みなさんこんにちは!
突然ですが、映画というものは、それを作る映画監督の個性が映し出されるものですよね!
例えば、スティーブン・スピルバーグ監督の映画は壮大なスケールかつ幻想的なファンタジーが特徴であったり、クリストファー・ノーラン監督は圧倒的なCGと映像美が特徴であったり…
映画監督たちの個性を堪能するのも、映画の楽しみ方の一つだと思います。
そして、数ある映画監督たちの中でも、ひときわ異彩を放ちあまりにも個性的な映画を作ることで有名な映画監督がいます。
それが、カナダが生んだ天才デイビッド・クローネンバーグ監督です。
今回は、ぶっ飛びまくった映画を量産する鬼才デイビッド・クローネンバーグ監督を紹介します。
個性的すぎてたまげる映画監督 デイビッド・クローネンバーグ
さて、まずはクローネンバーグ監督のプロフィールを簡単にご紹介しましょう。
クローネンバーグ監督のプロフィール
名前:デヴィッド・ポール・クローネンバーグ
出身:カナダ
生年月日:1943年3月15日
得意ジャンル:ホラー、サスペンス、SF
代表作:「ザ・ブルード/怒りのメタファー」「スキャナーズ」「ザ・フライ」「裸のランチ」など
受賞歴:カンヌ国際映画祭「審査員特別賞」、ヴェネツィア国際映画祭「栄誉金獅子賞」、ベルリン国際映画祭「銀熊賞」など
クローネンバーグ監督は、1980年の「スキャナーズ」がヒットしたことにより、世界的な映画監督の仲間入りします。
これは、超能力者同士の戦いを描いた映画ですね。途中、アナウンサーの頭部が爆発するシーンがあるのですが、このシーンが衝撃的すぎて当時話題を生んだようです。
それからも、ビデオテープを腹部に挿入する不気味な映画「ビデオドローム」や、死の瞬間を予知する男を描いた映画「デッド・ゾーン」などをリリースし、順調に映画監督としてのキャリアを積み重ねていきます。
そして、1985年にリリースされた、蠅と同化した男の人生を描いたホラー映画「ザ・フライ」は、その年のアカデミー賞特殊効果賞を受賞。キャリアハイの興行成績を上げるに至りました。
さて、ここまででもかなり個性的な映画を世に送り出してきたクローネンバーグ監督。しかし、「そこそこ売れたしもういいやー」…と思ったかどうかは分かりませんが、ここからはこれまで以上に超個性的な映画が続出します。
1991年にリリースされた、ゴキブリがタイプライターへと変身する映画「裸のランチ」は、そのあまりの難解さと不気味さで、世界を混乱の渦へと叩き込みます。
そして、1996年リリースの、交通事故に対する性的興奮者を描いた映画「クラッシュ」は、ぶっ飛びすぎたストーリーと過激な性描写で、賛否に分かれた激しい論争が巻き起こることになります。
その後も、疑似体験ゲームの世界を描いた意味不明映画「イグジステンズ」や、青年実業家の没落を描いた映画「コズモポリス」など、1~2回観たくらいでは内容を理解することができないぶっ飛び映画を次々とリリース。
「この人、頭大丈夫か?」と、世界中のファンに不安と心配を与えました(誉め言葉)。
右側に入力する内容
そして2022年、8年ぶりの新作となる「クライムズ・オブ・フューチャー」をリリース。
同氏は現在80歳(2023年現在)ということですから、鋭意に新作に取り組む、ということがなかなか難しいのかもしれませんね。
クローネンバーグ映画の特徴は、超個性的な内容
クローネンバーグ映画の大きな特徴は、冒頭から何度も言ってきたとおり”超個性的”という部分です。
変わった映画、難解な映画が多いんです。
例えば「裸のランチ」ですが、”ゴキブリがタイプライターに変身する”なんて発想は、普通の人にはできませんよ。ましてや、それを映画にしようなんて絶対に思えません。
だけど、それを映画化しちゃうのところが、クローネンバーグ監督が”鬼才”と呼ばれる所以。
そして、間違いなく万人受けしません。中学生以下の子供は間違いなく見ないほうがいいです。絶対に理解できないと思います。
一方で、麻薬のような中毒性がクローネンバーグ映画にはあります。
確かに内容自体は意味不明。だけど、なぜかそれが癖になってしまうんですよね。
初めて飲むビールは苦くて不味いけど、一度美味しさを知るとビールが至高の飲み物であると思える。この感覚に似ていると思います。
「一体次は、どんな意味不明ワールドが来るんだろう?」と、私レベルになるとこの意味不明さを楽しみに変えることができます。
そして、「この映画で、クローネンバーグ監督は何を言いたかったのだろう?」と、自分であれこれ考察するのが楽しいんですよね。
その他にも、クローネンバーグ映画には以下のような特徴があります。
・暗い、重い(笑うシーンはほぼありません)
・不気味
・鬱展開多数(ハッピーエンドはほぼありません)
・気持ち悪いシーンが多い(ホラー映画がメインなので…)
言葉で説明するよりも、まずは観てみるのが一番!
