「イグジステンズ」の作品紹介
制作 | 1999年 |
ジャンル | サスペンスホラー |
監督 | デヴィッド・クローネンバーグ |
キャスト | ジュード・ロウ、ジェニファー・ジェイソン・リー |
『イグジステンズ』は、1999年、デイビッド・クローネンバーグ監督により制作された映画です。
マニアが好むとされるクローネンバーグの作品の中でも、この映画はひときわマニアックな映画と言われております。
「イグジステンズ」のみどころ
この映画のみどころは、常人では理解不能な意味不明のストーリーです。
”イグジステンズ”とは、体感型ゲームの名前。主人公のパイクルとアレグラは、テロリストに命を狙われつつも新作”イグジステンズ”を共にプレイし、ゲームを通じて徐々に関係を深めていくのですが…
この”イグジステンズ”には、ものすごい危険な要素が含まれていたわけです。
序盤はまあなんとか理解できる内容なのですが、実際のゲーム空間が舞台となる中盤以降はまさに意味不明。頭の中は、ビックリマークとクエスチョンマークで溢れかえることでしょう。
なんといっても主人公パイクルが、見ただけで吐き気がするほどの気持ち悪いゲテモノ料理にむしゃぶりつき、食べた後の骨を組み合わせて銃を組み立て、自分の歯を銃弾にしてウェイターを撃ち殺すシーンは、「この監督、頭大丈夫?」と心配してしまうレベルです。
意味不明な映画と言えば、同じクローネンバーグの「裸のランチ」がありますが、比べて見れば「裸のランチ」の方が意味不明さでは軍配が上がるでしょう。
この「イグジステンズ」は、”裸のランチ入門編”といったところでしょう。
それと、これはクローネンバーグの世界ではある意味当たり前ですが、グロテスク、根暗要素が全開です。観ているうちに、自分の性格がどんどん暗~くなっていくのが分かります。
ちなみに、これまで「意味不明」だの「根暗」だの「頭おかしい」だの批判的な言葉を使ってきましたが、これはクローネンバーグファンからすれば全て「誉め言葉」にあたります。
そうです、これが良いんです。この暗~いじめじめした雰囲気が、まさにクローネンバーグ映画の真骨頂。
一度ハマったら抜け出せないんですよね、これが。
ちなみに、あまりにマニアック過ぎてTSUTAYAにはほとんど置いてません。VODでの配信もされておりません。
見たい方は、ネットで購入してくださいね。
「イグジステンズ」の考察及び感想
意味不明な電波ストーリー、グロテスクさ、エロさ、フフッと笑う瞬間すらない暗さ…
まさに、クローネンバーグ節が炸裂した一作と言ってもいいでしょう。
これは、クローネンバーグのぶっ飛んでる映画「王様のランチ」とも通じる部分があります。
ざっくりまとめると、パイクルやアレグラを始めとする十数人の登場人物たちは、”トランスセンデンズ”という体感型ゲームをプレイしており、その仮想のゲーム空間の中で、さらに数人の登場人物たちが”イグジステンズ”という体感型ゲームをプレイ。
さらに、仮想の中のさらに仮想ゲーム空間(ゲームinゲーム)において、パイクルとアレグラはさらに体感型ゲームをプレイ(ゲームinゲームinゲーム)。
あの気持ち悪いバケモノを解剖する工場が、まさにゲームの中のゲームの中のゲームの世界。
どんどん現実世界から乖離していくこの発想は、夢の中でさらに夢を見る映画「インセプション」に似ているような気がします(「パクリじゃないか?」と思った方、安心してください。制作された時期は「イグジステンズ」の方が圧倒的に早いです。)。
まず時代背景ですが、この映画は今よりも数十年ほど未来の話ではないかと思われます。この記事を書いた令和4年では、プレステ5やニンテンドースイッチといった家庭用ゲーム機がまだまだ主流。
イグジステンズのように、身体にコード類を直接ブッ刺してプレイする体感型ゲームというものは存在しません(一応、「バーチャルボーイ」たるゲーム機もあったが、失敗作すぎてネタにされている」)。
そして、このゲームをプレイするには、脊髄に穴を開けなければいけないという驚愕の事実。パイクルの話では、施術に失敗して下半身不随になった例もあるとか…。
たかだかゲームに、障害者になるリスクを背負ってまで夢中になる大人たちって一体…
あと、ゲームのポッドという存在。あれは、ゲームのコントローラーのように見えますが、きっと生き物なのでしょう。常にグニャグニャと不気味に動いているし、焼き殺そうとすると悲鳴を上げるし、中身はまるで内臓のような作りになっているし…
きっと人間は、カマキリが回虫に脳を乗っ取られてしまうように、ポッドに脳みそを支配されてしまうのでしょうね。
私が一番謎なのが、そもそもこのゲームは面白いのか?ということ。正直、全く面白さを感じない(笑)
何をしても自由なオープンワールドゲーム。…のように見えますが、”特定のセリフを言わないと、相手は同じセリフを話し続けて先に進めない”のように、昔のRPGゲームのような低スペックぶりを容赦なく見せつけてきます。
また、ゲームの目的が不明。恐らく、最後に生き残った人間が勝者…ということなんでしょうけど、それにしてはルールがザル。結局、銃で全員を撃ち殺せばOKという、まるでバトルロワイヤルのような野蛮なゲーム性(それだったら、最初から殺し合えばいいじゃん)。
