【考察】「ルパン三世 霧のエリューシブ」(ネタバレ)シリーズ初のタイムワープもの!?500年前の霧多布へ

アニメ

『ルパン三世 霧のエリューシブ』作品紹介

制作 2007年
ジャンル アニメ
監督 増田敏彦
キャスト 栗田貫一小林清志井上真樹夫増山江威子納谷悟朗

『ルパン三世 霧のエリューシブ』は、2007年、ルパンTVスペシャルシリーズ第19作目であり、ルパン生誕40周年記念作品として放映されたアニメです。

物語の舞台となったのは、北海道の霧多布(キリタップ)。

なお、エリューシブとは、「とらえどころのない」という意味の英語。

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『ルパン三世 霧のエリューシブ』のみどころ

本作は、なんとルパンシリーズ初のタイムスリップ物!

「なんでルパンシリーズでタイムスリップするの!?」って思うファンもいるかと思いますが、そこはまあまあ(笑)

ルパン、次元、五エ門の3人が、天才科学者魔毛狂介が開発したタイムマシンにより500年前の霧多布(北海道)にタイムスリップしちゃいます。

え?不二子はいかないのかって?大丈夫です、不二子は代役としてちゃんと祖先が登場します。

タイムスリップ物ということで、時間のパラドックス的な楽しみ方が出来ると思います。

 

それから3人は、どうやって現代の世に戻れるのかを必死に考えるのですが…

今回のお宝はまさに、”現代への帰り方”になるのです。

時間遡行の原理を利用した、魔毛狂介との頭脳戦。

是非ともお楽しみください。

『ルパン三世 霧のエリューシブ』登場人物

お不三

本作のゲストヒロイン。

500年前の蝦夷で活動する女盗賊。

見た目から性格まで峰不二子にそっくりということで、峰不二子の先祖であるとされている。

イセカが首から下げている青い首飾りを狙っている。

「かたき討ちをしても死んだ人は帰ってこないから、やるだけ無駄」という信念を持っている。

魔毛狂介

2854年生まれの霧多布地方出身の科学者。

世界で初めてタイムマシンを発明した天才(の割には、足りない行動が多いが…)。

 

タイムマシン開発後、タイムスリップを繰り返して実験を行っていたところ、目の前で巨大な岩石が突然消失する現象を目の当たりにする。

これは、自分以外のだれかが過去に遡って過去を変えた証拠であり、その人物は自分を消そうとしているに違いないという被害妄想甚だしい考えに至り、今回の計画を思いつく。

タカヤ

渡し船の船頭をしている少年。両親は既に死亡。

父親は生前、ノース家の宰相だったが、元宰相であるオビタキの謀略にかかり命を落としている。

その事件以来、父の仇を取ろうと密かにオビタキの命を狙っている。

イセカ

シャイン家の若き女王。

平和主義者で、ノース家との抗争を本心では争いを望んでいない。

ノース家がシャイン家の持つ神火(地下から噴き出す天然ガス)が欲しいことを知っているので、この神火をノース家と共有することで、抗争を無くせるのではないかと考えている。

 

史実では、ルパンたちがタイムスリップした三日後、抗争で死ぬことになっている。

ハサマ

シャイン家の宰相。常にイセカの身を案じている。

シャイン家の民を守らなければならないという宰相としての責任感を感じており、好戦的なノース家に対しては力で対抗しようと考えている。その点では、平和主義者のイセカと意見が割れる。

エシカ

ノース家の若き王。

イセカと同様平和主義者で、本心ではシャイン家との争いを望んでいないが、宰相であるオビキタの強引かつ好戦的な政策に意見できず、抗争を止められない。

王としてのオーラが全く感じられない。

オビキタ

ノース家の宰相。

前宰相(タカヤの父)を謀略により殺害し、自分が宰相に成り上がった。

好戦的で、神火を奪うためにシャイン家を滅ぼしたいと考えてる。

『ルパン三世 霧のエリューシブ』ストーリー(細部)

序盤

「天にそびえる眼 その懐には青き炎 竜の角砕けるとき 白き玉響時を貫く」

霧多布地方に古くから伝わるこの言葉。ルパンたちはこの、”白き玉響”を求めて霧多布を訪れていた。

そして、追いかけてきた銭形警部といつものようにカーチェスをしていると…なんと奇妙な乗り物に乗った”魔毛狂介”と名乗る男が突然現れる。

ここでルパンたち(+銭形)は、魔毛狂介が作り出した不思議な白い光の中に落ちていく。

 

ルパンたちが気が付くと、そこはなんと500年前の霧多布だった。ここでは、シャイン家とノース家(何故に英語?!)の二つの部族が抗争を繰り広げている真っ最中だった。

ルパンたち3人は、シャイン家の部族に掴まってしまう。

 

魔毛は、2854年生まれの科学者。世界で初めてタイムマシーンの開発に成功した天才だった。摩耗は、「過去を変えれば未来は変わる」という発想のもと、ルパンたちを消すことによって自分が生きる時代を変えてしまおうと目論んでいたのだった。

 

