作品紹介
制作 | 1997年 |
ジャンル | アニメ |
監督 | 矢野博之 |
キャスト | 栗田貫一、増山江威子、小林清志、井上真樹夫、納谷悟朗 |
『ルパン三世 ワルサーP38』は、1997年、ルパン三世テレビスペシャルの第9作目として放映された映画です。
この映画のみどころ
この映画の見どころは、2丁のワルサーP38が登場し、その持ち主が誰かを推測するという推理要素が入っている部分です。
ストーリー開始早々、なんとあの銭形警部が撃たれてしまうというショッキングな出来事が起こります(その後、銭形はゾンビとなる)。
しかも、銭形警部を撃った銃は、ルパンとは色違いのワルサーP38。
ルパンの題名とも言えるワルサーP38、それを使う人間とは一体誰なのか?その持ち主には、意外な人物が名乗りを上げることになります。
さらに、そこにはルパンの過去が関係してくるのです。
また今回は、ルパンシリーズの中でも、人が死ぬシーンや出血シーンがかなり多めとなっています。
また、ルパン一味を除いた登場人物の全員が死亡するなど、ラストは鬱展開で終わっています。
グロテスクとまではいきませんが、苦手な方は閲覧注意です。
登場人物
エレン
本作のヒロイン。
殺人集団”タランチュラ”の幹部。高い格闘能力を持つ。
本心では人を殺したくないと思っている。
クビに付けているネックレスには、弟・アレックスの写真が入っている。
ドクターと共に、島からの脱出計画を練り上げる。
ゴルドー
殺人集団”タランチュラ”のボス。右手は義手。
全身武器人間で、一瞬のうちに数名を切り刻むことができる。
冷酷無比で、私利私欲のためなら仲間を簡単に裏切る。
ジャック
殺人集団”タランチュラ”の幹部。やせ形で、常に猫背。
ナイフの扱いに長けており、五エ門と互角の腕を持つ。
凶暴な男で、戦いと殺しを好む。
エレンの仕事のやり方が気に食わない。
ホーク
殺人集団”タランチュラ”の幹部。大男でマッチョ。
ガトリングガンを持ち歩き、敵に向けて乱射するという危険人物。
ボマー
殺人集団”タランチュラ”の幹部。小柄で小太りな男。
爆弾の扱いに長けており、見かけによらず軽快な動きを見せる。
ドクター
殺人集団”タランチュラ”の専門医。常識人。
仕方なくゴルドーに従っているだけで、本心ではない。
ストーリー(細部)
序盤
とある富豪の家に、ルパン三世からの犯行予告状が届く。しかし、ルパンはその予告状を出した覚えはない。
その謎を解くためにルパンは屋敷に忍び込むが、なんとそこで、謎の殺人集団が乱入し、屋敷の人間を片っ端から殺していく。
そして混乱の最中、銭形が何者かによって心臓付近を撃たれてしまう。
犯人の正体は不明だが、銭形を撃った銃はシルバーメタリックのワルサーP38。なんとこのワルサーは、ルパンが駆け出しの時に使っていた物と一緒だった。
一体、銭形を撃った犯人は誰なのか?あの謎の殺人集団は何なのか?
