【考察】「東京ゴッドファーザーズ」(ネタバレ)父と娘の絆を描いた感動の名作

アニメ

作品紹介

制作 2003年
ジャンル アニメ
監督 今敏
キャスト 江守徹梅垣義明岡本綾

『東京ゴッドファーザーズ』は、2003年、『パプリカ』『千年女優』などで知られる今敏監督の3作目になる劇場版アニメです。

世界的に活躍している今敏監督が作った映画というだけあって、日本だけでなくアメリカを初めとする諸外国でも注目され、その前評判に見合うような内容でした。

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このアニメのみどころ

「親思う 心に勝る 親心」とは、幕末の志士吉田松陰の辞世の句。「子供は親のことを思っていますが、親が子供を思う気持ちには勝てない」という意味で、親から子への愛情の深さを読んだ歌です。

他にも、「這えば立て 立てば歩めの 親心」(詠み人知らず)という古い句もあります。これも、親が子供を思う愛情を表現した句だと言われています。

そう、このアニメのみどころは”親子の愛”。もっと言えば”父と娘の愛”がテーマです。娘を持つ父親が見れば、感動すること間違いなしの作品です。

死ぬまでに一目娘に会いたいと願うホームレスのギン。父と喧嘩をして家を飛び出してきたものの、父を思い出すたびにセンチメンタルな気分になるミユキ。そして”母性”担当でオカマのハル。

この3人が、なんとも泣かせてくれるのです。

 

そしてこのアニメの良いところは、感動シーンであっても非常にサラっとしていて、わざとらしく視聴者を泣かせに来ないというところです。

セリフの一つ一つがよく考えられていて、何気ない状況で発せられた言葉であっても、グッと湧き上がるものを感じることができます。

 

さらに、細かい部分までよく作りこまれています。「相当時間をかけて作ったんだろうな」というのが伝わってきます。

笑いあり、涙あり。観てよかったと心底思える作品だと思いました。

登場人物

ギンちゃん

ホームレス。

若い頃は名の知れた競輪選手で、出来ちゃった婚により授かった子供が難病に侵されてしまったため、治療費欲しさに八百長に手を染めた結果、バレて競輪選手をクビになってしまう。それがきっかけとなり、妻と子供を失った…

ということになっているが、実はただの自転車屋さんのオヤジ。

酒とギャンブルで妻に愛想を尽かされただけ。

しかし、自分の子供は目に入れてもいたくない程可愛がっていたというのは本当だった。「一目、娘に会いたい…」と常にこぼしている。

ホームレスに落ちぶれてしまったことに負い目を感じており、自分は何もできない無力な人間であると思い込んでいる。

ハナちゃん

ホームレス。元ドラッグ・クイーン。オカマ。教養が高く、何かあると一句読む。

両親の顔も知らずに産まれ、いろんなところをたらい回しにされて若い頃を過ごしている。

「クソジジイ」と言われるとキレる(「クソ」はいいけど「ジジイ」が気に入らない)。

オカマバーで働いていた時に、客から「クソジジイ!」とヤジられて喧嘩になり、それがきっかけで店を飛び出した。

ケンちゃんという恋人がいたが、風呂場で石鹸を踏んで転び亡くなった。

ギンに惚れている。

ミユキ

女子高生ホームレス。猫好き。父は警察官で、母は変な宗教にハマっている。

中学生の頃はふとっちょだったが、ホームレスをするようになって強制ダイエット。痩せて可愛くなる。

半年前、些細なことで父と喧嘩し、勢い余って父を刺してしまう。その後家出して、ギンやハナと一緒にホームレスをやっている。

自分は自立した大人のように思っているようだが、実際のところはギンやハナにおんぶにだっこ。

かなり鼻っ柱が強く、けんかっ早い。男のような口調で会話をする。

両親を恨んでいるかのよう見えて、本心は親の愛に飢えている。

太田道雄

ヤクザ組織である関東雄信会の会長。右手の小指が無い。

娘の名前は「キヨコ」。娘の結婚相手であるミツオ(CLUB「SWIRL」オーナー)のことが気に入らない。

ミツオ

太田の娘の結婚相手。

借金の取り立て役でもあり、ギンの家庭を崩壊させた張本人。

一見すると嫌らしい男のように思えてしまうが、イザという時は男を見せる。

ストーリー(細部)

