【考察】「ブルーベルベット」(ネタバレ)結構難解なこの映画を解説

名作

作品紹介

制作 1986年
ジャンル サスペンス
監督 デイヴィッド・リンチ
キャスト カイル・マクラクランイザベラ・ロッセリーニデニス・ポッパー

『ブルーベルベット』は、怪作『イレイザーヘッド』を世に生み出した奇才デイヴィッド・リンチの代表作の一つとして有名な映画です。

賛否両論別れる映画で、カルト映画ファンからは熱烈な支持を受けている一方で、「暴力的過ぎる」「性描写が過激」との理由から、批判的に評価されることも多々あります。

手塚治虫が「この映画は大嫌い」と言い放ったのは、有名な話です。

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この映画のみどころ

リンチワールド全開

この映画は、デイヴィッド・リンチが映画監督になって初めて、自分が好きなように作ることができた映画とされています。

従って、随所にリンチ特有の雰囲気が漂っている作品となっています。

 

例えば、カメラワーク。リンチは、映画の中において独特なカメラワークを行っていますが、それがこの「サスペンス」という分野においては非常にマッチしており、おどろおどろしい雰囲気を醸し出すことに一役買っています。

また、ストーリーを多く語りすぎないというところも、リンチ独特な世界です。

よくあるサスペンスドラマでは、すべての謎が解明した後、探偵が事件のすべてについて解説し犯人を追い詰めるというシーンが見られますが、この映画には誰も解説してくれません。

映画を見た人間が、ストーリーを追いながら随所に散りばめられたヒントをもとに、「ああ、だからこういう結末になったのか・・」と自己解決するしかありません。

これもまた、リンチ映画の大きな魅力の一つでもあるのです。

人間の狂気を楽しむ

この映画には、人間の狂気を至る所に見ることができます。

まず、ストーリー開始直後の、”人間の耳が草むらの中に落ちている”という事件。その耳は”ハサミ”で切り取られており、当の本人はまだ生きているという衝撃事実。

普通の感覚を持った人間なら、生きた人間の耳をハサミで切り取ろうなんて思わないでしょう。

 

次に、悪役フランクの、病的と思えるようなクレイジーな行動の数々。

ドロシーとの性行為においても、当初はドロシーに暴力を振るうなどディスティックな一面を見せていたかと思えば、急に赤ん坊のように甘えだしたりなど、行動に一貫性が見られません。

この男は、何をしでかすのか全く予想がつかない

そんなフランクの狂気が、ハラハラドキドキ感を演出してくれるのです。

男女の愛憎劇

この映画では、男女の愛憎が非常に醜く描かれています。

主人公のジェフリーは、すでに別のボーイフレンドがいるサンディを略奪するのですが、一方で人妻のドロシーと肉体関係を持つことになります。

ドロシーも、主人と子供がいるにも関わらず、積極的にジェフリーの身体を求めていくのです。

しかも、二人からは全く背徳心というものが感じられません(そもそも、不倫とはそういうものなのかもしれませんね・・・)。

登場人物

ジェフリー・ボーモント

本作の主人公。高校3年生。好奇心と探求心に溢れており、不思議に思ったことはとことん追求したくなる性格。

家族思いな一面がある。

行動力はあるが、物事の善悪を判断する能力にやや欠けている。

趣味は、石を投げること。特技は、ニワトリ歩き。

サンディ・ウィリアムズ

ジェフリーの同級生。マイクという名のボーイフレンドがいる。

しかし、ジェフリーと行動を共にしているうちに、徐々に惹かれていくこととなる。

 

父親は警察官。

フランク・ブース

病的なまでにクレイジーな男。情緒不安定。

常に亜硝酸ガスを携帯しており、感情が高ぶった時などに吸引するので、ますます手の付けられない状態になる。

瞬間湯沸かし器で、気に入らないことがあると瞬間的にキレる。仲間だろうが容赦ない。

普段は非常に暴力的だが、歌を聞いた時などは途端に感傷的になり、涙を流すこともある。

ドロシー・ヴァレンズ

酒場「スロー・クラブ」の所属する歌手。既婚者で、旦那と一人の子供がいる。

超ドMで、何度もぶたれることにより性的興奮を覚える。

フランクと身体の関係を持っている。

ストーリー(ネタバレ注意)

前半

好奇心旺盛な高校3年生のジェフリーは、ひょんなところから切り取られた人間の耳を発見します。ジェフリーは、その耳をサンディの父親で警察官でもあるウィリアムズのところに届けます。

しかし、ウィリアムズからは「君は大変なものを見つけてくれた」とされながらも、「細部は語れない」「事件が解決したら話す」と言われたきりで、詳細は何も分かりませんでした。

好奇心を抑えられないジェフリーでしたが、”この事件には近所のアパートに住んでいる女性(ドロシー)が関係しているらしい”という情報を、偶然サンディーから聞きつけます。

 

ということでジェフリーは、ドロシーの部屋に侵入することでなんとか事件の手掛かりをつかもうと企てますが、部屋に侵入して部屋を物色している姿を、帰宅したドロシーに見つかってしまいます(普通に犯罪)。

しかし、その場で警察に通報されるかと思いきや、むしろ侵入をきっかけにジェフリーはドロシーと肉体関係を持つことになるのです。さらにジェフリーは、ドロシーはフランクという病的な男に家族を人質に取られて、肉体関係を強要されていることを知ります。

そして、ジェフリーが拾った耳は、フランクによって切り取られたドロシーの夫・ドンの耳だったのです。

中盤

その日からジェフリーは、フランクを追跡して行動を見張ることになりました。

そして調査の結果、フランクの仲間と思われる”黄色い服の男”(ドロシーの家に訪れた男)と、”わに革のカバンを持った髭の男”の二人も、事件に関係しているらしいということをジェフリーは知ります(証拠写真付き)。

