作品紹介
制作 | 1983年 |
ジャンル | サスペンス |
監督 | デヴィッド・クローネンバーグ |
キャスト | クリストファー・ウォーケン、マーティン・シーン |
『デッドゾーン』は、1983年、スティーヴン・キングの小説『デッド・ゾーン』を原作として作成されたデイビッド・クローネンバーグ監督の映画です。
この映画のみどころ
この映画のみどころは、あまりにも救われない主人公の不幸っぷりです。
「人の不幸がみどころなんて…」と、私の性格を疑う人も多いかもしれませんが、でも本当に「そこがみどころ」と言い切ってしまってもいいくらい不幸でかわいそうなんです((+_+))
ざっくり説明すると、交通事故がきっかけで未来を予知することができるようになった男の話。
「未来予知!?スゲー!!」と思うかもしれませんが、この主人公のジョニーという男、この能力が備わったせいでいろいろと思い悩むんです。
私だったら、「競馬で連戦連勝だ!!うひょー!!!」とか言って、この超能力を悪用して荒稼ぎするところですが、ジョニーは真面目な男なので、そんなことは考えません。
未来予知は、全部が人のためになるわけじゃないのです。中には、未来を知ることで不幸になってしまう人間もいるのです。
そして最後、ジョニーは思い切った行動に出るのですが…
悲惨で不幸なジョニーの人生。この救われなさっぷり…まさにクローネンバーグ映画って感じですよね。
登場人物
ジョニー・スミス
ニューイングランドのとある小学校に勤める教師。同僚のサラとは恋人関係にある。
交通事故に遭い、5年間意識不明という重傷を負うが、この事件がきっかけで、肌で触った相手の過去や未来を見通すことができるというものすごい千里眼能力を授かる。
しかし、この能力があるがゆえに、やがて自分の身に不幸が訪れることをジョニーはまだ知らない。
サラ・ブラックネル
ジョニーと同じ小学校に勤める教師。
ジョニーが交通事故に遭い入院したときは涙を流すが、意識が戻らないジョニーを待ちきれず、他の男と結婚した。
サム・ウイザック
ジョニーの主治医。子供の頃、戦争で母親と離れ離れになり、それっきり行方が知れない(本人は死んだと思っている)。
バナマン
街の保安官。正義感の強い男で、若い女性をターゲットとした連続殺人事件の犯人を追っている。
しかし、なかなか犯人の足取りを掴むことができず思い悩んでいたところ、ジョニーの千里眼の噂を聞きつける。
グレッグ・スティルソン
売り出し中の政治家。弁が立ち、演説では無類の説得力を発揮する。将来は大統領になるのが夢。
民衆から絶大な支持を受けるその裏で、ライバルの政治家の弱みを握って蹴落とすなど姑息な手も使っている。
ストーリー(細部)
ジョニーは、地元の小学校に勤める教師。今日もジョニーは、生徒の目をはばからずに校内で恋人のサラとイチャイチャ(とはいっても、言うほどイチャイチャしていない)。
ジョニーは、サラと共に遊園地で遊んだ後、自宅まで送迎する。
ここでサラは、「家に入る?入りたくないの?構わないわよ?(要約:抱いて!!)」とジョニーを誘うが、体調が悪かったジョニーは「待つほどいい」と言い残してそのまま帰宅(私なら、ゲロ吐いてでも泊まる)。
ジョニーには、是非とも「据え膳食わぬは男の恥」という日本のことわざを知って欲しい。
その帰宅途中。なんとジョニーは、交通事故に遭い明日をも知れぬ重傷を負う。
次にジョニーが目覚めた時には、なんと5年物月日が流れていた。
浦島太郎状態に陥り唖然とするジョニーだが、さらに彼を驚かせることが起こる。なんとジョニーには、人の過去や未来を見通すことができるという千里眼のような特殊能力が備わったのだ。
ジョニーは早速、看護婦の家が火事になっていることや、主治医ウィザックが幼い頃に生き別れになった母親の住所を言い当て、周囲を驚かせる。
しかし、5年間という時間はあまりにも残酷だった。恋人だったはずのサラが、意識の戻らないサムを待ちきれず、他の男と結婚していたのだった。子供も産まれ、幸せな人生を過ごしていた。
