作品紹介
製作 | 2016年 |
ジャンル | ホラー(R15) |
監督 | TORICO |
キャスト | 中村里砂、風間俊介、森野美咲、武瑠、佐伯大地、深水元基、中谷彰宏、鳥居みゆき、鳥肌実 |
この映画は、1983~1983年、『漫画エロス』に連載された漫画『少女椿』(著:丸尾末広)をモチーフとして、2016年に実写化されました。
実は、1992年には一度アニメ化されているのですが、内容があまりにもグロテスクかつ過激な性描写がされていたため、上映禁止になるという過去を持っています。
この映画のココがヤバい
そんな問題作『少女椿』の内容ですが、エロシーンやグロテスク表現などの刺激的な描写が満載です。また、「狂っているのは、私か、あなたか。」という吹き込みがあるとおり、なかなかの電波ストーリーとなっています。
本ブログでは、「問題作、衝撃作、上映禁止」のカテゴリーで紹介しますが、「ぶっ飛んでる映画」として区分けしても全く遜色ない作品です。
それでは、中身に行ってみましょう。
以下、ネタバレの内容が含まれますので、まだ映画をご覧になっていない方は注意してください。
ストーリー(細部)
サーカスで働く少女みどり
時は昭和107年、売れないサーカス団で働く一人の少女がいました。その少女こそ、本作の主人公みどりです。
みどりは、貧しい家庭に生まれ育ちましたが、父親は蒸発し、母親は既に亡く、一人で造花を売っていたところ、今いるサーカスの団長である嵐鯉治郎に拾われたという過去を持ちます。
特に母親との死別は悲惨で、みどりが家を留守にしている時に、寝たきりの母親の布団の中にねずみが侵入し、そのねずみが動けない母親の体を食いまくり、母親は二度と見れない体になって死んでいったのでした。
個性派揃いのサーカス団員
みどりが所属するサーカス団は、全員が超個性的で癖のある人間ばかり。
剣を飲み込むことが得意、怪力自慢だが粗暴な性格の『赤座』。
火吹き芸を得意とし、体は男性だが女の子のような格好をしている『カナブン』(今風な言い方をすると「男の娘」)。
口から蛇を出すことを得意とし、多数の男性を関係を持つ『紅悦』。
両手を欠損し、火傷の跡を隠すために顔は包帯で覆われているが、足だけで器用になんでもこなすことができる『鞭棄』。
この4人は、「みどりが来てから売れなくなった」として、毎日みどりに辛く当たります。その様子がわかるエピソードとして、次のようなものがあります。
みどりが甲斐甲斐しく世話をしていた捨て犬たちを、カナブンは踏みつけて殺害し、犬鍋にして全員に振舞います。
何も知らないみどりは、みんなと一緒に鍋を食べているのですが、今食べている肉が自分の可愛がっていた犬の肉であることを知らされ、茶碗を落として悲しむのです。
その他、みどりの精神を追い詰めるかのごとく、いろいろなことがこのサーカス内には起こります。
夜になると、みどりのふとんの隣で赤座と鞭棄と紅悦がピー!を始め、また別の部屋では、団長とカナブンがピー!をするのでした(団長は男色家で、カナブンは団長の彼氏)。
さらに、鞭棄は密かにみどりに好意を寄せており、強引に関係を迫ってきます。みどりは鞭棄に強引にピー!され、初めてを失うことになります。
みどりに僥倖、ワンダー正光の登場
そんな辛い毎日を過ごしているみどりに、運命を変える出来事が起こります。サーカスに新しい仲間が参入することになったのです。その仲間の名前は、『ワンダー正光』。
小さい小瓶の中に、すっぽり自分の体を入れてしまうという信じられない特技を持っています。
ワンダー正光は、ひと目でみどりのことを気に入り、自分の助手に指定するとともに、サーカス団員のいじめから守ると言い出します。
大繁盛のサーカス
ワンダー正光が来てからというもの、サーカスは大繁盛します。しかし、客のほとんどは、ワンダー正光の小瓶に入る芸を見に来ている訳であって、他の4人のサーカス団員は面白くありません。
しかも、ワンダー正光が頻りにみどりを贔屓にするため、その行動がさらに4人をいらだたせることになります。
それにしても、通常、マジックというのは必ず仕掛けがあるのですが、ワンダー正光の「小瓶の中に入る」という芸には、どこをどう見ても仕掛けがありません。
一体、どうやって小瓶の中に入っているのでしょうか?