序盤

クリスマスの夜。ギンハナミユキのホームレス三人組がゴミ捨て場を漁っていると、なんとそのゴミ捨て場には、「1225」と書かれたロッカーのカギと共に、生後間もない赤ん坊が捨てられていた。

ギンは警察に届けようとするが、ハナは断固拒否。生みの親すら知らなずにたらい回しにされてきた自分の過去の姿を、この赤ん坊に見たのだった。

ハナは、自分の足で赤ん坊の親を探したうえで「なぜ赤ん坊を捨てたのか?」と問いただすまでは、絶対に赤ん坊を警察に届けないと主張。

こうしてギンたち3人は、この赤ん坊を「キヨコ」と名付け、親を探す旅に出ることになった。

 

3人は、赤ん坊と一緒に置かれていた鍵のロッカーを開いてみる。するとそこには、幸せそうに微笑む男女が映っている写真と、”みどり”と書かれた錦糸町のバーCLUB「SWIRL」の名刺が入っていた。

このわずかな手掛かりを元に、親探しの旅を続けていく。

 

すると3人は、車に押しつぶされそうになっている男を助ける。その男は、太田というヤクザの親分で、娘の結婚式に向かう途中だというのだ。

太田によると、自分の娘の結婚相手のミツオが、まさにギンたちが探しているCLUB「SWIRL」のオーナーだという。

ギンたちは、太田と共に披露宴会場へと向かう。

披露宴会場で、ハナはミツオからみどり(本名:さちこ)の住所を聞き出すことに成功する。

 

すると、ここで会場の給仕の一人が急に銃を抜いて太田を撃ち殺そうとする。しかし、ミツオが庇って太田は無傷。

太田を襲ったヒットマンは、キヨコを抱いたミユキを人質に取ってタクシーで逃亡する。

中盤

ハルは、「どうせ俺たちは何もできない」とハナから諦めムードのギンと別れて、単独でミユキとキヨコを追う。

一方ミユキは、ヒットマン(外国人)のアジトに連れ込まれていた。しかし、どうやらミユキに危害を加える気はないらしい。ミユキは、ヒットマンの妻と打ち解けて身の上話をし始める。

しかし、父親の話になった瞬間、ミユキは目に涙を浮かべるのであった。ミユキは、些細なことで父親と喧嘩し、包丁で刺してしまったのだ。それ以来、自分の居場所はなくなったと思ったミユキは、家出をしてホームレスになったのだ。

ここでハルがミユキとキヨコを発見。ミユキは解放される。

 

ハルとミユキは、キヨコを連れ以前ハルが勤めていたオカマバーを訪ねた。なんとそこには、大けがを負ったギンがいた。

ハルに見捨てられやけ酒を煽りながら街を練り歩いていたギンは、老人ホームレスの最期を看取った後、公園で若者に襲われていた。しかしギンは、ボコボコにされながらも胸ポケットに入れていた封筒(娘と会った時に渡す予定の3万円が入っていた)を命がけで守っていた。

瀕死の状態で倒れているところで、バーの従業員に助けられたということだ。

しかし、ギンには収穫があった。キヨコの両親らしき男女が映っている写真の撮影場所に関するヒントを見つけていたのだ。

 

次の日、3人はついに写真の撮影場所を特定する。しかし、写真に写っている家は既に焼失していた。

ギンたちは、近所の住民に聞き込みをして情報を収集する。写真の女性はサチコという名で、亭主が作った借金を返すために水商売をしていたとのこと。

そして二人は、夜逃げ同然で家を出ていったようだ。さらに、焼け跡の中から、引っ越し先らしき住所が書いてある紙を見つける。

しかし、電車でその場所に向かう途中で、ハルが血を吐いて倒れてしまう。

ギンは早速病院に連れ込むが、なんとその病院で働く看護士が、偶然にもギンの娘キヨコだった。「死ぬ前に一度でいいから娘と会いたい」そんなギンの願いは、奇跡的に叶うこととなった。

