【考察】「ルパン三世 GREEN & RED」(ネタバレ)往年のファンと子供たちを大混乱に陥れた問題作

アニメ

作品紹介

制作 2008年
ジャンル アニメ
監督 宮繁之
キャスト 栗田貫一小林清志井上真樹夫増山江威子納谷悟朗

『ルパン三世 GREEN & RED』は、2008年、ルパン三世OVA第3作目として放映された作品です。

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このアニメのみどころ

本作のみどころ(というか問題点)は、非情に小難しい内容であるという点。このアニメを見た往年のルパンファンと子供たちは、大混乱に陥ったそうです。

そして、これは主要VOD4社では配信されていない作品でもあるんですよね。

このアニメを見るためには、ネットで購入するか、DVD屋さんを探さないといけません。

多分、キワモノの類なんでしょう。

 

ルパンシリーズといえば、大人から子供まで楽しめるコンテンツということで、基本的にストーリーは単純明快。ルパンが財宝の謎に挑み、悪の組織と戦い、ゲストヒロインといい感じになるが結局は結ばれない、そしてルパンたちは次なる冒険へと漕ぎ出す…

というのがデフォ。

言ってみれば、結末がどうなるかはだいたい予想付くのについつい見てしまうあの国民的TV番組『水戸黄門』みたいなもんですよね(笑)

 

しかし、本作はこれまでのルパンシリーズと一味も二味も違います。ストーリーが難解過ぎます。

まず、子供が見ても絶対に理解不能

大人が見たって、一回見ただけではまず意味不明。二週目見ても微妙。三週目見てようやく「あー、そういうことかな?」となるレベル。

私も、この考察記事を書くまでに5回ほど見直しました(;’∀’)

 

めっちゃ簡単に説明すると、

”ルパン”とは人間ではなく概念であり、ルパンの名を名乗る資格を持った者だけがルパンになれる。じゃあ、本物のルパンは誰なんだ?

というストーリー。

ね、意味不明でしょ?(笑)

 

この作品は、ネット上でこれまでにいろいろな考察が行われています。

本ブログでも、後半において考察を行っていますので、このアニメを見て「わけわからないんだけど…」と感じた人は、是非とも参考にしてください。

登場人物

康雄

本作の主人公。定職に就かず、潰れかけたラーメン屋『グリーン亭』でアルバイトをしている甲斐性無しの男。夜になると街を練り歩き、スリをすることで生活費を賄っている。

ルパン三世に憧れをいだいており、特に好き回は『ルパン三世 カリオストロの城』のようで、同作主題歌の『炎のおくりもの』を繰り返し聴くほどである。

 

由紀子という恋人がいる。

由紀子

康雄の恋人。TVレポーターを務める傍ら、ルパン三世の謎を解き明かそうとする。

結婚したいと願ってはいるが、なかなか一歩が踏み出せないでいる康雄に飽きれ気味である。

ローガン

『ローガン社』の社長。アイスキューブをナイト・ホークス社に500億円で売りつけている。

幼い息子に自分の脳を移植するというイカれたマッドサイエンティスト的側面を持ち、普段は「見た目は子供、頭脳は大人」というリアル名探偵コナンのような生活を送っている。

登場するや否や速攻爆死するため、存在感はかなり薄い。

日下部晋三

民間軍事会社『ナイト・ホークス社』の社長。アイスキューブの実質的な所有権を持つ。

腹黒い男で、極秘情報であるアイスキューブの存在を隠ぺいするためなら手段を選ばない。

どういう解釈か不明だが、日下部の軍事会社はある程度自由に武器を使用できるらしく、民間人に対して発砲(殺害)してもお咎めが無い模様。

元総理大臣の安倍晋三さんと名前が一緒なのは、偶然なのだろうか?

紅屋の主人

書店『紅屋』の主人。白髪の老人。グリーン亭の常連客。

”ルパンの生き字引”と言われるほどルパン三世に詳しい。

ラーメン屋に緑のジャケットを忘れてたり、わざとP-38をスらせたりと、康雄にいろいろとけしかけているがその目的は謎である。

ストーリー(細部)