以下、本ブログで取り上げた内容を中心にクローネンバーグ映画を紹介しますので、気になった人は、まずはなんでもいいので観てみてください!
クローネンバーグ監督の映画紹介(年代別)
ここでは、クローネンバーグ監督の映画を簡単に紹介していきます。
ぶっ飛んだストーリーが多いので、映画ごとのブッ飛び具合を「ブッ飛びレベル」として評価しています。
参考にしてください。
なお、「ブッ飛びレベル」が低いということは”普通のストーリー”という意味で、面白くないという訳ではありませんので!
ラビッド (1977年)
★ ★ ★ ☆ ☆
あらすじ
交通事故により瀕死の重傷を負ったローズは、ケロイド医師による中性皮膚化手術を受け一命を取り留めることができた。しかしその術後、ローズの身体に異変が起き始る。奇妙な突起で無意識に殺人を繰り返すローズ。そしてその狂気は、世界中に伝播していく。
解説
簡単に言えば、ゾンビ映画です。ウイルスが周囲に感染していくというパターンは、現在ではゾンビ映画王道と言えますが、50年近く前のこの映画でもそのパターンが取り入れられているのはビックリ。ストーリー自体は単純なので観やすい映画なのですが、クローネンバーグが有名になる前の初期作品ということで、なかなかマニアックな映画と言えるでしょう。
ザ・ブルード/怒りのメタファー(1979年)
★ ★ ★ ★ ☆
あらすじ
あえて精神病患者のトラウマに触れて感情を高ぶらせ、本音を引き出すというサイコ・プラズミック療法。しかし、画期的に見えたこの治療法には、実は恐ろしい副作用が隠されていた。サイコ・プラズミック療法を続けるノーラが産み出した”怒り”は、恐怖となって街の人々を襲いだす。そしてその魔の手は、娘のキャンディスにまで及ぶ。
解説
”怒り”の感情が怪物を産み出し、その怪物が人を襲うというなんともクローネンバーグらしい発想の映画です。古い映画ではありますが、ストーリーがしっかりしているので現在でも問題なく楽しめます。今の撮影技術でリメイクしたら、ものすごく怖い映画になりそう…。なにぶん昔の映画なので、観たことがある人は少ないでしょうね。
スキャナーズ(1981年)
★ ★ ☆ ☆ ☆
あらすじ
人が心に思った言葉が勝手に頭の中に入ってくる。そんな望みもしない特殊能力に頭を悩ませるベイルは、ある日謎の組織に拉致されてこう告げられる。「君はスキャナーズ(超能力者)だ」。一方、超能力を悪用し自分に従わない者たちを次々と殺害するスキャナーズのレボック。今、ベイルとレボックの超能力対決が始まる。
解説
クローネンバーグの名前を世界に知らしめるきっかけとなったのが、この映画です。中でも”頭部爆発”のシーンは有名で、当時世界中で話題を呼びました。超能力対決!ということでストーリーは単純で解りやすく、初心者でも観やすい映画ですね。
ヴィデオドローム(1983年)
★ ★ ★ ★ ★
あらすじ
小さなTV会社を経営するマックスは、資料率稼ぎのためにより”ドぎつい映像”を探し求めていた。そんな折にマックスは、友人のハーランから「ビデオ・ドローム」とだけ書かれた怪しいVHSを譲り受ける。拷問、殺人、手足の切断などが永遠に流れているだけのこの不可解な映像に、マックスは徐々に興味を惹かれていく。
解説
さて、この辺からマニアック度がどんどん上がっていきます。この映画は、VHS(今の子は知らないかなー?)がお腹の中にズボッと入っていく、というなんとも不思議な映画です。それだけでも衝撃的なのに、ストーリーは超難解。どこからが夢でどこからが現実なのか、わからなくなってきます。いろんな意味で一度見たら忘れられない、そんな映画です。
デッド・ゾーン(1983年)
★ ☆ ☆ ☆ ☆
あらすじ
