作品紹介
制作 | 2011年 |
ジャンル | 人間ドラマ |
監督 | デヴィッド・クローネンバーグ |
キャスト | マイケル・ファスベンダー、ヴィゴ・モーテンセン、キーラ・ナイトレイ |
『危険なメソッド』は、2011年、史実を元にしたノンフィクション本『A Most Dangerous Method』と、その舞台版である『The Talking Cure』を原作として作成された、デイビッド・クローネンバーグ監督の映画です。
ユング、フロイトなど、実在した歴史上の偉人が登場します。
この映画のみどころ
この映画のみどころは、20世紀初頭における西洋の精神医学の発展具合について知ることができることです。
時代背景は100年以上も前ですから、精神医学の世界と聞くと、さぞかし未熟で荒々しい治療を行っていたの違いない…と考えてしまいがちですが、なんと驚くべきことに、現代でも行っているような斬新な治療方法を用いていたのです。
もちろん、みどころは精神治療を知れることだけではありません。
ストーリーだって…いや、ストーリーはいかにもクローネンバーグらしい、じめじめした暗~い映画。観終わると、どっと疲れが溜まります(笑)
(何度も言いますが、「頭おかしい」「根暗」「意味わかんない」は、クローネンバーグの映画を語るうえでは誉め言葉として使っていますのであしからずwww)
ちなみに、この映画には実在した人物が3人登場します。それが、
20世紀初頭から中期にかけて活躍した、スイス出身の精神科医。大学生時代には、個性的な思想家ニーチェに影響を受ける。
言語連想テストなど画期的な精神的治療法を提唱するなど精神医学に貢献する一方で、心霊や錬金術などのオカルト的な分野に傾注する一面もあり、「非科学的だ」と批判されることもある。
1961年、85歳で死亡。
19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍した、オーストリア出身の精神科医。
「ヒステリーは幼少期における性的虐待に原因がある」という論説を唱え、精神医学界に大きな影響を与えた。
晩年は、戦争による貧困にあえぎながらも患者の治療に尽力した。
1939年、末期がんにより83歳で死亡。
20世紀初頭に活躍したロシア出身の精神分析家。
19歳の時、統合失調症によりユングの勤めるブルクヘルツリ精神病院へ入院。このことがきっかけでユングとは愛人関係になるが、1年後に破局。
しかし、ユングからの影響を受けた彼女は、その後ロシアを代表する精神分析家へと成長する。
1942年、57歳の時、祖国ソ連がナチスドイツの侵攻を受けた際に死亡。
これらの人物です。
3人とも、歴史に名を残すほどの有名な精神科医(私はこの映画を見るまで知りませんでしたが…)なのですが、いろいろと関係が深い3人なんですよね。
そしてなんと、ユングとザビーナは愛人関係だったという事実。さらに、二人はお尻ペンペンタイム(「OPT」)を楽しんでいたという誰得?情報までも!?
とりあえず、見て見ればわかります。
栄養ドリンク片手に見てください。
登場人物
カール・グスタフ・ユング
精神病院ブルクヘルツリで、精神科医として働く医師。妻と子供がいる。
精神科医としては非常に優秀で、将来を嘱望されている。また、精神医学の権威であるフロイトを崇拝している。
しかし、順調そうに見えた彼の人背だったが、患者として運び込まれたザビーナの治療をきっかけに、その歯車は大きく狂い始めることとなる。
ザビーナ・シュピールライン
重度の精神病患者としてユングの病院に運び込まれる。
当初は、まともに会話ができないくらいに重傷だったが、ユングが治療を重ねていくうちに、見る見るうちに回復していく。
いつしか、自分も精神科医になりたいとさえ思うようになる。
幼少期、父親との関係の中で重度のトラウマを抱えることとなった。
ジークムント・フロイト
ユングが敬愛する精神医学界の権威。
精神治療の一つとして、談話により患者の精神を和らげていく”談話治療”を提唱する。
ストーリー(細部)
序盤
ユングが勤める精神病院に、重度の精神病患者が運び込まれる。
患者の名はザビーナと言い、常におどおどして、何かに怯えるかのように挙動不審で、言葉がどもり、まともにコミュニケーションが取れる状態ではなかった。
しかし、この突然の来客にユングは、かねてより崇拝していた精神医師の先輩フロストが唱える”談話療法”を試す機会が来たと喜んでいた。
ユングは、たびたびヒステリーを起こすザビーナに対し根気強く談話治療を続けていく。
しかし、ザビーナには感覚が鋭い一面を持っていた。ユングが”言語連想テスト”を行った時も、受け答えを聞いただけで被験者の深層心理を鋭く分析し、さらには被験者がユングの妻であることを言い当てた。
ユングが”談話療法”を行っていくうちに、ザビーナの口からは「父」というキーワードがよく聞かれるようになった。どうもザビーナが4歳の頃、父親に尻を叩かれて恐怖を覚えたという。
「このトラウマがザビーナの精神障害の原因か」と思ったユング。しかし、ザビーナの口からは驚くべき言葉が帰ってきた。
「気持ちよかった。興奮した。」
ザビーナは、自分が凌辱されることで興奮を覚えるマゾヒズムの持ち主だった。ザビーナは、小さい頃から常に”侮辱を受けること”を探し続けていたのだった。
中盤
ユングは、フロイトにザビーナのことを話す。ザビーナの性への執着、そしてマゾヒズムについて。フロイトは、ユングの話を興味深く聞いていた。
それから二人は、精神医学界についての会話を交わした後、フロストがユングを”夢分析”にかける。