序盤

ある日、都内のコンビニでルパンが万引きで逮捕されるという間抜けなニュースが世間を駆け巡る。ルパンは警察署に送られ、取り調べを受けている。

そのニュースに呼応するかのように、世界中の偽ルパンが日本に集結。その数、ざっと数十人。

結局、その偽ルパンたちはまとめて検挙されてしまい、留置所では誰が本物か偽物化などと侃々諤々の議論を交わす。

偽物ルパンが跋扈するなか、本物(と思われる)ルパンは、民間軍事会社『ナイト・ホークス社』が保管するお宝”アイスキューブ”を狙っている。

ルパンは、早速アイスキューブの所有者であるローガンに犯行予告状(というか予告動画)を送り付け、ナイト・ホークス社ビルへの侵入計画をたてていく。

 

実は、ここで登場した”本物ルパン”は本物のルパンではない。

その正体は、康雄という名の青年。スリを生業とする康雄は、ひょんなことからルパンの愛銃であるはずのワルサーP38を盗むのだが、これがきっかけとなり、ルパン三世の模倣犯として暗躍していた(以下、「康雄ルパン」とする)。

 

ルパンの予告状が送られ狼狽するローガンだったが、ナイト・ホークス社の社長日下部に裏切りられ、搭乗していたジェット機を撃墜されてしまう。

康雄ルパンはローガンを救出。そして、ローガンが持つアイスキューブの関連データをすべて抜き取ることに成功する。

 

と、ここで物語はとんでもない方向へと向かう。なんと、康雄ルパンの前に本物のルパンが現れるのだった。これまで康雄ルパンと組んでいた次元五エ門も、本物ルパンが現れたとたん、まるで手のひらを返したかのように「元気そうだな」などと言いながらそちらに迎合してしまう。

康雄ルパンは、どちらが本物かを決めるべく本物ルパンとの決闘を試みる。

 

(…「本物を決めるべく本物と決闘」というパワーワードよ(笑))

しかし、ここで横やりが入る。日下部が派遣した戦闘ヘリがローガンに向けてミサイルを放ち、康雄ルパンはその衝撃で海に投げ出されてしまう。ローガンは即死(恐らく)

中盤

この頃の日本は、かつての日本とは異なり、軍事関係を完全に民間に委託している国家に変貌と遂げていた。その日本の軍事を一手に担うのが、ナイト・ホークス社であり日下部ということなのだ。

 

重傷を負った康雄ルパン。しかし、そんな康雄ルパンを峰不二子が救出する。不二子は、康雄ルパンを「ルパン」と呼び、共に組んでアイスキューブを盗み出さないかと持ち掛ける。

康雄ルパンはこれを承諾する。

 

その頃、康雄の恋人でありジャーナリストでもある由紀子は、ルパン三世のことについて調べていた。

由紀子は、”ルパンの生き字引”と言われている書店『紅屋』の主人に取材を試みる。しかし、「ルパンに国籍も国境も関係ない」「彼は自由そのものだ」「いつだって粋でクールな男。少なくても、ルパンに”なってから”は」などと、益体の無い話ばかりをされるだけ。

 

一方銭形警部は、ルパンから予告状が届いたという情報を聞きつけ、ナイト・ホークス社へと向かう。そして、ルパンが盗み出そうとしている”アイスキューブ”の細部を聞き出そうとする。

銭形がアイスキューブの名を口にした瞬間、警備員が銃口を向けるなど一気にきな臭くなるが、日下部はこの申し出を承諾。銭形を保管金庫内に案内する。

この瞬間、本物のルパンと康雄ルパンがほぼ同時に乱入。銃を向けながらアイスキューブを二人で奪い合う。

ここで、日下部が顔を真っ青にして叫ぶ。

「やめろ!それは合成プルトニウムだ!」

終盤

アイスキューブの正体、それはなんと、核兵器の原材料となる合成プルトニウムだったのだ。しかし、ナイト・ホークス社が持っていたものは偽物。

資金繰りに困ったローガン社が、ナイト・ホークス社に偽物を売りつけたという形だ。しかも、その裏には日本国家が絡んでいるという。

地検特捜部は、直ちに捜査を開始した。

 

ところで、本物ルパンと康雄ルパンとの決着はまだ付いていない。康雄ルパンは、どうしても本物ルパンと白黒をつける必要があった。

ということで、中野サンプラザ屋上において最後の決闘が行われることとなった。

 

月明かりが照らす中、二人は銃を向け合い決闘を行う。

本物ルパンは言う。

「現時点では双方偽物。生き残った方が本物だ」

二人のルパンは、同時に引き金を引く。

ラストシーン

「靖国通りにルパンが現れた!」警察無線が響き渡る。

その靖国通りを、フィアットで爆走するルパンと次元の二人。

バックミラー吊るされた指輪が、緑色にきらりと光る。

三上警部は続ける。

「奴は…新型だ」

1分で振り返るストーリーまとめ(忙しい人向け)

