作品紹介
連載 | 2007~2009年(ホラーM) |
ジャンル | ホラー |
作者 | 押切蓮介 |
『ミスミソウ』は、2007~2009年、ホラー専門雑誌『ホラーM』にて連載されていた漫画です。
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この漫画のみどころ
この漫画のみどころは、”人間の恐怖”という点にスポットライトを当てたところです。
漫画の表紙を一見すると、なんだかかわいらしい女の子(野咲春花)が描かれています。絵のタッチからして、「もしかしたら恋愛漫画かな?」と思った方も多いかもしれません。
しかし…内容は全然違います。次から次へと人間が虐殺されていく、ホラー漫画と言えるでしょう。
ホラーというと、幽霊やゾンビが出てくるというのが鉄板ネタですが、本作はそういった類のものは出てきません。生きた人間オンリーです。しかし、怖い…
どこにでもいるような、どちらかというと大人しめの女子中学生の春花。その春花が、とあることをきっかけに復讐の鬼と化し、同級生たちを惨殺していくのです。
春花の殺人が容赦なさ過ぎて、「人間って怖いんだなー」って感じることができます。
最終的には…、登場人物の95%が死亡することとなります。これ、本当に中学生が出てくる漫画かいな?
また、作者の絵がまた絶妙。絵がうまいのかというとそうではないんですが(むしろ下手な方?)、完全にホラー向けの絵を書いてくれますので、シリアスな雰囲気のこの漫画にはマッチしていると言えるでしょう。
それにしても、作者の押切蓮介さんとえいば、『でろでろ』や『ハイスコアガール』など、どちらかというとコミカルな漫画が多い作者さん。
その押切蓮介さんが、こんな恐ろしい漫画を描いているなんて…
あと、この漫画の非常に優れている点。それは、連載を無理やり引き延ばしたような感じにならず、しっかりとした形で完結しているところです。
最初から最後まで、一気に読み進めることができるでしょう。
登場人物
野咲 春花
本作の主人公。大人しい性格で、口数はあまり多くない。
妹の祥子を誰よりも可愛がっており、祥子からもらったペンダントを宝物のように大切にしている。
中学1年生の時、父親の仕事の都合で転校を余儀なくされる。
大津馬中学校に転入してからは、靴を隠される、机の中にカラスの死体を入れられる、画鋲で刺されるなど、日ごろから壮絶ないじめを受けるようになるが、家族に心配をかけさせたくない一心で登校を続けている。
クラスで唯一優してくれる相場のことが気になっている。
両親を焼き殺されてからは雰囲気が一変。復讐の鬼と化す。
野咲 祥子
春花の妹。小学生の低学年。姉の春香が大好き。
春花が気丈に振舞っていても、内心実は落ち込んでいることを幼いながらに察知し、わざとちょっかいを出して元気づけるという気遣いができる。
放火された時、父が上から覆いかぶさってくれたおかげ
で命だけは助かったが、全身に大火傷を負い、それ以来意識不明の状態が続いている。まるでミイラのように包帯ぐるぐる巻きの状態で、身動き一つとれず、病院のベットに寝かされている。
相場 晄(みつる)
春花の同級生。好青年でなおかつイケメン。常にカメラを持ち歩き、街の風景を写真に収めるのが趣味。
祖母と二人で暮らしている。別居中の母親にはなぜか相手にされない。
学校全体的に漂う排他的な雰囲気になじめず、友達も少
ない。
いじめられている春香を擁護するクラスで唯一の存在。
春花の家が放火された時は、燃え盛る家の中に飛び込んでいって祥子を救出している。
後半、相場のとんでもない秘密が明らかになる。
小黒 妙子
春花の同級生。クラスの中ではボス的な存在。
春花のいじめを煽動している張本人。いじめ方は徹底していて、相当えぐい。
春花が転入してくる前は、佐山がいじめの対象だった。
美容師になるのが夢で、中学校卒業後は東京の学校に
通いたいと考えている。
右目をつぶされ、美容師の命である利き腕の指をズタズタに切り裂かれた腕、左胸を包丁で刺されて死亡。
佐山 流美
春花の同級生。春花のいじめに加担している。
春花が転入してくるまでは、小黒にいじめられていた。再び自分がいじめられることを恐れ、春花がこのままいじめられ続けることを望んでいる。
性格は相当歪んでいて、中学生とは思えないほどの信じられない残酷な発想をする。
野咲邸放火事件の主導者。
首を包丁で刺されて死亡。
南 京子
春花の担任。完全なるダメ教師。
中学校の頃に壮絶ないじめをうけており、それが原因で性格がかなり歪んでしまっている。プレッシャーを感じると嘔吐する。
ことなかれ主義で、春花がクラスでいじめられていても自分は全く関与しない。
そればかりか、生徒であるはずの小黒に取り入ってご機嫌を取ろうとまでしている。
父兄からどれだけ苦情を入れられたとしても、我関せずの態度を貫く。
除雪車に巻き込まれて死亡。
橘 吉絵
春花の同級生。画鋲で刺すなどして、春花のいじめに加担。
野咲邸放火事件の時は、目の前で焼け死んでいく春花の母親の姿を見て、そう快感を覚えたという猟奇的な一面を持つ。