その頃シャイン家とノース家では、次元が持つ拳銃の獲得に躍起だった。まだ剣と弓矢が主流の時代、この未知の武器があれば抗争に勝てると考えているのだ。

しかし、好戦的なのは両家宰相のハサマ(シャイン家)とキビタオ(ノース家)のみ。シャイン家女王のイセカとノース家王のエシカは、本心では抗争を望んでいなかった

 

その後ルパンたちは、幼き船頭のタカヤと出会う。

タカヤの話によると、シャイン家には古くから伝わる”神火”があるという。なんとこの地には、地下から天然ガスが噴き出ているのだった。

この火のおかげで、シャイン家は豊かな生活ができる。しかし、それと同時にノース家との争いのタネにもなっているだった。

そして、シャイン家の土地にある巨大な女性像では、シャイン家にのみ伝わる”神火”の影響で夜中に見ると目が光り、まるで天を仰いでいるかのように見えた。

これこそが、言い伝えの「天にそびえる眼」なのだ。

 

そして、同じく言い伝えの最後「時を貫く」とは、タイムマシンのことなのではないか?とルパンは考える。

この謎を解けば、うまくすれば再び現代に戻れるのかもしれない。

中盤

魔毛は、ルパンと同じく言い伝えの謎を解こうとしていた。

魔毛は、自分以外にもタイムワープをする人間がいるのではないかと考えていた。もしかしたらその人間は、自分を消そうとしてるのかもしれない。

魔毛がルパンを過去にタイムワープさせたのも、それが狙いだったのだ。

 

その後ルパンたちは、不二子にそっくりなお不三という女盗賊と出会う。

そして、タカシを含めた全員で、抗争を望まないというイセカの意思をノース家に伝えようという謎行動に出る(イセカの許可をもらっているわけではない)。

エシカは、伝達役の五エ門の話を真剣に聞き入る。

 

史実上では、シャイン家女王は三日後に抗争に巻き込まれて死ぬ。そうなると、言い伝えの謎は解らないまま。そうなれば、ルパンたちは現代に帰れないばかりか、魔毛にお不三を殺されてしまう(つまり、現実世界で不二子がいなくなる)。

焦るルパンは、偽物のお宝を用意し、まるで自分がタイムワープをしているかのよう魔毛に見せかけるという作戦を実行するが、あと一歩のところで魔毛にバレてしまう。

 

業を煮やした魔毛は、ノース家にマシンガンなどの武器を提供する。ノース家にシャイン家の島を襲わせ、お宝を島ごとぶっ飛ばそうという計画だ(なんという勢いだけの計画…)。

なんとか抗争を食い止めたいイセカとエシカ(名前が似てて紛らわしい…)だったが、両家宰相が暴走し、シャイン家とノース家はいよいよ決戦の日を迎えることとなる。

終盤

ついに、戦いの火ぶたは切って落とされる。

魔毛の武器援助を受けて圧倒的な火力を誇るノース家は、あっという間にシャイン家を追い詰めていく。

ここでイセカは、唐突に女性像のてっぺんに立ち「この戦は止めにしよう!」と叫び始める(いや、気持ちは分かるが、今は戦の真っ最中なんですが…)。

それを聞いてエシカは、「分かった、止めにしよう!」(てか、そんなんで止められるならはじめっからやるなよ!)

唐突に両家の和睦が結ばれ、計画がとん挫してしまった魔毛は、強引にお宝を破壊しようと試みる。

 

その頃、ルパンと次元はお宝の探索に全力を尽くしていた。

ここでルパンは、ついにお宝の謎を解く。

「天にそびえる眼」とは、巨大女性像のこと。

「その懐には青き炎 竜の角砕けるとき 白き玉響時を貫く」とは、女王の青い首飾りから放たれた光が、壁に描かれた竜の角を貫くこと。

ルパンが宝物庫で発見した白き玉響を竜の角部分にはめ込めば、奇跡が起きるのだという。

 

魔毛はこの話を聞くと、早速タイムワープし、ルパンが宝物庫で白く玉響を見つけた瞬間に戻る。そして、白き玉響を横取りしてしまう。

しかし、実はこれもルパンの作り話。お宝の謎など、解けていなかった。

ルパンは、一瞬のスキをついて魔毛のタイムマシーンを奪う。形勢が不利になった魔毛は、「覚えてろ~!」と負け犬の決まり台詞を発し、どこかへ消えていく。

 

その頃、戦いで発生した日が天然ガスに引火。爆発によりイセカがいる女性像が崩れ落ちてしまう。

もうイセカは助からないのか?そう思われた瞬間、イセカは白い光に包まれる。そしてその光の中から、ルパンが操作するタイムマシンが現れる。

イセカは、タイムマシンによって命が救われたのだった。

 

シャイン家の住民は、「白き玉響の奇跡だ!」と歓喜する。

言い伝えの「白き玉響」とは、なんとこのタイムマシンのことだったのだ。

ラストシーン

イセカは、守ってくれたお礼にと、五エ門に青い首飾りをプレゼント。

ルパンたちは、イセカ、お不三、タカヤに別れを告げ、現代にタイムワープする(どさくさに紛れて銭形も)。

 