仮に今後”イグジステンズ”が完成したとしても、私はプレイしないでしょうね…
「イグジステンズ」の登場人物
テッド・パイクル
新作ゲーム”イグジステンズ”発表会の会場警備員。会場に入る人間に金属探知機を当てて、武器を持ち込ませないようにするのが仕事。
脊髄に穴を開けるのが怖くて、バイオ・ポートを身体に取り付けていない。
アレグラ・ゲラー
”イグジステンズ”の開発者であり、美貌も兼ねそろえている。ゲーマーたちからは”ゲームの女神”と呼ばれて崇拝されている。
”イグジステンズ”の開発者であることに誇りを持ち、ポッドを我が子のように溺愛している。
自身のバイオ・ポートにポッドのコードを繋ぐと、エロくなる。
「イグジステンズ」のストーリー(細部)
序盤
ここは、アンテナ社の新作ゲーム「イグジステンズ」の発表会場。会場内は多くのファンが集まり、ゲームの開発者であり世界的に有名なゲームデザイナーでもあるアレグラ・ゲラーが登壇した。
イグジステンズとは、従来のゲームとは全く異なる。プレイヤーは、”ポッド”と呼ばれる気味の悪いコントローラーを持ち、端子を自身の背中にある穴(バイオ・ポート)に繋ぐことでプレイできるようになる。
アレグラと選ばれた12人のファンによるイグジステンズが始まろうとしたその時、会場の一人が突然気持ちの悪い銃を取り出し、「アンテナ社に死を!」と叫びながらアレグラを撃つ(この男は、この後すぐに警備の人間に射殺される)。
アレグラは、命は助かったものの胸に傷を負う。
「アレグラを連れて逃げろ!」こう命じられた会場の警備役テッド・パイクルは、アレグラと共に車に乗って逃走する。
逃走の途中、パイクルはアレグラの胸部に打ち込まれた銃弾を取り除いた。すると、なんとアレグラの身体から出てきたものは、銃弾ではなく人間の歯だった。
犯人が使っていた銃を調べてみても、弾倉には人間の歯が並べられていたのだった。
この不可解な襲撃事件に首をかしげながらも、二人はモーテルへと辿り着く。
このパイクルという男は、身体にバイオ・ポートが付いていない。つまり、イグジステンズをプレイすることができないのだ。
バイオ・ポートを付けるためには、油圧中で脊髄に大きな穴を開けなければならない。パイクルは、自分の身体を傷つけるのに恐怖を感じていた。
ここでアレグラは、ポッドが感染しているかどうかを調べるため、バイオ・ポートを付けてイグジステンズをプレイするようパイクルに懇願。
パイクルは、押しに負けて了承する。
中盤
非合法でバイオポートを付けるには、ガソリンスタンドしか方法はない(?)。二人は、早速ガソリンスタンドへ行き、パイクルは身体に穴をあけてバイオ・ポートを埋め込む。
その後、パイクルがポッドを繋いでゲームをプレイしようとするが、過電流が流れたことによりポッドが壊れてしまう。
なんとこれは、ガソリンスタンドの主人の男による策略だった。
主人の男は、協力するフリをしてポッドを壊し、さらにはアレグラを殺して賞金を貰おうと考えていたのだった。
主人の男は、アレグラを撃ち殺そうとするが、直前でパイクルが助太刀。主人の男は撃たれて死亡する。
アレグラとパイクルは、壊れたポッドを修理するため、スキーレンタル屋を営んでいるキリ・ビヌカーの元を訪れる。
ビヌカーは、まるで手術でもするかのようにポッドを修理する(解剖手術を見ているみたいで本当に気持ち悪い…)。
ポッドの修理が終わると、アレグラとパイクルの二人は、それぞれポッドをバイオ・ポートに繋いでイグジステンズをプレイし始める。
※ ここから先は、あまりにも支離滅裂かつ電波過ぎるストーリが展開されるため、私の文章作成能力ではとてもじゃないけど書ききれないと判断し、以下を箇条書きとさせていただきます…(T_T)
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二人は、さらに深いゲームの世界へ没入。
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そこは、突然変異の気持ち悪いバケモノを分解して各都市に発送する工場。アレグラとパイクルは、その工員だった。
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先輩の工員ノリッシュから、「ランチは中華料理店で”スペシャル”を頼め」と助言される。
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二人は、ノリッシュの言うとおりに中華料理店に行って”スペシャル”を注文。
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とんでもなゲテモノ料理が出てくる。
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パイクルは”ゲーム衝動”に突き動かされ、そのゲテモノ料理に食らいつく。パイクルが、料理の余りの骨と骨を組み合わせてみると、なんと銃が組みあがる(最初にアレグラを撃った銃)。