交通事故に遭い、意識不明のまま5年という長い年月を病院のベットの上で過ごした小学校教師のジョニーは、人の過去や未来が見えるという特殊な能力が身についていた。ところがその能力は、使うことによりジョニーの寿命を縮めてしまう恐ろしい側面があった。思い悩むジョニーはある時気が付く。自分は、未来を予知できるだけでなく未来を変えることができるのだと。
解説
よくぞこんな暗い映画を作れたもんだ。と感心してしまうくらい、暗~い映画です。主人公であるジョニーの人生があまりにも不幸過ぎて、こっちが泣けてきます(T_T)人の未来や過去が見えるって、一見すると便利そうですけどいいことばかりじゃないんだな、と実感する映画。
ザ・フライ(1986年)
Coming Soon
戦慄の絆(1988年)
Coming Soon
裸のランチ(1991年)
★ ★ ★ ★ ★
あらすじ
ゴキブリ駆除の仕事を行うビリーの自宅に、ある日、二人の刑事が訪ねてきた。ビリーがゴキブリ駆除に使用する薬が麻薬なのではないか?と疑っているのだ。そうして二人の刑事は、ビリーの前に一つの大きな箱を置いていく。ビリーがその箱を開けてみると、中からは超巨大ゴキブリが現れるのだった。そしてそのゴキブリは、命令口調でビリーに話しかける。
解説
数あるクローネンバーグ映画の中でも抜きんでてぶっ飛んでいる映画が、この『裸のランチ』。喋るゴキブリ、支離滅裂かつ意味不明な会話、何の前触れなく表れるバケモノたち。この映画を見た時は、「もしかしてこの人は狂っているのか?」と、本気でクローネンバーグ監督の脳内を心配しました。理解できる出来ないは別として、人生経験を積むつもりで一度見てみることをお勧めします。
クラッシュ(1996年)
★ ★ ★ ★ ★
あらすじ
交通事故を起こしたジェームスは、大怪我を負い入院することとなる。しかし、この時ジェームスは、自分が”交通事故に遭うこと”についてエクスタシーを感じる性癖であることに気付く。それからジェームスは、より危険なドライブを追い求めることになる。異常性癖者たちが織り成すクレイジーな世界がそこにはあった。
解説
交通事故フェチ…とも言うのでしょうか?ある意味哲学的とも言える難解な映画。に遭うことに性的興奮を覚える人間たちが、あまりにもマニアック過ぎる世界を我々に教えてくれます。「普通の映画に飽きた」という人には、この刺激的な映画を是非ともお勧めしたいですね。
イグジステンズ(1999年)
★ ★ ★ ★ ★
あらすじ
アンテナ社の新感覚ゲーム「イグジステンズ」。脊髄とコントローラーを直接つなぐことでプレイできるこのゲーム。プレイヤーたちは、徐々に現実とゲームの境界線を理解できなくなっていく。死亡者が続出するこの不可解過ぎるゲームに挑むパイクルとゲラーは、勝利者となることができるのか?
解説
「裸のランチ」と双璧をなるくらいにぶっ飛んでいるのは、この「イグジステンズ」。支離滅裂かつ超電波ストーリーなうえ、登場人物たちの会話も意味不明。何度見返してみても、「よくわからない」というのが正直な感想。「夢の内容をそのまま映画にした」という表現が一番しっくりくる、そんな映画です。
スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする(2002年)
★ ★ ★ ☆ ☆
あらすじ
重度の統合失調症を患うデニスは、社会復帰の第一歩としてとあるアパートの一室に住むこととなった。そんなデニスに、アパート管理人であるウィルキンソン夫人は辛くあたる。そんな日々を過ごしているうちに、デニスの目にはウィルキンソン夫人の顔が、最も憎む女である父の後妻の顔に見えてくるのだった。その時、デニスがとった行動とは?