そんな謎かけから、この映画は始まる。
屋敷を襲撃した連中は、影の殺人集団”タランチュラ”。暗殺任務を主としており、世界の歴史を陰で操ってきた。
ルパンと次元は、早速タランチュラの本拠地に忍び込むことにした。ルパンの名をかたった偽の招待状について、真偽を確かめる必要があった。
タランチュラの本拠地には、峰不二子とそのボディーガードの五エ門がいた。不二子が狙っているのは、タランチュラが隠し持っているとされる金塊だ。
しかし、ルパンと次元が上陸すると早々に、ジャック、ホーク、ボマー、エレンが率いるタランチュラ構成員たちからの手荒い歓迎を受けることになる。
タランチュラに捕獲されたルパンは、ボスのゴルドーから毒を注入されてしまう。
この毒は、タランチュラが本拠地を置く孤島から発生するガスを吸っていないと、命を奪ってしまうという特殊なものだ。
タランチュラの構成員は、例外なくこの毒を注入されており、ゴルドーの言いなりとなっていた。
そしてルパンも、この毒を注入されたことにより、ゴルドーの手下となってしまったのだ。
中盤
ある日、ドクターがやってきて「見て欲しいものがある」と言い、ルパンを島の洞窟に案内する。
そこには、建造中の巨大な船があった。
なんとドクターは、この船を使い同志たちと共に島から脱走をしようと企んでいた。ただし、それには解毒剤の開発、島を見張っている攻撃衛星の破壊など、数々の条件が必要だった。
ドクターに賛同する者としては、エレンやボマーなど、組織にいながらも本心では殺しを望まない者たちだ。
さて、ドクターの計画など露知らないゴルドーは、ルパンとエレンにとある要人の暗殺任務を与える。それと同時に、なんとドクターが解毒剤の開発に成功する。
これを好機と見たルパンは、エレンを始めとする同志たちと脱出計画を練り始める。
計画の概要はこうだ。
①ルパンとエレンが、任務に向かったフリをして衛生管理室に忍び込む。
②その間に、別動隊が島の金塊を盗み出す。
③午前零時に、攻撃衛星を自爆させる。
④島の武器庫などに仕掛けた爆弾を爆発させる。
④全員が解毒剤を打って船に乗り込み、混乱に乗じて島から脱出する。
その夜、命を共有するパートナーとして、ルパンとエレンは本音で話し合う。
エレンは、この組織に来た理由などをルパンに打ち明ける。
そしてルパンは、エレンからこの島に来た本当の理由を問われ、「過去にケリを付けに来た」と答える。
終盤
ついに決行日。脱出作戦は、順調に進んでいた。
衛生管理室に忍び込んだルパンとエレンは、衛星自爆用のプログラムをコンピューターに読み込ませ、あとは午前零時を待つだけだった。
しかし、時間が来ても攻撃衛星は自爆しない。そればかりか、時間が1時間後ろにズレている。
さらに、船に乗ってルパンたちの帰りを待つ次元やドクターたちの前に、ゴルドーたちタランチュラの構成員が現れる。
さらに、解毒剤は偽物、金塊も作り物だった。
つまり、作戦はすべてゴルドーに筒抜けだったようだ。
船上では、脱出を望むドクター派と、それを阻もうとするゴルドー派の激しい戦いが繰り広げられていた。
そして、知らぬ間に船は攻撃衛星の攻撃範囲内に入ってしまい、レーザー攻撃を受けてタランチュラ構成員もろとも跡形もなく吹き飛んでしまう。
生き残ったのは、次元、五エ門、不二子の3人だけだった。
ラストシーン
タランチュラの指令室には、ゴルドーとドクターの姿があった。なんとこの二人は、初めからグルだった。
島をすべて吹き飛ばしてその責任をルパンに擦り付け、二人は金塊を持って島から脱出しようと考えていたのだった。
さらに、今度はドクターが裏切り、ゴルドーを撃ち殺してしまう。金塊を独り占めしようとしたのだ。
ここで、エレンとルパンが登場する。
なんとドクターは、ルパンが組んだ初めての相棒だった。
しかし、ドクターは途中でルパンを裏切り、シルバーメタリックのワルサーを奪ってルパンを撃ったのだった。
銭形を撃ったのも、ドクターだった。
ドクターは、エレンを人質にとり、飛行船で島から脱出しようとするが、ルパンは飛行船に乗り込みそれを阻止。ルパンとドクターの、ドクターと最後の戦いが始まる。
それぞれ互角の戦いを繰り広げる中、ルパンとエレンはドクターの眉間に弾丸を撃ち込み、勝負あり。
しかし、エレンはルパンを庇って腹部に被弾し、死亡してしまう。