忙しい人向けに、本作のストーリーを1分で把握できるようにまとめてみました。

✔ 世界中に偽物ルパンが現れる。
✔ 康雄は、定職にも付かず、恋人の由紀子からも呆れられている甲斐性無しの男だった。しかし、ひょんことから偽ルパンの一人として活動することとなる。
✔ 康雄は、ナイト・ホークス社が所持する”アイスキューブ”に目を付ける。
✔ そんな中、本物のルパンが登場。二人のルパンはアイスキューブを奪い合うが、アイスキューブの正体は合成プルトニウムだと知り、興味を無くす。
✔ その後、本物のルパンと康雄ルパンでどちらが本物なのかを決めるための決闘が行われる。
✔ 結果、どちらが勝ったのかは明確にされていない。

興味が湧いた方は、是非ともストーリー(細部)も読んでみてくださいね!!

考察及び感想

この作品が伝えたかったこととは?

本作は、非情に難解な作品なだけに、ネット上ではろいろな考察が行われています。

そんな中で一番有力と思われる説が、『ルパンの世代交代説』です。

紅屋の主人の正体が初代ルパン。本物のルパンが二代目ルパン。康雄が三代目ルパンというものですが、これは非常に面白い考え方だと思います。

言われてみればなるほど、こう考えてみると全体的にしっくりくるんです。

 

本作では、ルパンを”人間”ではなく”概念”であると捉えています。ルパンという人間が初めから存在しているわけではなく、誰かがルパンになるといった考え方です。

この辺は、紅屋主人の

「やつはいつだって粋でクールな男さ、少なくとも、ルパンになってからはね。」

というセリフから伺い知ることができます。

大勢の人間がルパンを目指す中で、一番ルパンらしい行動をとれる奴がルパンの名前を襲名できるということですね。

序盤に登場した大勢の偽ルパンたちは、ルパンになろうとしているけどなり切れていない半端者ルパンなのです。

当初、次元や五エ門が康雄ルパンと組んでいたのも、別に人違いをしていたわけではなく、康雄がルパンという概念に近い存在だったため、ルパンとみなして行動していただけのこと。

この辺は、五エ門の

「だまされてはおらぬ…そこにいるのは、紛れもなくルパン(康雄ルパンのこと)」

や、次元の

「本物かどうかなんて問題じゃねえ、組んだら他のどんな奴とやるよりよりおもしれえ、そういう奴のことだろう?」

というセリフからわかります。

 

また、終盤では次元と不二子が紅屋を訪れて、主人に「お疲れ様」と声をかけ、主人がニヤリと微笑むシーンがあります。

これは、康雄に三代目ルパンの才能ありと目を付けた紅屋主人が、康雄に緑のジャケットやP-38をわざと盗ませることによって、ルパンを目指すきっかけを与えていたと理解できます。

 

↑のような前提がある中で、初代ルパンの名を襲名したのが紅屋の主人。二代目が現在のルパン。三代目候補が康雄ということなのです。

 

そもそも、ルパン三世というコンテンツはモンキーパンチが原作。その後、たくさんの映画監督によりアニメ化されています。

当然、モンキーパンチが思い描くルパン像と、アニメで活躍するルパンでは違いが出てきます。

ルパンシリーズでは一番有名とされる『カリオストロの城』で登場するルパンも、モンキーパンチから言わせれば”優しすぎる”とのこと。

これまでにいろいろなパターンのルパンが登場してきましたが、「本物のルパンは一人だけですよ」ということが言いたいのだと思います。

最後は康雄ルパンの勝利?

本物ルパンと康雄ルパンの対決。勝利したのは、康雄ルパンだと考えられます。

最後、靖国通りを爆走するフィアットのバックミラーには、緑色に光る指輪が吊るされていました。

これは、緑ジャケットを着ていた康雄の勝利を暗示しているものと考えると自然ですよね。

三上警部の「奴は…新型だ」というセリフからも、二代目ルパンから三代目ルパンに世代交代が行われたということなのでしょう。

本当の時系列は?