終盤

ギンと別行動をすることとなったハルとミユキは、キヨコを連れて街を歩いていた。

すると、なんと自殺しようとしている女性と遭遇する。そしてこの女性こそ、キヨコの母親であるサチコだったのである。

ハルは、子供を捨てた理由をサチコに尋ねるのだが、捨てたのは旦那のほうで、サチコは何も知らなかったということだった。ハルは、キヨコをサチコの元に戻すこととした。

サチコは、赤ん坊を抱くと足早に去っていった。

 

一方、ギンはサチコの旦那の家を訪ねていた。旦那の話では、なんとあの赤ん坊は二人の子供ではなく、サチコが病院から盗んできた子供だという驚愕の事実が発覚した。

しかもサチコは、赤ん坊のところ(天国)へ行くと言って出ていったという。

ギンは、ハル、ミユキと合流して事情を話すと、急いでサチコを探しに出かける。

 

すると3人は、赤ん坊を抱きながら公園で佇むサチコを発見する。

サチコは、赤ん坊を抱きながらトラックを奪って逃走し、最終的にはビルの最上階まで逃げる。

追い詰められたサチコは、赤ん坊と共に屋上から飛び降りようとする。

 

ミユキは、必死にサチコを説得しようと試みる。サチコが赤ん坊を盗んだ理由、それは、自身の流産という苦い経験にあった。

「その子の本当の親が探している」「子供がいなくなった時の親の気持ち、わかるでしょ?」と問いかけるミユキにの頭には、自分の父親の姿が思い浮かんでいたに違いない。

 

さらに、旦那が現場に駆けつけてサチコを説得。

それでも飛び降りようとするサチコを、ミユキとギンがギリギリキャッチ。

サチコはうっかり赤ん坊を下に落としてしまうのだが、ハルが飛び降りて行ってキャッチ。最後は、横断幕を気球のようにしてふんわり着地。

赤ん坊とサチコは、奇跡的に命を取り留めたのであった。

ラストシーン

赤ん坊は、ついに本当の親子のもとに返された。

ギンとハルは、そのまま病院に入院することとなった。ミユキは、ギンとハルのお見舞中だ。

 

ここで、赤ちゃんの両親が、警察官と共にギンたちの病室を訪問する。赤ちゃんを助けてもらったということで、是非とも名付け親になってほしいとのことだった。

そしてなんと、この病室の扉を開けた警察官こそが、ミユキのお父さんだったのである。

1分で振り返るストーリーまとめ(忙しい人向け)

忙しい人向けに、本作のストーリーを1分で把握できるようにまとめてみました。

✔ ギン、ハル、ミユキのホームレス3人組は、ゴミ捨て場で捨てられた赤ん坊を見つける。3人は、わずかな手掛かりを元に赤ん坊の両親を探す旅に出る。
✔ 途中、3人の過去が徐々に明らかになっていく。それぞれ、いろいろな事情を抱えながらホームレスをしていることが分かる。
✔ 3人は、ついに赤ん坊の両親の居場所をつかむが、既に二人は家出をした後だった。
✔ 途方に暮れていると、ハルとミユキは橋から飛び降りようとしている女と遭遇する。助けてみると、その女性こそが赤ん坊の母親サチコだった。ハルとミユキは、赤ん坊をサチコに返す。
✔ しかし、サチコは偽の母親だった。流産をして悲しんでいたサチコは、病院から他人の赤ん坊を盗んだのだった。
✔ 赤ん坊を抱えながら自殺しようとするサチコをギリギリで救出。
✔ 最後、ミユキがいる病室を訪ねてきた警察官は、偶然にもミユキの父親だった。

興味が湧いた方は、是非ともストーリー(細部)も読んでみてくださいね!!