ユングは、「馬が網で吊るされているが、網が切れて地面に落ちる。馬は歩き出すが、丸太を弾いているので遅い。さらに、馬の前には騎手や馬車があるので余計遅い。」という夢を見るのだという。
フロイトは、丸太を「ペニスの象徴」としたうえで、「ユングは性衝動を抑えているのではないか?」と分析する。
その後フロイトは、変わり者のグロス博士をユングに預ける。精神治療が必要な患者なのだ。
グロスは、薬漬けの毎日を過ごし、ユングの家では何の断りも無く物を持ち去るなど問題のある男だった。
さらにグロスは、多数の愛人を作るなど、全く性を抑制しようとしない。グロスはしきりに、ユングに対して「性を抑制するな」と持ち掛ける。
ユングはグロスの意見には否定的だが、しかし確実にその影響を受けていた。
後日、ユングはザビーナとキスをする。
そして、ユングとザビーナは性的な関係を持つようになる。
終盤
ユングは、妻に隠しながらザビーナとの関係を続けることに罪悪感を感じていた。しかし、その関係を止めることは出来なかった。
ユングは、ザビーナと会うたびにお尻ペンペンタイム(以下、「OPT」)を楽しんだ。
MAX BET連打!!!「あんあんあん♡」(+2G、+1G、+3G、+10G・・・・・・)
この頃から、ユングの精神医学に対する考え方も変わっていった。神秘やオカルトと言った怪しい分野に踏み入っていった。
一度はザビーナを突き放そうとしたユングだったが、ザビーナはユングに執着した。そして、ユングとザビーナの関係は周囲に知れ渡ることとなった。
このことをきっかけに、ユングとザビーナの関係は一旦終わる。
しかし、ザビーナが医大の卒論にユングのことを書いたことがきっかけで、二人は再びOPTを楽しむ関係になった。
この時には、ユングとザビーナの力関係は逆転していた。ユングがザビーナに完全に執着するようになっていた。
さらに、ユングとフロイトの関係は悪化し、ついに二人は決別するに至った。
ラストシーン
2年後、ザビーナは夢を叶え、精神科医になっていた。既にロシア人と結婚し、お腹には子供がいる。
そんなザビーナは、ユングの妻から「夫を助けて欲しい」と依頼される。ユングは、フロイトと決別して以来精神的に不安定になり、ついには精神治療が必要な程にまで悪化したのだ。
ザビーナは、精神を病んだユングと会話を交わす。
お互いの近況報告が終わった後、ユングは「許しがたいことをしつつ、人は生きていく」という言葉を残す。
(最後、以下のような字幕と共に映画は終わる)
グロスは1919年ベルリンで餓死(餓死!?)
フロイトはナチスにウィーンを追われ、1939年にロンドンで癌により死亡
ザビーナはロシアで優秀な精神分析家を育てた
祖母後、故郷ロストフに戻り幼稚園を設立
1941年、ナチスの進行により娘二人と共に銃殺された
ユングは、第一次大戦中に長期の神経衰弱を病んだが
その後、世界的な心理学者となる
妻や愛人の死後(やはり愛人がいたのか…)
1961年、平穏に没した
考察及び感想
観終わった瞬間、「・・・・・・・・・・(;・∀・)」ってなってしまうような、なんとも暗~い映画ですね。まあ、この根暗な感じの映画の雰囲気が、まさにクローネンバーグと言えるでしょう。
さて、この映画は実話を元にしているということですが、冷静に考えてみると、西洋の医学の進歩を伺い知ることができます。
まず、この映画の舞台は20世紀初頭のこと。ザビーナがユングの精神病院に入院してきたのが、1904年ということです。
1904年というと、日本では日清戦争が始まった年。その50年前までは腰に刀をぶら下げた侍が町中をうろうろしていた、そんな時代なんです。
この時の日本と言ったら、世界的に見て圧倒的医療後進国。
1900年に『精神病者監護法』というわが国初の精神病患者向けの法律ができているのですが、これは精神病患者を自宅に閉じ込めておこうという主旨のもの。患者は、もちろん満足に治療を受けることができません。
元々日本では、精神病患者はキツネや祖先の祟りであると信じられておりました。従って、精神病患者は”家の恥”として扱われ、近所の目に付かない様に自宅の座敷牢に閉じ込めておく、というのが基本的対処法だったようです。
今の感覚で考えれば、なんとも非人道的な扱いですよね…((+_+))
そんな非人道的な感覚が、この恐ろしい法律を産み出す原因になったのでしょう。
それに比べて、ユングやフロイトが行っていた精神治療は、限りなく現代の治療に近いような気がします。
ユングは、ザビーナを拘束するどころかむしろ開放的に扱い、彼女の人権を踏みにじるようなことはしませんでした。
さらに、ユングが行った”言語連想テスト”は、21世紀になった今でも使われている治療法です。
こうして考えてみると、ユングやフロイトの残した功績というのはかなり大きいものだったんでしょうね。
考察ついでに、ユングとザビーナが楽しんでいた「OPT(お尻ペンペンタイム)」についても少し触れておきましょう。
一般的には(何をもって一般なのか?)「スパンキング」といわれている、エッチの時に行われるプレイのことです。
私自身はこのプレイをしたことが無いのでよく分からないのですが、お尻を叩く/叩かれることによってまるでやってはいけないことをやっているかのような背徳心が生まれ、非情に興奮するみたいですね。
お尻を叩く側(S側)は支配感を感じることができ、叩かれる側(M側)は羞恥心を感じることができるようです。
さらに、お尻の上手な叩き方、叩かれ方、叩く場所などが細かく決まっているみたいなんですが…
ここから先は、興味のある方がご自身で調べてみてくださいね♡
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