 

しかし、定期的にドロシーの家に訪れてセ〇クスを楽んでいたジェフリーは、ドロシーの家から帰ろうとする現場をフランクに見つかってしまい、ドロシーと共にフランクとその仲間たちに拉致されてしまいます。

拉致された先は、ドロシーの家族を監禁している張本人で、麻薬の密売人でもあるベンの自宅。そこでジェフリーは、フランクとベンの会話の中で、「ゴードンが乗り込んできて、麻薬を巻き上げていった」という話を聞きます。

どうやらこの事件には、ゴードンという名前の男も関与しているようです。

 

その後ジェフリーは、フランクたちにボコボコにされた挙句、道端に捨てられてしまうのです。

後半

ジェフリーは、これまでに自分で調べ上げた資料をウィリアムズに渡そうと警察署を訪れた時、偶然”黄色い服の男”を発見します。この男は、署内の重役室に座り、名前をゴードンを言うらしいのです(麻薬を巻き上げていった男)。

なんと、フランクの仲間と思われていた”黄色い服の男”の正体は、ウィリアムスが勤務する警察署の重役・ゴードンだったのです。

 

ジェフリーは、これまでの自分の調査結果をウィリアムスに報告しますが、「娘を巻き込むな」と言ったきりで、多くは語られませんでした。

 

さらにジェフリーは、サンディの家を訪れた際に、ゴードンがウィリアムズのもとを訪れているところを目撃します。ゴードンはフランクの仲間のはずなのに、いったいなぜこんなところに…?

 

ここで、さらに衝撃的な出来事が起こります。

なんとジェフリーは、全裸で路上を練り歩く傷だらけのドロシーを発見します(しかも、サンディとのデート中)。抱き合う二人を見て、サンディは発狂します。

 

ドロシーの話によると、フランクはドン(ドロシーの夫)の頭に傷を付けたので、ドンを助けてほしいとのことです(ドロシーは、そのまま病院送り)。

ジェフリーは、事件に決着をつけるべくドロシーの自宅へ向かうのでした。

ラストシーン

ジェフリーがドロシーの部屋に入ると、そこにはなんと、頭から大量の血を出して立ったまま死んでいるゴードンと、椅子に座らされ、手足を縛られた状態で頭を銃で打ち抜かれて絶命しているベンの姿がありました。

フランクの姿はそこにはありません。

 

時を同じくして、今度は警察がフランクの自宅に踏み込んだという無線が入ってきます。

「あとは警察の仕事だ」

そう思って、ジェフリーがドロシーのアパートから立ち去ろうとすると、今度はわに革のカバンを持つ髭の男がドロシーのドロシーの部屋に入ってきます。なんとその男の正体は、フランクだったのです。

 

ジェフリーとフランクの最後の戦いが始まりますが、ジェフリーは一瞬のスキをついてゴードンの胸ポケットに入っている拳銃を取り出し、フランクの頭を打ち抜くことに成功します。

 

事件がすべて終わり、ジェフリーとサンディーは結婚して共同生活を始めます(ドロシーとの不倫は許されたらしいです)。また、ドロシーは残された一人息子のドニーと共に、力強く生きていくのでした。

考察及び感想

この映画ですが、冒頭でも書いた通り説明があまりされていないので、「結局事件の流れってどうなってんの?なんで最後の方にゴードンとベンが殺されてるの?」って思った方も多いと思います。

なので、ここで一度おさらいしてみましょう。

 

まずは、ゴードン。

ゴードンは当初、フランクの仲間だと思われていました。しかし、実は潜入捜査をしており、協力するように見せかけて実はフランクを逮捕するチャンスを狙っていたのです。

そしてゴードンは、正体はフランクとは知らずに、わに革のカバンを持つ髭の男と捜査協力体制を敷いていたのです。

しかし、最後の最後。髭男に変装していたフランクが自ら正体を現し、裏切り者としてゴードンは殺されたのだと推測できます。

 

次に、ベン。

彼は、一見するとフランクの仲間のように見えました。しかし、ドロシー宅でゴードンと共にフランクに殺されているところをみると、彼は実はゴードンの捜査協力者で、裏切り者として殺されてしまったのだと推測されます。

 

最後に、フランク。

彼は、恐らくゴードンやベンの裏切りを薄々感づいていたのでしょう。フランクとしてゴードンと接する他に、あえてわに革のカバンを持つ髭の男に変装し、警察の捜査に協力するフリをしてゴードンに探りを入れていたのです。

自分自身も、警察と同じ無線機を持っていたことから、よほどゴードンから信頼されていたと思われ、もしかしたら警察関係者を装っていたのかもしれません。

そして終盤、ドロシー宅において、ドロシー、ゴードン、ベン、髭男(フランク)の4人でフランクを逮捕するための作戦会議か何かをしていたのでしょう。

その時、フランクが自ら正体を現し、ゴードンとベンを裏切り者として殺害したうえ、ドロシーを痛めつけたのではないでしょうか。

 

というように、裏切り裏切られの連続がこの映画の背景にはあったものと考察できます。

 

イレイザーヘッドの時もそうでしたが、あえて説明せず、読者に想像させるというこの持っていき方は、さすがはリンチというべきところだと思います。

 

なお、ドロシーの夫であるドンですが、映画未公開シーンの中で、フランクからドンのもう片方の耳が送られてくるという場面があるようです。最後までドンの姿が出てこないことを考えると、フランクによって殺されたのかもしれませんね。

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