みどりに暴行
フラストレーションが溜まりに溜まった4人は、みどりに殴る蹴るなどの暴行を加え、八つ当たりを始めます。
しかし、ワンダー正光が登場し、不思議な術を使ってみどりを守ります。そればかりか、逆にサーカス団員たちに命令し、今までみどりがさせられていた雑用をさせるのでした。
鞭棄の死
ワンダー正光が来てから、生活の様式が一変したみどりでしたが、ある日鞭棄がみどりの前に現れ、以前の暴行のことを侘びたうえで、自分が好意を寄せていることを告白します(もちろん、みどりの答えは「NO」)。
しかし、その様子を見ていたのはワンダー正光でした。
ワンダー正光は、鞭棄が一人になったところを見計らい、不思議な術を使って鞭棄を底なしの砂地獄に落としてしまいます。
当初ワンダー正光は、少し懲らしめるだけのつもりでしたが、鞭棄が「このバケモノめ」と言い放つと、ワンダー正光は突如豹変して激怒し、本当に鞭棄を殺してしまうのです。
後日、口の中に砂が詰まって死亡した鞭棄の死体が発見されます。
ワンダー正光のマジックの正体
鞭棄の死は、サーカス内に暗い影を落とします。
ここで、ワンダー正光が鞭棄を殺したの犯行現場を、みどりが目撃していたことが解ります。なんとワンダー正光は、気絶した鞭棄の口の中に、自ら砂を詰めて殺していたのです。
ここで、ワンダー正光のマジックの正体が明らかになります。
ワンダー正光のマジックは、見る者に幻覚を与えるというものだったのです。
小瓶に入るというマジックも、観客全員に幻覚を見せていたということになり、鞭棄が体験した底なしの砂地獄も、ただの幻覚だったのです(幻覚だけでは殺せないので、後で物理的に殺した)。
そんなワンダーまさみつに、みどりは「この人は本当にいい人なのか?」と疑問を抱くようになります。
女優のスカウト
ある日、みどりに人生の転機が訪れます。2名の男が現れ、「女優として映画に出て欲しい、あなたならスターになれる」と言うのです。
みどりは大喜びするのですが、そこにワンダー正光が現れ、スカウトマンの名刺を破り捨て、「私がみどりの保護者だ、みどりのことは私が全て決める」と言い出し、「帰れ!」と叫んで、スカウトマンたちを追い帰すのでした。
みどりは、憧れていた女優の道をワンダー正光のために絶たれ、ショックを受けますが、諦めきれないみどりは、破り捨てられた名刺を拾い集め、つなぎ合わせようとします。
しかし、その現場をワンダー正光に見咎められます。ワンダー正光は激怒し、「おまえは私のものだ、言う事を聞け」と、みどりに殴る蹴るの暴行を加えます。
阿鼻叫喚
自分の思い通りにならず、イライラしているワンダー正光は、そのまま客の前に出てマジックを披露することになります。
しかし、客からの心無い野次にムッと来て、ワンダー正光客たちと喧嘩を始めます。さらに、「バケモノの分際で」と客から言われたことに端を発し、ワンダー正光は禁断の術を使います。
突然客たちが苦しみだしたかと思うと、体中に水疱の様な出来物が現れるのです。
また、ある者は体中の関節がありえない方向に曲がり、またある者は、顔がまるでひょっとこ面のようにねじれ上がるのでした。
やがて、その水疱のような出来物は爆発し、体液が飛び散り、観客席は阿鼻叫喚の世界になります(ここ、結構グロいです)。
ワンダー正光の異変
ワンダー正光はその後、力を使い果たしたかのように倒れ、顔が突然老け出します。ワンダー正光の術は、使えば使うほど本人の体に負担をかけるもののようです。
ワンダー正光は、みどりに先ほどの暴行を侘び、「みどりを失いたくない、どうすれば一緒にいてくれるのか」と聞くと、みどりは「家族に会いたい」と答えます。
ワンダー正光は、みどりに家族の幻覚を見せることができたので、「いつでも家族にあわせてあげる」という条件を付けるのでした。
さらにみどりは、「女優になりたい」と言うので、ワンダー正光は仕方なく了承します。ここで二人は、サーカス団を去るのでした。
みどり、女優になる
