映画紹介『ねむれ思い子 空のしとねに』(一部ネタバレ)親子の愛情を描くSFサスペンス。隠れた名作とはまさにこのこと。

名作

『ねむれ思い子 空のしとねに』の作品紹介

製作 2016年
ジャンル SFサスペンス
監督 栗栖直也
キャスト 福島央俐音、井上喜久子、田中敦子、平田広明

『ねむれ思い子 空のしとねに』は、2016年、栗栖直也監督によって製作されたSFサスペンスアニメです。

日本で制作された本アニメは、海外で大きな評価を受けて再び日本で上映されるという、いわゆる”逆輸入”されたアニメです。

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『ねむれ思い子 そらのしとねに』のみどころ

この映画のおもしろいところは、監督の栗栖直也がほぼ一人で、7年もの歳月をかけて作った自主製作アニメだというところです。

さて、ここで”自主製作アニメ”と聞いて「売れない監督が作ったアニメでしょ?」「何か面白くなさそう…」と感じてしまったあなた、ちょっと待ってください。

このアニメは、そんじょそこいらの自主製作映画やアニメとは全く違います。むしろ、二流の監督たちが本気で作ったアニメなんかよりもクオリティーは断然高いです。

その証拠にこのアニメは、日本で作られた後はカナダ、イスラエル、ロサンゼルス、ドイツなどの海外で上映され話題となり、逆輸入される形で再度日本に戻ってきています。

クオリティが高くなければ、逆輸入などという現象は起きないでしょう。

 

さて、映画の内容ですが、このアニメは宇宙を舞台として描かれたSFファンタジー。そして『親の愛情』をメインテーマに置いた感動超大作です。

実は私、特攻隊系と親子の愛情系の映画/アニメは弱いんです(T_T)

このアニメも例に漏れず、後半は年甲斐もなくずっと号泣してました…

 

ちなみに『親の愛情』と聞くと、私は幕末の志士・吉田松陰のこの有名な句を思い出します。

親思う 心に勝る 親心

この句は、吉田松陰の辞世の句で、「親が子供を思う気持ち(親心)というものは、子供が親を思う心よりも強いんだよ」という意味だそうです。

…わかる!!本当にそのとおりなんですよね!!

あと一つ、詠み人知らずなんですがこんな句もあります。

這えば立て 立てば歩めの 親心

これは、初めて這い出せば「次は立て」と願い、初めて立てば「次は歩け」と願ってしまう、我が子に対する親の愛情を歌った句です。

…これも分かり過ぎる!!(T_T)

この句は、親心を的確にとらえてますよね。親が子供を思う気持ちというのは、きっと今も昔も変わらないのでしょうね。

 

…えー、ついつい感傷に浸ってしまいましたが、本題に戻りましょう。

まずは序盤、衝撃的な出来事が起こります。

なんと、産まれて間もない赤ん坊を乗せた車が交通事故に遭うのです。もうその時点で私の目は画面にくぎ付けです。赤ん坊は助かったのか?死んでしまったのか?どっちだろう…?

とドギマギしていると、次のシーンでは主人公の織音が謎の組織に連れ去られ、なぜか突然宇宙へ…

良い意味で頭の理解が追い付かない!考えなきゃいけないことが渋滞を起こしてしまいます(*^_^*)

 

そんな波乱万丈の出だしから始まりますが、中盤はややペースを落としてまったりとストーリーが進む。ユーモアを交えながら、安心してみていられる時間帯です。

しかし、ホッとしたのも束の間。とある出来事を機に再びストーリーは急転直下。ジョットコースターのような展開を迎えます。

そして二転三転した後には、感動のラストが待っていました…

しかも、全てが終わったエンドロールでは、織音の母里美の妊娠してから出産するまでの過程がホームビデオ風に流れます。これがまた感動するんです。

 

笑いあり涙あり、ストーリーが二転三転するサスペンス要素も含まれおり、隠れた名作とは、まさにこのアニメのことを言うのではないでしょうか?

尺は約60分ということで、映画としてみればやや短めですが、その分冗長すること無く楽しむことができます。

『めむれ思い子 空のしとねに』のストーリー(細部)

入之波里美保典夫婦は、産まれたばかりの赤ちゃん織音と共に車で自宅に向かっていた。二人とも、これから始まる3人での新生活にささやかな幸せを感じていた。

ところが、保典の運転する車が突然事故に遭う。大型トラックと正面衝突したのだ。幸い、織音は一命を取り留めたものの、里美と保典は死亡

赤ん坊の織音は、産まれてすぐに両親を失うという不幸を背負うこととなった。

 

19年後、織音は大人へと成長していた。

買い物の帰り、織音は蒼嶋ユリと名乗る謎の女性に呼び止められ、突然拉致される。蒼嶋は、黒服のエージェント数人を引き連れており、堅気ではない雰囲気が醸し出ていた。

織音が連れていかれたところ、それはなんと、宇宙ステーションの中だったのだ。蒼嶋の目的は、この宇宙ステーションの中で、織音に”ある人物”に会ってもらうことだった。

織音は、言われるがままにある部屋に通される。するとそこには、19年前に死んだはずの母里美が当時の姿のままで立っていた。

以後の展開

なぜここに死んだはずの母親が、しかも若いままの姿で存在しているのか?19年ぶりの再会を喜びはしゃぐ里美を横目に、織音は頭の中を整理できず混乱します。

蒼嶋が言うところでは、ここにいる里美は偽物なのだと。じゃあこの人は誰なんだって話になるのですが、青島は、「里美の本当の姿を見たいのであれば、明日の天気を訪ねてみること」と続けます。

そして次の日、蒼嶋の言葉を真に受けた織音は、ついに里美に明日の天気を訪ねてしまうのですが…

 

この先が気になった方は、是非ともDVDをご覧になってください笑

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ちょっとだけ考察(ネタバレ注意)

この項目は、重大なネタバレが含みます。まだアニメをご覧になっていない方は、閲覧をご遠慮くださいm(__)m

さてこのアニメ、一か所だけ明確に語られないまま終わっています。

ラストシーン、織音が里美と別れて先生と共に宇宙船を脱出しようとした時、先生は”かずや”と書かれたクマのぬいぐるみを宇宙船内に投げて、「里美さんと一緒にいてやってくれ」と叫びます。

このクマのぬいぐるみは、先生が登場したときから大事そうに胸ポケットにしまっていたものですね。

このぬいぐるみは何なのか?”かずや”とは誰なのか?そもそも先生は、なぜ死人を生き返らせる実験を繰り返していたのか?

実はこのラストシーンに、これらの謎を解くヒントが隠されているのです。

 

まず”かずや”とは、先生の息子であると推測されます。きっと先生は、過去に息子のかずや君を亡くしてしまったのでしょう。クマのぬいぐるみは、かずや君の形見であると思われます。

そして先生は、かずや君を生き返らせようとして、死者をクローン人間として生き返らせる研究を重ねたのではないでしょうか?里美は、先生の実験の被検体として偶然選ばれたのでしょう。

そして最後、先生が作った里美のクローンは極めて本人に近い存在だったものの、やはり里美本人になることは出来なかった。

「かずやのクローンを作ったとしても誰も幸せにならない」と、先生は今回の一連の事件を経て研究の限界を感じたのでしょう。

過去と決別する意味で、かずや君の形見であるクマの人形を投げ捨てたものと考えます。

 

何気ないワンシーンですが、こんなドラマが隠されているなんて、このアニメは本当に良く出来たアニメです。

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