解説
重度の統合失調症患者が主人公、というなんともクローネンバーグらしい映画。デニスの少年時代の回想シーンに大人のデニスが入り込むなど、斬新なストーリー進行が特徴。暗~い映画ですが、ストーリーはサスペンスチック要素が盛り込まれており秀逸。最後のどんでん返しにアッと声を漏らした人も多いと思います。
ヒストリー・オブ・バイオレンス(2005年)
★ ☆ ☆ ☆ ☆
あらすじ
妻と子供を愛し仕事も真面目。まさに模範的な父親とも言えるトムのもとに、カールと名乗るマフィア風の男が訪ねてくる。この時から、トムの様子に変化が現れるようになる。そして妻のエディは、夫トムの隠された過去を知ってしまう。これまでの優しさは全て噓だったのか?究極の夫婦愛が試される。
解説
クローネンバーグらしからぬ普通の映画(笑)マフィアの抗争がメインとなるこの映画は、暴力的表現が多いためしっかりとR-15指定されています。普段は優しいはずお父さんが実は恐ろしい過去の持ち主だった知ったら、妻は、そして子供はどのような心境に陥るのでしょうか?ラストシーンの意味が分かる方がいれば、是非とも教えてください。
イースタン・プロミス(2007年)
★ ★ ☆ ☆ ☆
あらすじ
子供を産み落とすとすぐに死亡した、何やら訳アリの14歳少女。助産師のアンナは、ロシア語で書かれた少女の日記に秘密が隠されていると考えた。しかし、日記が解読されていくうちに、アンナは恐ろしい事実を知ることとなる。マフィアの狡猾さや非情さ、恐ろしさを描いたヒューマンドラマ。
解説
前作に引き続き、マフィア系+普通の映画(マフィアにハマった時期なのかな?)。人身売買という危険なテーマを題材にしています。加えて今回は、日記の内容を解読しながら謎を解き明かすというサスペンス要素も盛り込まれています。金と保身のためならどんな汚い手も使うマフィアって恐ろしいなと、しみじみと感じる一作です。
危険なメソッド(2011年)
★ ★ ☆ ☆ ☆
あらすじ
精神科医ユングの病院に入院することとなった重度の精神病患者ザビーナ。ユングは、当時としては画期的な治療法である”対談療法”を持って治療にあたる。そしてユングは、父親に尻を叩かれるというザビーナの過去のトラウマが精神病の原因であることを突き止める。そして、治療が進んでいくうちに二人は、愛人関係へと発展していく。
解説
史実を基に制作された映画なのですが、男女の愛情のもつれがメインとなる、これもまたクローネンバーグらしい暗くて重い映画。高名な精神科医が実名で登場しているので、ファン(?)の方からすれば嬉しい設定かも。
コズモポリス(2012年)
★ ★ ★ ★ ★
あらすじ
超が付くほどの資産家エリックは、美人で資産家の妻を持ち、高級リムジンを運転手付きで乗り回すなど優雅な生活を営んでいた。しかし、世界市場の動きを見誤り会社は大損害を被り、エリックは一夜のうちにすべてを失ってしまう。絶望の果てに、エリックは何を見たのか?資産家の栄枯盛衰を描いた逆サクセスストーリー。
解説
クローネンバーグらしさが爆発し、最高にぶっ飛んでいるのがこの映画。『裸のランチ』『イグジステンズ』をも凌駕するほどの電波ストーリ。登場人物たちの会話が意味不明すぎて、目の前で何が起こっているのかを理解するのにかなりの時間を要します。難しい映画が得意!という人がいれば、是非ともチャレンジしてみてください。
まとめ
作品名 | ジャンル | 作成年 | ブッとびレベル | 備考 |
ラビッド | ホラー | 1977年 | ★★★☆☆ | |
ザ・ブルード/怒りのメタファー | ホラー | 1979年 | ★★★★☆ | |
スキャナーズ | アクション | 1981年 | ★★☆☆☆ | 初のヒット作 |
ヴィデオドローム | ホラー | 1983年 | ★★★★★ | |
デッドゾーン | 人間ドラマ | 1983年 | ★☆☆☆☆ | |
ザ・フライ | 商用映画 | |||
戦慄の絆 | ||||
裸のランチ | ??? | 1991年 | ★★★★★ | |
クラッシュ | 人間ドラマ | 1996年 | ★★★★★ | |
イグジステンズ | ??? | 1999年 | ★★★★★ | |
スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする | 人間ドラマ | 2002年 | ★★★☆☆ | |
ヒストリーオブバイオレンス | バイオレンス | 2005年 | ★☆☆☆☆ | |
イースタンプロミス | バイオレンス | 2007年 | ★★☆☆☆ | |
危険なメソッド | 人間ドラマ | 2011年 | ★★☆☆☆ | |
コズモポリス | 人間ドラマ | 2012年 | ★★★★★ |
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