みどりとワンダー正光の二人は、以前スカウトされた映画会社に向かい、みどりは女優としての道を歩むことになります。
みどりは、実のところ役者としての経験が無いので、セリフがうまく言えなかったり、覚えられなかったりします。
しかし、その都度ワンダー正光が術を使い、みどりは苦難を自分で克服することなく乗り切っていくのでした。
みどりは、ワンダー正光の力を借りながら、誰もが羨む大人気女優へと出世します。しかしワンダー正光は、みどりの出世のためにと過剰に術を使っていたため、足元はフラフラです。
結末
しかし、せっかく上り詰めた大女優の地位でしたが、みどりは「飽きた」と言い出します。
もともと、みどり女優になりたかった理由は、「みんなに優しくされたかった、チヤホヤされたかった」というものだったので、その目的をすでに達成してしまったのです。
ワンダー正光は「次の願いはなんだ?」ときくと、みどりは「おじさんの魔法が欲しい」と言い出します。
ワンダー正光は「みどりに魔法の力を与えるほど体力が残っていないからムリ」と一度は断りますが、どうしても欲しいというみどりに根負けし、みどりに魔法の力を授けます。
魔法の力をみどりに与えたワンダー正光は、全ての力を使い果たし、まるで老人のような姿になって息絶えるのです。
ワンダー正光が死んだ瞬間、みどりの周囲は真っ白になります。そして、女優として積み上げてきたものが、みどりの中から吹き出していくのです。
みどりは、魔法によって女優になれたので、ワンダー正光が死んだことにより、魔法が解かれてすべてが元に戻ってしまったのです。
悲しみに暮れるみどりでしたが、自分には魔法の力があるということを思い出します。
そして、すべてが真っ白な世界の中で、みどりは「3,2,1」とカウントダウンし、「0」となったところで終劇となります。
1分で振り返るストーリーまとめ(忙しい人向け)
忙しい人向けに、本作の内容を1分で把握できるようにまとめてみました。
✔ そんなある日、みどりが所属するサーカス団に、ワンダー正光という不思議な術を使う人間が入団する。ワンダー正光は、みどりを気に入る。
✔ ある日、みどりに女優としての道が開きかけるが、みどりを自分のもとに置いておきたいワンダー正光は、せっかく来たスカウトを追い返してしまう。
✔ その後、ワンダー正光は、観客から「バケモノ」と言われたことで激高し、超能力を使って観客席を阿鼻叫喚の世界に陥れた。
✔ 落ち目となったワンダー正光は、みどりのマネージャー的存在となり、みどりの女優への道をアシストすることとなった。
✔ 女優となり目標を達成したみどりは、ワンダー正光の超能力が欲しいとねだる。ワンダー正光は、みどりに超能力を与えた瞬間に絶命してしまう。
✔ ワンダー正光が死んだ瞬間、みどりにかけられた魔法が解かれ、真っ白な世界に放り込まれてしまう。
興味が湧けば、ストーリー(細部)も読んでいただけると嬉しいです!!
考察及び感想
全体的に見て、エロチックなシーンが多いように感じました。乳首などはモザイクなしで普通に写っていますし、BL的なシーンも何箇所かあります。R15ではなく、R18の方がいいんじゃないかとすら思ってしまいます。
グロテスクシーンは、「阿鼻叫喚」で紹介したシーンがあります。グロ耐性のない人は、ちょっときついかもしれません。
ワンダー正光の魔法は、相手に幻覚を見せるというものでした。みどりは、魔法に頼りすぎていたため、自分という人間と、その周囲のものすべてが幻覚となっていたのではないでしょうか。
ワンダー正光の死後、みどりの周りが真っ白になってしまったのも、如何にみどりが幻覚に依存していたかが表れていると読み取れます。
また、最後のカウントダウンの後、みどりがどんな魔法を使ったのかは明らかになっていません。ここは、視聴者が自由に想像する部分なのでしょう。
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