現代に戻ったあと、次元は「どうしてもわからないことがある」とルパンに素朴な疑問をぶつける。

「結局お宝はタイムマシンだった、でも、そもそも俺たちが(過去に)行かなきゃタイムマシンなんてなかった…」

その疑問にルパンは答えようとしたところで、不二子の邪魔が入りエンディングを迎える。

1分で振り返るストーリーまとめ(忙しい人向け)

忙しい人向けに、本作のストーリーを1分で把握できるようにまとめてみました。

✔ ルパン、次元、五エ門は、魔毛狂介の発明したタイムマシンで、500年前の霧多布へたむワープする。
✔ そこでは、シャイン家とノース家の二つの部族が、神火を巡って抗争を繰り広げていた。
✔ ルパンたちは、言い伝えの謎を解くことで現代に戻れるかもしれないということを知る。
✔ 散々探した結果、言い伝えの謎は解けなかった。しかし、魔毛を騙してタイムマシンを奪い取ることに成功。ついでに、シャイン家とノース家の抗争も和睦させる。
✔ 結局、言い伝えにある”白き玉響”とは、ルパンたちが乗ったタイムマシンのことだった。

興味が湧いた方は、是非ともストーリー(細部)も読んでみてくださいね!!

『ルパン三世 霧のエリューシブ』考察及び感想

卵が先か?鶏が先か?のジレンマ

「結局お宝はタイムマシンだった、でも、そもそも俺たちが(過去に)行かなきゃタイムマシンなんてなかった…」

とは、次元の最後の疑問。

 

これは、最初は「『時を貫く』だと!?500年前にタイムマシンがあったというのか!?」という発想で過去に遡るのですが、いざ500年前にタイムスリップしてみると、タイムマシンなんてのは存在しなかった。魔毛が発明したタイムマシンを当時の人が見て、『時を貫く』という言葉ができただけだった、ということ。

つまり、言い伝えとルパンたちのタイムスリップとどっちが先なんだ?という話。

 

これは、「卵が先か、鶏が先か」の因果性ジレンマによく似ています。タイムスリップ物では、よくテーマとして取り上げられる問題。

しかし、この問題を深掘りしていくと非常に哲学的な話になっていくので、このブログではこれ以上追求しません(;’∀’)興味がある方は、独自に調べてみるといいかもしれません。

 

とりあえず私が言えることは…

現在の人類の中でこの答えを導き出せる人はいない、ということです。

 

また、本作とは関係ありませんが、タイムスリップ物でよく取り上げられるのに「親殺しのパラドックス」というものもあります。

こちらも、興味がある人は調べてみてください。

で、魔毛狂介は一体どうなった…?

魔毛狂介は、ルパンにタイムマシンを乗っ取られ、「覚えてろ~」という負け犬としては100点満点の捨てセリフを残し、どこかへ消えていきました。

 

えっと…500年前の蝦夷という地に残されて、その後魔毛は一体どうなったのでしょうか…?

まさか、当時の技術でタイムマシンを発明できるとも思えないし。

シャイン家かノース家のどちらかに入り込んで余生を過ごすというやり方もありますが、仮にも抗争を扇動しまくった男ですので、どちらからも受け入れられなさそう…

ひょっとしたら、凍え死んでしまうのではないでしょうか?

 

というように、将来を気にしてしまうほどの見事な使い捨てっぷりでした。

次元らしからぬ、おバカ発言

次元大介といえば、発するセリフに男らしい名言が多く、クールでかっこいいキャラクターが売り。

しかし、そんな次元らしからぬ失言…おバカ発言が飛び出しました。

イセカが死ぬまであと三日にせまった時、次元はこのように話しています。

「三日といえば、明日、明後日、明々後日(指折り数える)…って、あと三日しかないじゃないか!?おい!?」

 

だ、大丈夫か!?次元!?君のクールでかっこいいキャラクターは何処へ行った?だいたいこういうおバカ系のセリフは、もっと間の抜けたキャラクターが言うセリフだぞ!

 

ということで、次元としては珍しいおバカ発言のワンシーンでした。

外交ブレーカー石川五エ門

次元に引き続き、沈着冷静な五エ門にもらしからぬ行動が…

シャイン家の女王イセカは、ノース家との和睦の道を模索していました。その切り札が神火、つまり地下から噴き出す天然ガスをノース家と共有しようというものでした。

ところが、あろうことか五エ門は、女王であるイセカから命じられたわけでもないのに、勝手にノース家に乗り込んで行って、ノース家の王エシカにイセカの意思を全部伝えちゃうんです。

 

これは…外交上大問題でしょう。通常このような外交問題は、はず初めにシャイン家の中で揉んで、その後に然るべきタイミングで然るべき人物を立てて、交渉に臨むべき問題。

「隣のB組の○○が、お前のこと好きって言ってたよ~」みたいな、恋愛話をする高校生の軽いノリで話しちゃいけないんですよ!

下手をすれば、せっかく結べる和平もダメになってしまう可能性すらある。

イセカはさぞかし顔が青ざめたことでしょう。

 

五エ門も、平和を望むという姿勢はとてもいいことですが、ちゃんと段階を踏んで話を進めましょうね。

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