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パイクルは、「殺したくなった」というサイコパスな理由で、組みあがった銃で中国人ウェイターを射殺する。
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ノリッシュから、「おまえが殺した中国人は裏切り者だった」と言われ、「おまえは現実主事者の仲間だ」と称えられる。
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二人は、ダルシー・ネイダーに会いに最初のバーへ戻る。すると店主から「ノリッシュはダブルスパイだ」と教えられる。二人は、今度はノリッシュを殺しに行く。
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ゲテモノ解剖工場で、二人は腐ったポッドを見つける。アレグラは、試しに自分のバイオ・ポートに繋ぐ。
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アレグラは突然体調不良に陥る。パイクルは、ナイフでポッドのコードを断ち切る。大領の血が流れ、アレグラは失血死寸前にまで追い込まれる。
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あせるパイクル。ここでノリッシュが「俺に任せろ」と言って登場し、火炎放射器でポッドを焼く。
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ポッドは爆発し、死の胞子を撒き散らす。
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アレグラは、すかさずノリッシュの腹にナイフを突き立てる(ノリッシュ死亡)。
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ゲームが崩壊し、二人はイグジステンズの世界から覚醒する。
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しかし、突然モーテルの窓がすべて割れ、兵隊の格好をしたカーロー(ゲームのキャラ)が乱入。アレグラとパイクルを連れて外へ脱出(いつの間にか外は戦場に…)。
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カーローは、「最後の仕上げ」と言ってアレグラを殺そうとする。
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ここで、カーローが何者かによって射殺される。カーローを撃ったのは、なぜかビヌカー。
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ビヌカーは、「システマティクス社に来ないか?」とアレグラを誘う。しかし、アレグラはその提案を拒否し、ビヌカーを射殺(あーもうむちゃくちゃだよ!)。
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パイクルは、「これが現実だったら、君は人を殺したことになる」と言ってアレグラを説教。さらには、実は自分はアレグラの的であることを告白。
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アレグラは、「パイクルが敵だったことは初めから知っていた」と言って、青いスイッチを押す。すると、パイクルの背中が爆発(パイカル死亡)。
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この瞬間、アレグラ、パイクルを始めとする十数人のプレイヤーが目を覚ます。実はここまでのストーリーは、ピルグリマージ社が開発した”トランスセンデンズ”というゲームだった。
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発表会が終わると、アレグラとパイクルは突然銃を取り出し、ノリッシュと司会の女を射殺。「ピルグリマージ社に死を!」「トランスセンデンズに死を!」と叫ぶ。
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銃を突き付けられた中国人のプレーヤーが「まさか、これもゲームの中の世界?」と呟く。
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コメント
王様のブランチみたいに言うなw
コメントありがとうございます!
すいません、王様のブランチを見ないもので…
コメントの意味を教えていただけると嬉しいです。
私はsageさんではないですが、「王様のランチ」ではなく「裸のランチ」が正しいタイトル、ということがおっしゃりたいのかと思います。
コメントありがとうございます。
あ、本当ですね…
正しくは「裸のランチ」のところ、「王様のランチ」になってました(笑)
すぐに修正しました。
ご指摘、ありがとうございました!