家庭は完全に崩壊していて、両親のことを嫌っている。
毎日「死にたい」と思いながら生活していたが、春花の母親があまりにも辛そうに死んでいく姿を見て、自殺願望は薄れていった。
左目を釘で刺された上、鉄パイプで頭部を滅多打ちにされて死亡。
三島 ゆり
春花の同級生。春花のいじめに加担しているが、やりすぎなことに少し戸惑っている。
アキレス腱をナイフで切断された上、頭部をコンクリートの角にぶつけて即死。
加藤 理佐子
春花の同級生。春花のいじめに加担しているが、やりすぎなことに少し戸惑っている。
頭部を鉄パイプで滅多打ちにされ、脳症を垂れ流して死亡。
久我 秀利
春花の同級生。春花のいじめに加担。茶髪でピアスのチャラ男。
野咲邸放火事件の時は、春花の母親を焼き殺した張本人。
左ほほをナイフで切断された上、口が利けない状態で井戸内に放置されて死亡。
間宮 裕明
春花の同級生。春花のいじめに加担。池上とよくつるんでいる。
ボウガンが趣味で、日ごろから鳥などをよく撃ち殺している。
野咲邸放火事件の時は、灯油を撒く係だった。
左腹部をナイフで切り裂かれ、腸が飛び出した状態で逃亡していたところ、背中をボウガンで撃たれ、冬の湖に沈んで死亡。
池川 努
春花の同級生。春花のいじめに加担。間宮とよくつるんでいる。
エアガンの改造が趣味(射撃の腕はからっきし)。
性癖が相当歪んでおり、いじめられている春花を見て興奮している。
野咲邸放火事件の時は、春花の妹祥子(小学生低学年)をレイプしようとした。
鼻をハサミで切り裂かれた上、ボウガンで頭部を撃たれて脳みそが露出した状態し、狂いながら死亡。
ストーリー(序盤)
野咲春花は、大津馬中学校に転入して以来の約2年半、壮絶ないじめにあってきた。
いじめの中心人物は、クラスのボス的な存在である小黒京子。そしてその小黒が主導するいじめの内容は、想像を絶する程過激なものだった。
しかし、クラスで唯一春花を擁護してくれる人物がいた。それが、クラスメイトの相場晄だった。彼は、春花と同じく途中で転入してきた口だ。
春花は、そんな相場の存在が気になり始めていた。
とにかく春花は、この苛烈ないじめにあいつつも、家族に心配をかけさせたくないという一心から、毎日学校に通い続けた。
春花は、卒業までの数か月を耐えることができれば、この悪夢のような毎日から逃れられると信じていた。そして何よりも、最愛の妹である祥子の存在が、春花の心を支えていた。
しかし、ある日を境に春花は絶望のどん底に突き落とされる。なんと、自宅が放火されて両親が死亡。妹の祥子はかろうじて助かったものの、全身に大やけどを負い、明日をも知れぬ重体となってしまったのだ。
放火の犯人は、なんと春花のクラスメイトである佐山流果とその仲間たち。
彼女たちは、日ごろから春花のいじめに積極的に加担していた生徒たちだった。そして、そのいじめがエスカレートするあまり、ついには春花の家族の命を奪うという残虐行為にまで手を染めてしまったのだ。
最愛の家族を失った春花は、その日を境目として復讐の鬼と化す。
数日後、放火の事実が世間に発覚することを恐れた佐山、立花、三島、加藤の4人は、放課後、人気のないゴミ捨て場に春花を呼び出し、この場で自殺するよう脅しかける(途中、佐山は学校から呼び出されたため姿を消す)。
そして、春花に灯油を振りかけて焼き殺そうとしたとの時、ついに春花の反撃が始まった。
春花は、手元にある釘で橘の左目を突き刺した。そして、怯んだ橘を鉄パイプで撲殺してしまう。
驚いた三島は、その場から逃げ出そうと試みるが、春花は三島のアキレス腱をナイフで切断。バランスを崩した三島は、コンクリートの角に頭をぶつけて即死する。
加藤は、目の前で友人二人を殺されて完全に意気消沈し、必死に命乞いを始める。しかし、春花は全く容赦しなかった。手元にある鉄パイプで、脳みそが飛び出るまで加藤の頭部を繰り返し殴打するのだった。
一瞬にして3名もの命を奪った春花。しかし、彼女の復讐はこんなものでは終わらなかった。
今後の展開
このように、春花の復讐が開始されていくわけなんですが…
舞台となった大津馬中学校は、廃校がすでに決定しているというほどド田舎にある学校という設定(春花たちがラスト卒業生)。
北国?ということなのか、ものすごい雪が降る。なので、春花が同級生を殺しても、雪が降って死体を隠してくれるので、「行方不明」で片付けられてしまうんですね。
春花としては雪が解けて死体が発見される前に復讐を遂げてしまいたい。ということで、凶悪殺人鬼も真っ青のハイペースで殺人を犯していくことになります。
果たして、春花の復讐は成し遂げられるのでしょうか?
そして、物語のキーマンはなんといっても相場君。相場君はイケメンで優しくて、この狂った世界の中では唯一の常識人…だったはずなんですが、物語中盤あたりから異変が起きます。
言動が徐々におかしくなっていって、後半に入ってからはかなり凶悪な人物へと変貌を遂げていきます。
そんな相場君に恋に落ちてしまった春花。衝撃的なラストが訪れます。
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