最後、ルパンはエレンの遺体を弟・アレックスの墓の隣に埋葬し、飛行船で島から脱出。
そして、ドクターが置き忘れていたシルバーメタリックのワルサーを、ルパンは海に投げ入れる。
1分で振り返るストーリーまとめ(忙しい人向け)
忙しい人向けに、本作のストーリーを1分で把握できるようにまとめてみました。
✔ ルパンと次元は、タランチュラの本拠地に乗り込むが、返り討ちにあい、ルパンはゴルドーの手下になってしまう。
✔ その後ルパンは、タランチュラの中でも殺しを好まず島から脱出したいと願う連中がいることを知る。その中心人物が、エレン、ドクター、ボマーだった。
✔ 時が来て、ルパンたちは脱出計画を決行しようとするが、失敗に終わる。計画の全てがゴルドーに漏れていたのだ。
✔ なんと、すべての黒幕はドクターだった。ドクターは、初めからゴルドーとグルであり、島の金塊を自分のものにするためゴルドーすら撃ち殺した。
✔ さらに、ドクターはルパンの最初の相棒でもあった。ドクターは、当時ルパンが使っていたシルバーメタリックのワルサーを盗み、ルパンを撃ち殺そうとした過去を持つ。
✔ ドクターは島から脱出を図るが、ルパンとの決闘に敗れて死亡。しかし、エレンもルパンを庇って死亡する。
興味が湧いた方は、是非ともストーリー(細部)も読んでみてくださいね!!
考察及び感想
タランチュラのモデルはアサシン?
今回登場した、暗殺集団のタランチュラですが、そのモデルは、中世に暗躍した暗殺専門集団の”アサシン”であると考えられます。
アサシンは、中世に世界中で暗躍し、世界中の要人たちを暗殺したとされる殺人のプロの集まりです。
アサシンの構成員は、全員が麻薬付けにされ、これにより簡単に裏切りや脱走が出来なかったとされています。
なお、実在したかどうかは不明で、都市伝説として語られることもあります。
一方タランチュラは、暗殺を主任務とする集団で、全員が特殊な毒を注入されています。その毒の効果で、構成員は島から噴き出すガスを吸っていないと生きていけません。
この辺のシチュエーションが、アサシンと非常に酷似しています。
ゾンビ銭形
ストーリー序盤、銭形はドクターに心臓付近を撃たれ、重傷を負いますが、その後病院で死亡します。
その時は、医者が心拍の停止、呼吸の有無、瞳孔拡大(死の三兆候)を確認し、しっかりと死亡確認をしております。
つまり、銭形は医学的に死亡しているということ。
しかし、ルパンというキーワードが出た瞬間、銭形は生き返るのです。
一度死んだ人間が再び生き返る。これを、一般的にはゾンビと言います。
ザ・死亡フラグ!
島から脱出するため、地下の穴掘りをするボマー。もちろん、ゴルドーにバレたらただでは済まないでしょう。
そんなボマーですが、隣にいる次元に
「島から出たら、おいらとコンビを組まないか?」
と持ち掛けるシーンがあります(もちろん、次元は拒否)。
このセリフを聞いた瞬間、私は「あ、ボマーさんやっちゃったね・・・」と嘆いてしまいました。
そう、このセリフは、「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」に代表される、ザ・死亡フラグなのです。
案の定、ボマーは最後、ゴルドーに殺されてしまいます。
あのセリフさえなければ、きっと島から脱出できていたであろうに・・・
口は禍の元、ですね。
次元の最後のセリフの意味は?
最後、不二子は「結局手に入れたのは、飛行船いっぱいに詰め込んだ島のガスと、毒だけ・・・」と、財宝を逃してしまったことを嘆きます。
それに対し、次元は「・・・いや」と否定しています。
つまり次元は、今回の一連の騒動で”何かを得た”と考えているのが分かります。
では、それは一体何なのか?
その答えは、ルパンにあると考えられます。
ルパンは、エレンに島に来た目的を聞かれた時、「過去にケリを付けに来た」と答えています。その過去とは、かつて自分を裏切ったドクターのことです。
ルパンは、ドクターに復讐を果たすことで、自分の過去にケリをつけることができたのです。
次元のセリフは、このルパンの気持ちを推し量ったものだということが言えます。
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