特殊能力を授かる代償として、ジョニーは孤独になった。
中盤
千里眼の能力を得たジョニーは、マスコミにも注目されて一躍有名人となった。
そんなジョニーのもとに、ある日バナマン保安官が訪れる(お笑いコンビの「バナナマン」と間違わない様に!)。
バナマンは、とある連続殺人事件の犯人を追っていたが、犯人の足取りを掴むことができずにいた。そこで、千里眼の能力を持つジョニーに助太刀を頼みに来たのだった。
しかし、ジョニーは首を縦に振らない。どちらかというとジョニーは、この特殊能力よりも5年間を棒に振ってしまったことに苛立っていたのだった。
その後、今後はサラが子供を連れて来訪。サラが、「待つほどいいって言ったわよね?(要約:抱いて!)」と言うと、今度はジョニーもサラを抱く(成長したなー、ジョニー…)。
後日ジョニーは、殺人事件に関わる情報提供を求めるバナマン保安官の姿を、ニュースで偶然目にする。そのバナマン保安官の熱意に絆され、ジョニーは犯人逮捕に協力することを決意する。
ジョニーが殺された被害者の手に触れると…なんとバナマン保安官の相棒ダッドが女性を殺す様子が目に浮かんできた。なんと犯人は、警察官だったのだ。
バナマンとジョニーがダッドの自宅に押し入ると、はんとダッドは自殺した後だった。ジョニーに犯人だと言い当てられ、もう逃げ場がないと悟ったのだった。
さらに、ダッドを庇おうとしてダッドの母親が銃で応戦。バナマン保安官は、やむを得ずダッドの母親を射殺した。
ジョニーは確かに犯人を言い当てたのだが、犯人ダッドとその母親は死亡。なんとも後味の悪い事件となった。
終盤
特殊能力が冴えわたる一方で、ジョニーは自分の身体が弱っていくことを感じていた。死ぬのは時間の問題なのではないか?そんな恐怖に怯えるようになった。
そんな中ジョニーは、家庭教師の子供の手を握った時、彼が溺れ死ぬ未来を見る。そこでジョニーは、子供の父親に強く忠告し彼が凍った湖でホッケーをすることを止めさせ。子供の命は助かった。
ここで分かったのは、ジョニーの能力は未来を見通せるだけじゃなく、未来を変えることすらできるということだ。
その後ジョニーは、売り出し中の政治家スティルソンと出会う。スティルソンは、民衆の支持を集めて勢いのある政治家ではあるが、裏表がありあまりいい噂を聞かない男であることをジョニーは知る。
そんな中ジョニーは、元恋人サラとその旦那が、スティルソン陣営で応援活動を行っている現場を目の当たりにする。ジョニーとしては、複雑な気持ちで一杯だった。
ジョニーは、演説に向かおうとするスティルソンを握手をする。すると、ジョニーの脳裏には、スティルソンの未来が見えてくる。大統領になったスティルソンが、核ミサイル発射スイッチを押す姿を…
家に帰ったジョニーは、ウィザックに「もしヒットラーが台頭する前のドイツに行けたら、ヒットラーを殺すか?」と尋ねる。ウィザックは、「殺す」と答える。
この言葉を聞いて、ジョニーはあることを決意する。
ラストシーン
ジョニーは、狙撃銃を持ってスティルソン演説会場の2階に忍び込む。
そして、スティルソンが演説台に立った刹那、ジョニーはスティルソンに銃口を向ける。
一発目は外れ。
驚いたスティルソンは、咄嗟に赤ん坊(サラの子供)を盾にして身を守る。
その後、ジョニーは警護の人間に撃たれてしまい、狙撃計画は失敗する。
しかし、胸倉を掴んで駆け寄るスティルソンの腕を瀕死のジョニーが掴むと、スティルソンの破滅の未来が見えてくる。子供を盾にしたことで、この悪評が広まったのだ。
スティルソンはもう終わり。ジョニーは、安堵の表情を浮かべる。
最後、抱き着くサラに「さよなら」と告げて、ジョニーは永遠の眠りにつく。
考察及び感想
交通事故に遭い、5年間意識不明で生死のはざまをさ迷い、目が覚めたら恋人は既に他の男と結婚しており、特殊能力に目覚めたものの身体は衰弱していき、最後は銃で撃たれて死亡…
かつて、これほどまでに不幸な主人公がいただろうか?
