜ人間の記憶を抜き取るなどという研究を始めたのか?
それは、人類がこれまでに学んできた負の記憶(戦争とか)をすべて消し去れば、平和な世界がやってくるのではないか?という考えからです。
事実、アイヒマン(アダム)の周囲には、記憶を消された凶作犯罪者たちが、お花に水をやって毎日を過ごすなど平和な光景が見られました。
きっと世界中の人たちがこうなれば、アイヒマン(アダム)の思い描く理想の世界ということなんでしょう。
しかし、仮に理論上そうだとしても、70億人以上いる人間をどうやって施術するのでしょうか?
記憶を全消しすることは現実的ではないから、個人が持っている記憶の中身をいちいち調べて、平和を阻害しそうな要素をピンポイントで特定して、そこだけにフォーカスして記憶を消していく・・・
人権的にも問題がありそうだし、これを70億人分やってたらとんでもない時間がかかりそう!
で・・・アダムはどうなった?
最後、アダムの研究所が破壊されるシーンですが・・・
アダムの生死が不明です。
ストーリーの流れ的に、きっとアダムは爆発に巻き込まれて死んだんだろうなとは思いますが、そのシーンが描かれていないのはものすごい中途半端!
一応主要人物の一人なんですから、一瞬でもいいので死亡シーンを映してほしかった(;’∀’)
ガーリックから漂う”ついでに登場させた”感
今回登場するガーリックですが、なんだかついでに登場させた感がものすごいです。
今回のストーリーのメインは、ルパンとドリュー、そしてアイヒマン(アダム)を中心に展開していきます。
従って、ガーリックはメインのストーリーに絡んできません。
「ルパン、死ねー!!」と言いながら、破壊と撤退を繰り返しているだけです。
恐らく、記憶が有る無いだけのストーリーにしてしまうと、まるで人間ドラマのような作りになってしまう。
しかし、ルパン三世というコンテンツの特性上、派手なアクションシーンが欲しい。
そこで無理やり登場させたのが、ガーリックだったのではないかと思います。
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