漫画「芋虫」(ネタバレ)トラウマ植え付け漫画。戦争で両手両足、嗅覚、聴覚、声を失った日本軍人の話

漫画

作品紹介

制作 2009年(原作の小説は1929年)
ジャンル 人間ドラマ
作者 丸尾末広(原作の作者は江戸川乱歩

『芋虫』は、2009年、江戸川乱歩が1929年に著した小説『芋虫』を原作として制作された、丸尾末広さんの漫画です。

丸尾末広さんといえば、本ブログでも紹介した『少女椿』を書いた漫画家としても有名。

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この漫画のみどころ

この漫画のみどころは、戦争で両手両足を失いまるで”芋虫”のようになってしまった夫と、そんな夫を介護する妻の歪んだ夫婦愛です。

 

この作品は、江戸川乱歩の短編小説を基にした漫画で、昭和4年に『新青年』という雑誌で掲載されていました。昭和4年(1929年)といえば、ニューヨークで株の大暴落が起きて世界恐慌が発生した年。

日本はまだ軍国主事真っただ中で、中国大陸では国民党軍と小競り合いを繰り返しており、これから大東亜戦争へと突き進んでいこうという時代です。

そんな時代に誕生したのが、この最強のトラウマ『芋虫』です(本ブログで紹介するのは、小説『芋虫』を題材にして2009年に漫画化された『芋虫』)。

全体的なボリュームは少なく、30分あれば余裕で読み切ることができます。しかし、その悲劇的すぎる内容には、一生忘れられないであろうインパクトが感じられます。

 

日露戦争では英雄と称えられた須永中尉。しかし、1918年のシベリア出兵で四肢欠損の大怪我をして、妻のもとに帰ってくるのです。

最初こそ、妻は甲斐甲斐しく夫の看護を続けるのですが、次第に夫を人間と認識出来なくなっていくのです…

この妻の豹変っぷりがなんとも恐ろしい。

 

この漫画は、あまりにも悲惨でグロテスクかつ反戦的な内容ということで、あらゆる雑誌から掲載を拒否され又は伏字により掲載されており、当時ではまともに読むことができなかったという色物です。

そして、エロい。とにかくエロい。

漫画の3分の1くらいは、だいたい変態プレイしているシーンです。

特に須永中尉の奥さん。彼女は、肉慾の塊へと変貌を遂げていくのです。

”芋虫”のように何もできずに横たわっている夫を見て、なぜか欲情。さらに、アソコに〇〇〇を突っ込んで夫に食わせるという戦前とは思えないようなマニアックプレイ…

間違って手に取って読んでしまった小中学生たちは、性癖が歪ませられること確実でしょう。

これもこれで、ある意味衝撃的な漫画です。

 

というわけで、数十年間にわたり老若男女問わずトラウマを植え付け続けてきた問題作”芋虫”。

ご紹介していきます。

 

なお、この”芋虫”の主人公須永中尉と同じような境遇で苦しんだ若い兵士を題材にした映画『ジョニーは戦場へ行った』も記事にしているので、そちらも併せて読んでみてください。

登場人物

須永中尉

日露戦争の英雄。”猛将”と称えられるほど勇敢に戦場を駆け巡り、手柄を立てて出世した。

後のシベリア出兵時、負傷して四肢欠損。さらに、声帯、聴覚などを失い、ただ布団の上に寝かされているだけの存在になり果てる。

家族や兄妹も須永中尉を見放し、妻の時子のみが看護をしてくれる。

声を出せず耳も聞こえないため、妻とのコミュニケーションは基本筆談。鉛筆を口に器用に咥え、紙に字を書くことができる。

須永時子

須永中尉の妻。

子供ができずに男の子を養子に取るが、間もなくその子も病死する。

古風な女性で、どんなに苦しい状況でもひたすらに夫に尽くそうとするが、看護を続けていくうちに、やがて彼女の歪んだ性格や性癖が露になっていくこととなる。

鷲尾

須永中尉の元上官。

時子をいやらしい目で見ている。

ストーリー(細部)

「得体のしれない悪夢にうなされて、
ひどい叫び声を立てたかと思うと、
時子はびっしょり寝汗をかいて目を覚ました。
時子は最初の間、それが何だか空恐ろしく、
いとわしったが、やがて、月日がたつに従って、
彼女も赤、徐々に肉慾の飢餓となりはてていった。」

という、見るからに禍々しい雰囲気を醸し出す書き出しでこの漫画はスタートする。

 

日露戦争の勝利で日本中が湧きたつ中、須永時子は浮かない顔をしていた。

どうしても、夫との間に子供ができないのだった。養子にとった男の子も、すぐに病気で死んでしまった。

そして、時子の夫須永中尉は、今度はシベリアの戦場へと向かうらしい。

 

その後、須永中尉は大怪我をして日本に戻ってきた。

なんとおどろくことに、須永中尉は両手両足を折損。さらに、声を聴くことも話すこともできず、まるで”芋虫”のような状態で病院のベットに寝かせられていたのだった。

この衝撃的な姿を目の当たりにして、時子は気を失ってしまう。

周囲からは、「戦死よりはマシ」「運がいい」「羨ましい」などと声を掛けられる時子。

果たしてこれが、戦死よりマシなのだろうか?

 

それから3年、時子は片時もはなれすに夫の看護を続けていた。

須永中尉の食事、お風呂、下の世話はもちろんのこと、性欲処理までも…

しかし、看護の疲れは、確実の時子の精神を蝕んでいた。

 

そしてある日、蔑んだような目で見る夫に苛立った時子は、とんでもない行動を取ってしまう…

この後の進展

終盤、ただでさえ五体不満足で”芋虫”同然の須永中尉に、更なる悲劇が訪れます。こんな目に合うくらいなら、死んだ方がマシだと思えるくらいに…

そして最後、本当に救われないラストを迎えます。

読んだ人は、一気に気分が重くなっていくのを感じることでしょう。

 

この漫画の舞台となっているのは、1920年代の日本。

この頃の戦争は、世界の戦史の中で最も悲惨と言われています。マシンガンや地雷、戦車など、凶悪な兵器がどんどん開発され実践に投入されていった時代です。

一回の戦闘で数万人が死ぬ。まさに、狂気の時代。

兵器の進化スピードに、ついに人間の身体が追い付けなくなってしまったのです。

 

そんな時代に生まれ、必死に日本の国のために尽くしながらも、大怪我をして帰国した途端に周囲からは見捨てられる須永中尉には同情を隠せません。

悲惨さやグロテスクさが目立つ一方で、戦争の在り方についても考えさせられる深い作品です。

是非とも一度、読んでみてください。

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