もう一つ、この作品を難解なものにしているのは、時系列がバラバラに描かれているということです。ここが整理できないと「????」となってしまいます。

この点についても、ネットでは様々な考察がされています。

そもそも、ルパンに限らず本作のように非常に抽象的に描かれている映画やアニメについては、”正解が無い”というパターンが多いです。

あえて抽象的に描くことにより、視聴者に結末を想像させるという手法です。

従って、「これが正解」「あれは間違っている」と論じること自体がナンセンス、という考え方もできるのかもしれません。

 

しかし、敢えて私なりに理解していることを書いてみると…

①康雄は、ラーメン屋でバイトをするだけで、一向に定職に就こうとはしなかった。恋人の由紀子とは、半同棲生活を始めた。
②そんな康雄は、ルパンに漠然とした憧れを抱いており、映画『カリオストロの城』を繰り返し見ているほどだった。
③康雄は、夜になると街に繰り出しスリを繰り返していた。ここで得たお金が、いわば康雄の生活費の主力だった。もちろん、由紀子にはこのことを話していない。
④康雄は、いよいよ由紀子の両親に挨拶をすることに。しかし、途中で日和ってしまい、挨拶をすることができなかった。
⑤その夜、康雄は寝たきりになってしまった由紀子の祖母の元へ行き、昼間はビビッて挨拶できなかったことを詫びる。すると、由紀子の祖母からは「大丈夫、あなたなら出来る」と励まされる(最後のシーン)。
⑥ある日、ラーメン屋の常連客(紅屋主人)が忘れていった緑のジャケットを手に入れる。その後、いつものようにスリをしていたところ、思いがけずP-38を手に入れる。
⑦このことがきっかけで、康雄はルパンとしての活動を始める。デパートに侵入して指輪を盗み出し、それを由紀子にプレゼントする。康雄は、うだつが上がらなかった自分から脱皮できるチャンスととらえていた。
⑧そんな中、本物のルパンと遭遇。康雄からすれば、なんとしても自分が本物にとって代わりたかった。
⑨康雄は、本物とアイスキューブをかけて争ってたところ、その現場をヘリに乗って取材中だった由紀子に見られてしまう。
⑩本物をかけたルパン対決に勝利した康雄は、康雄としての人格を抜け出し、三代目ルパンとして生きていくこととなった。

こんな感じです。

 

由紀子は、銭形から「犯罪者(ルパン)を愛せるか?」と聞かれ、「いいえ、犯罪者は法の裁きを受けるべき」と答えています。

これはつまり、康雄と由紀子の決別を意味しているものと考えられます。なんたって由紀子は、犯罪者(ルパン)になってしまった康雄を目撃しているのだから…

終盤、由紀子は意を決したかのように康雄の店を訪れます。きっと由紀子は、なぜ康雄はルパンになってしまったのかを問いただそうとしたに違いありません。

しかし、この時康雄は既にルパンという存在になっており、康雄という人格は消滅しているのです。

 

このように、少し悲しい裏設定が隠されているように読み取れます。

ちょいちょいチラつく左翼的発想

ストーリーとは直接関係ないのですが、左翼的発想がちょいちょい出てくるのが個人的には気になります。

私は右翼ではありませんが、元自衛官ということで、左右どちらでも国防感覚を刺激するようなセリフなどには反応してしまうのです(;’∀’)

 

まず、銭形の「軍隊は国家を守るものだ、国民を守るものではない」というセリフ。

これについては、私は全く同意できません。

そもそも国家とは、国土と国民と主権の3つを指します。国家を守るということは、国民を守ることとイコールで結ばれるはずなのです。

中には、某C国のように、国家の体裁を守るために何千万人という国民を粛正したとんでもない国もありますが、ほとんどの国では、国民を守るために軍隊が存在するのです。

この銭形のセリフには、「軍隊とは国民を殺す恐ろしいもの」というある意味左翼的プロパガンダが見え隠れします。

 

他にも、銭形のセリフで「私はこれまで国のために尽くしてきた。しかし、こんなもの(核)を持ってしまう国であるならば、未練はありません」というものがあります。

未練はありません…つまり、日本を出て海外に移住してもいいという意味なのか?

以前、集団的自衛権をどうするかといった議論がされた時、「侵略戦争ができる国に住むくらいなるなら海外に移住するー!」と言っていた勢力がありましたが、ちょっと似ていますよね。

 

そもそも、核を持つべきか持たないべきか?という問題は、非情に高度な政治的問題であり、このブログではあえて論じることはいたしません。

 

いずれにしても、小さな子供も見るであろうこの国民的コンテンツにおいては、右であれ左であれプロパガンダを持ち込むべきではない、と私は思いますが…

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