特に最後のスティルソンを襲撃するときなどは、相当悲惨。ジョニーは、大統領になったスティルソンが核ミサイルのボタンを押す未来を見てスティルソン暗殺を企てるのですが、このことはジョニーは誰にも話していません。遺書をしたためたような気配もありません。
つまり、大勢の人が、なぜジョニーがスティルソンを襲ったのかが理解できないのです。きっとジョニーは、ただの狂った犯罪者かテロリストと思われてしまうのでしょう。ますます不幸な男です…
唯一の希望は、ウィザックです。ジョニーは、スティルソンを襲撃する前に、ウィザックに「もしヒットラーが台頭する前のドイツに行けたら、ヒットラーを殺すか?」と問いかけています。
ウィザックが、「きっと彼は、スティルソンにヒットラー的な悪を見たのでしょう。その証拠に、スティルソンは自分の身を守ろうとか弱い赤ん坊を盾に使っています。ジョニーは、自由と正義を守るためにこのような行動をとったのです。」とでもマスコミに公表すれば、ジョニーの名誉はある程度守られるのかもしれません。
さて、では実際にジョニーのよに未来を予知したり、過去を見通すことができる能力を持つ人間はいるのだろうか?
まず、ジョニーに少し近いとされる人物として、オランダ出身の超能力者ジェラール・クロワゼがあげられる。
ジェラールは、物に触れて情報を読み取ることができ、超能力探偵として数々の難事件を解決したとされている。
日本でも、行方不明の児童の居場所を当てさせるというTV企画を行っているが、この時もジェラールは、児童が千葉県にある山倉ダムに沈んでいることを言い当てている。
しかし、ジェラールの超能力捜査には失敗が多く、成功とされている中でも捏造疑惑が有ったりと、超能力者と呼ぶことに疑問を投げかける人も多い。
次に、ブルガリアの盲目の予言者ババ・ヴァンガ。
彼女は、12歳の時に遭遇した竜巻が原因で両目を失明している。しかし、その時に未来を見通す予知能力が付いたという。
それ以来、大きな戦争や内戦、大地震、大事故など、数々の衝撃的事件を予知している。彼女の予言的中率は80%を超え、その正確性や衝撃的な内容から、彼女の予言は国家機密扱いされていたというから大したものです。
それでも、やはジョニーのように100%見通す力はないようです。
ちなみに、未来予知ではないが日本にも偉大な予言者がいます。それが、エスパー清田こと清田 益章(笑)
彼は、70~80年代のTVで活躍し、スプーン曲げや念力・念写などを披露して話題となりました。
1989年には、稀代の名作(クソゲー)と名高い超能力者育成ゲーム『マインドシーカー』(コナミ、ファミコンソフト)を監修(笑)
しかし、その後は彼の超能力にはトリックが見つかったり、さらには不正が発覚したりといろいろな騒ぎが有り、2003年にひっそりと「脱・超能力者宣言」をしています。
ということで、世界を見回しても、完全に未来予知ができる人間は今のところいないようです。
しかし、超能力は鍛えることができるということを知っていますか?
そのやり方とは…エスパー清田監修の『マインドシーカー』をプレイすることです!!なんといっても、世界で唯一の超能力者育成ゲームですからね。
えー、映画と全く関係のないファミコンソフトの宣伝をしたところで、考察は終わりたいと思います(笑)
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