考察及び感想

ギン、2億円当選。その後は?

さて、本作の最後、ギンが持っていたずた袋(ホームレスの老人から「処分してくれ」と言われて明日買ったもの)の中から、年末ジャンボ宝くじ2億円の当選券が出てきます。

この当選に気付くことができれば、ギンは人生をやり直す大きなチャンスをつかむことができることになります。

しかし、このまま幸せな人生を歩めるのかというとそこは疑問。

宝くじに当たったはいいけど、数年でその配当金を使い切ってしまい、逆に人生が下り坂になってしまった…などという話はよく聞く話。

そもそもギンは、酒とギャンブルに溺れて妻子と別れています。己の欲望に打ち勝つことさえできれば、幸せな人生が待っているものと思われます。

 

それにしても、ギンは2億円当選、うまく運べば娘さんと一緒に暮らせる。ミユキはお父さんと再会、多分ホームレスをやめて自宅に戻る。

じゃ、ハナは?

ハナは本当の家族がいないし、戻る場所がない。これまでも、ギンやミユキが家族のようなものだった。

たった一人でホームレスを続けるのか?またはオカマバーに戻るのか?

なんとなく幸せそうなラストを迎えてますが、ハナにとっては苦難の道を歩むことになりそうですね。

ギンが看取った老人ホームレスは誰なのか?

それにしても、ギンが看取ったあの老人ホームレスは一体何者なのか?なぜ2億円に当選した宝くじなんかを持っていたのか?

老人は死ぬ間際、「私の身分が分かると迷惑がかかる人たちがいる」と言ってました。しかし、全編を見渡してみたものの、それ以外のヒントは無し…謎に包まれたままです。

恐らく、元々は高名な家柄の生まれなのかもしれません。

何度見ても泣けてくる、ミユキの電話のシーン

私が何度見ても泣いてしまうシーン、それは、ミユキが自宅に電話を掛けるシーンです。

そもそもミユキが家出をしたのは、エンジェルという愛猫が自宅からいなくなってしまい、それを父親のせいだと早とちりしてしまったことが原因でした。

その後ミユキは、新聞の投稿欄に「エンジェルは帰ってきた」というミユキに宛てた父親からのメッセージを見つけます。

その夜、ミユキは自宅に電話を掛けるのです。受話器の向こうでは「はい、石田です」という父親の声。

何を喋るのか事前に練習をしていたミユキですが、いざ電話してみるとなかなか言葉が出ない。

数秒間の沈黙の後、父親が「ミユキ?ミユキだな?…元気なのか?」と呼び掛ける。ミユキはたまらず電話を切り、「ごめんなさい」と言いながら泣き崩れてしまいます。

 

私は二児の父ですが、この時のミユキの父親の気持ちが痛いほど分かる。そして、泣かせられる。

ミユキは、父親を刺してしまった自分を「指名手配されている」と言ってましたが、父からすれば、娘が何をしたところで自分の娘を指名手配するなんてありえない。

父親は、仮に怪我をさせられたとしても、やはりいなくなった娘の様子が心配になるものです。

ミユキの父親は、数秒間の沈黙だけで電話の相手が自分の娘であると分かると、一言目が「元気なのか?」と健康を気遣う問いかけ。

あー、これがまさに父親だなと感じる瞬間でした。

娘の選んだ男に間違いはなかった

ヤクザの組長の太田は、娘の結婚相手であるミツオを「調子のいい野郎だ」と言って嫌っていました。「娘が幸せになるのなら」と嫌々納得していたのでした。

事実、ミツオはねちねちした嫌らしい男のように描かれています。

しかし、ミツオはその後に男を見せます。

太田がヒットマンに襲われた時、ミツオは太田を庇って銃弾を受けたのでした。

普段はヘラヘラしていても、イザという時は身を挺して大切な人を守る。これは、見上げた根性というしかありません。

太田からしてみれば、やはり娘の選んだ男に間違いはなかった、そう思わせた瞬間だったと思います。

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