『罪の声』の作品紹介
製作 | 2020年 |
ジャンル | サスペンス |
監督 | 土井裕泰 |
キャスト | 小栗旬、星野源、松重豊、市川実日子、他 |
『罪の声』は、2020年、土井裕泰監督によって製作されたサスペンス映画です。
題材となっているのは、塩田武士さんの書いた小説『罪の声』。
この映画は、第44回日本アカデミー賞など数々の賞を受賞している。
『罪の声』のみどころ
この映画の見どころは、終盤までのストーリー展開が実にドラマチックに構成されているというところです。
小説を基にした映画ということもあり、「よく考えられているなぁ」というのが素直な感想です。
この映画では、昭和の時代に発生した実事件がテーマとされています。
映画内では”ギン万事件”と呼ばれているこの事件こそ、「グリコ・森永事件」です。
グリコ・森永事件とは、1984~1985年にかけて発生した、日本の主な食品会社を標的とした一連の脅迫事件のことを言う。
犯人グループは、1984年3月、自らを”かい人21面相”と名乗り、江崎グリコ社長を誘拐。身代金を要求するなどの犯行に及んだ(江崎グリコ社長は、その後自力で脱出)。その後も犯人は、放火や暴行などの犯罪を繰り返した。
犯人グループが警察や各マスコミに送り付けた挑戦状・脅迫状は、合計144通にも及ぶ。
1984年10月、大阪、京都、兵庫、愛知のスーパーやコンビニから、猛毒として知られる青酸ソーダが混入されたお菓子(森永製品)が発見された(幸運にも被害者はゼロ)。
警察は、これを殺人未遂事件としてとらえ警察の威信をかけた必死の捜査を試みるが、結局犯人は見つからず。2000年には本件に関するすべての事件が時効を迎え、未解決事件として処理されることとなった。
この事件、私が赤ちゃんの時に起こった事件ということで全く記憶には無いんですが、改めて調べてみるととんでもない事件ですね(;^_^A
犯人車両をあと少しというところで取り逃がした滋賀県警の山本本部長は、その責任を重く感じたのか、遺書を残して焼身自殺をしたということです。
なんとも、痛ましい事件です…
さて、映画の話に戻ると、”ギン万事件”では、犯人グループは子供の声で脅迫用音声を録音し、脅迫に使用しています。
そしてこの声の主こそ、主人公の曽根です。曽根はある日、自分の父の遺品の中から、この音声テープを偶然にも発見してしまう。
曽根は、自分の声がこの昭和最大の未解決事件に使用されていたことに大きなショックを受けます。そして、一体だれが、どういう経緯で自分の声を録音したのかという謎を解き明かそうとするのです。
この映画は、ストーリが進むにしたがって徐々に謎が解けていくという、この過程が本当に面白い。まさにサスペンスの王道をいくような映画と言えるでしょう。
もう一つ、この映画には重要なキーワードが登場します。それが、「安保闘争」です(どのように重要なのかは、ネタバレになるので敢えて伏せます)。
安保闘争とは、1960年代から1970年代にかけて左派過激派が行った、”デモ活動”と称した殺人・暴行・放火など一連の過激な犯罪行為のことを言う。
この左派過激派による活動は、日本とアメリカの間に締結された日米安保条約に反対するという名目で行われたため、「安保闘争」「安保騒動」などと呼ばれている。しかしその実は、資本主義に反対する共産主義・社会主義思想が大きく影響していたといわれる。
安保闘争では、革マル派、中核派などの左派過激派が学生たちを扇動して数百人規模の暴力集団を形成し、警察の機動隊と度々衝突した。扇動された学生グループは、機動隊に対し火炎瓶を投げるなど過激な攻撃を行っていた。
衝突のたびに、学生グループ側と機動隊側に大勢の負傷者が出た。
60年代にはピークだった安保闘争だったが、左派過激派の部内による内乱(内ゲバ)などが原因で徐々に民衆の支持を失い、70年代に入ると下火になっていった。
安保闘争なんかは、完全に私は生まれていないため全くわからないのですが、時代が違うとはいえ、この平和な日本でとんでもないことがあったもんだと驚きを隠せないですね。
まあ、ガチで参加している人たちよりも、ファッション感覚で参加していた人たちのほうが多かったようですけど…
この安保闘争、この映画の根幹に関わってきます。この映画を見るのであれば、予備知識として頭に片隅にでも置いておいてください。
『罪の声』のストーリー(細部)
曽根俊哉は、京都市内で小さなテーラーを営んでいた。妻と子供と年老いた母の4人暮らし。俊也は、貧しいながらも幸せな生活を営んでいた。
しかし、俊也が感じていた生活は、ある日を境に深淵の底へと突き落とされる。
家の中からたまたま出てきた「光雄(俊也の父)」と書かれた古い箱。その中からは、英語で書き綴られた手帳と「1984」とだけ書かれたテープが発見された。
俊也が興味本位でそのテープを再生してみると、楽しそうに歌う自身の幼少期の声と父光雄の声が録音されていた。
一見すると何の変哲もないテープだが、途中突然音声が途切れ、どこかの場所を指定するかのような意味不明の音声が流れたのだった。その声は、紛れもなく俊也だった。もちろん、録音したという記憶は全くない。
このテープは一体何なのか?俊也は、英語の手帳を捲ってみると、ローマ字で「GINGA」「MANDO」と書かれていたことを認める。
俊也がインターネットで調べてみると、昭和最大の未解決事件である「ギンガ・満堂事件」が浮かび上がる。そしてなんと、この時犯人グループが警察への脅迫電話として使用した音声が、テープに録音されていた俊也の音声と同一だったのだ。
自分が「ギンガ・満堂事件」に関わっていた。俊也にとってこの事実は、かなりショックだった。
なぜ自分の音声が使用されたのか?この音声を録音したのは誰なのか?俊也は、すでに時効を迎え迷宮入りしたこの事件の真相を探りだした。
以後の展開
俊也の他にも阿久津という新聞記者が登場し、映画はこの二大主人公を中心に進んでいきます。
なんとか音声テープの謎を探りたい俊也、マスコミとして記事にしたい阿久津。
二人はお互いを知らないまま別々で聞き込みを進めていきますが、当時を知る者たちはなかなか口を開いてくれません。
それでも、断片的な情報を頼りに事件を追っていくですが…とある考え阿久津の頭の中をよぎります。「こんな昔の事件を掘り起こして、一体何の意義があるのだろうか?」
お互いに葛藤を抱えながらも捜査を進める二人。
そして、ついに真犯人が捜査線上に浮かびあがる!?
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