「ムカデ人間」作品紹介
制作 | 2010年 |
ジャンル | ホラー |
監督 | トム・シックス |
キャスト | ディーラー・ラーザー、アシュリー・C・ウィリアムズ、アシュリン・イェニー、北村昭博 |
『ムカデ人間』は、トム・シックスによって低予算で作成された映画なのですが、内容があまりにも過激すぎることから、「映画史上最もヤバい映画」と呼ばれています。
B級映画であるにもかかわらず、世界中で大ヒット(特に日本)を記録し、興行的には大成功を収めた映画でもあります。
「ムカデ人間」のココがヤバい
この映画の振れ込みは『映画史上最もやばい映画』というものなんですが、何もこれは私が考えたわけではありません。
この映画のDVDカバーの裏に『噂の”史上最もヤバい映画”いったい、何が始まるのか!?』と書かれてあるのです。
つまり、この映画の制作者側が、自分たちの作った映画をヤバいって言ってるのです(笑)自覚があるヤバさと、自覚が無いヤバさはどちらがヤバいのかは判りかねますが、”とにかくヤバい”ということだけは伝わるはずです。
表紙画にもあるように、この映画は、人間同士を物理的に繋げてしまえという狂った発想を持つ外科医の話です。では、どうやって繋げるか?ヒントは、表紙画と、『ムカデ人間』という映画の表題です。
そして、なんとこの映画には日本人が出演します。北村昭博さんという方です。アメリカを中心に活動している俳優で、今回のムカデ人間のキャストに抜擢されたみたいですね。
映画でも、北村昭博さんのセリフの部分はもちろん日本語で、字幕有で見ても字幕が表示されません(あたりまえか)。海外の映画の中で日本人が登場すると、なんだかとても親近感が湧きますよね。
「ムカデ人間」考察及び感想
このムカデ人間、評判に違わずかなりヤバい内容でした。よくぞこのような発想が出てきたもんだと、逆に感心してしまいます。
最後、ムカデの前後が死亡した状態でジェシーのみが残されますが、身動きすらできず、口と肛門を死体に繋げられたまま朽ち果ててしまうのでしょうね・・・
ただ、冷静に考えてみれば、その直前には警察官が殺されているので、連絡が取れずに不審に思った他の警察官が絶対に駆けつけるはずです。
なので、早ければその日のうちにジェシーは救出される公算が高いです。
意外だったのは、グロテスクシーンが少なかったというところです。途中、ジェシーがカツローの排せつ物を食べるシーンも、直接的な描写はありませんでした。昏睡している3人の手術シーンは少しグロかったですが・・・
ただ、ホラー映画としては完成度は高いと思いました。ただ単にグロテスクさや効果音によるドッキリを押し出すだけの映画とは違い、ホラー映画としての基本的な構成要件は満たしていると思います。
そしてこの映画、なんと2と3があるんです。この『ムカデ人間』が割かし話題になったので、調子に乗って続編を作っちゃったみたいですね。
「ムカデ人間」ストーリー
不審な男
この映画は、高級車に乗る不審な男のシーンから始まります。この男こそ、この映画の主人公(?)である、マッドサイエンティストのヨーゼフ・ハイター博士です。
彼は、感慨深めに1枚の写真を見つめています。この写真には、何やら3匹の犬が写っていますが、この3匹は、肛門部分と口部分がムカデのように繋がっているように見えます。
すると、彼の乗る車の後ろに、1台のトラックが止まり、運転手がトイレをしに草むらの中に入っていきます。その様子を見ていたハイター博士は、銃を取り出し、排せつ中のトラック運転手の後ろに忍び寄って、銃の引き金を引きます。
悲劇の始まり
ここで一旦シーンは変わり、ヨーロッパを旅行中のリンジーとジェシーが泊まるホテル。
彼女たちは、母国の友達と楽しそうに電話をしています。これから、パーティーに出席するために車で出かけるようです。素敵な出会いを期待し、二人のテンションはアゲアゲ状態です。
ところがこの二人は、ホラー映画における遭難の王道パターンにハマってしまうことになります。
車を運転中、急にタイヤがパンクをしてしまいます。山の中であるため、携帯電話も繋がりません。偶然通りかかった車に助けを求めますが、「ヤラせろ」という言葉だけを残して行ってしまいます。
困った二人は、車を降りて助け町まである事を決心します。しかし、歩けど歩けど人気は無し。雨も降ってきて最悪のコンディションになります。さらに、イライラが溜まりケンカをし始めます。
と、ここで人家を発見します。「なんでこんな山の中に?」と思いますが、そんなこと言ってられる場合ではありません。とにかく誰かに助けを求めなければいけない状況だったのです。
その家の庭には、「愛する3匹の犬」と書かれた墓がありましたが、そんなところには目もくれず、二人はの扉を叩きます。
思いがけない客人(被検体)
二人が扉をたたくと、あのハイター博士が登場します(やはりお前の家か・・・)。ハイター博士は、二人を家の中に入れます。
ハイター博士の家に入ると、茶の間に巨大なシャム双生児の絵画が飾られており、どことなく禍々しい雰囲気を二人は感じます。さらにハイター博士は、家に二人を入れた後、しきりに「おまえたちは親戚か?」「二人だけなのか?」などと唐突に意味不明な質問ばかりしてきます。
早く助けを呼んでほしい、彼女たちはハイター博士にお願いするのですが、なんとハイター博士は、助けを呼ぶどころか、睡眠薬入りの水を飲ませてくるのです。ジェニーは、その場で昏睡してしまいます。
逃げ出そうとするリンジーですが、博士はリンジーを強引に捕まえて、首筋に注射を打ち、抵抗できなくさせます。
狂気の人体実験
二人が目を覚ました時、見慣れぬ部屋の中でベットに寝かされている状態でした。しかも、手足は拘束され、身動きが取れません。隣のベットには、見知らぬ男性(トラック運転手)が同じように拘束状態で寝かされています。
そこに、ハイター博士が登場し、トラック運転手に「お前は適合しないから殺す」と言い始め、毒の注射を打って殺してしまいます。
適合?一体何に対する適合のことでしょうか?
しかし、このトラック運転手はある意味幸運だったのかもしれません。これから始まる狂気の人体実験を考えたら、毒により殺されるということがどれだけ楽な事か…
それからハイター博士は、トラック運転手の代わりの男を連れてきます。その男こそ、日本人である我らが北村昭博演じるカツローです。博士は、カツローをベットに寝かせて拘束します。
ハイター博士は、3人の被検体が揃ったところで、狂気の人体実験の概要について説明を始めます。それは、3人の人間を物理的につなげて一つの生命体にするというぶっとんだ発想でした。
まず、3人の膝靭帯を切除し、歩けないようにします。次に、3人を先頭、真ん中、後尾の3役に分け、先頭の人間の肛門と真ん中の人間の口を繋げ、に真ん中の人間の肛門と交尾の人間の口を繋げます。
すると、3人は物理的に繋がり、まるでムカデのような存在になります。先頭の人間が食事をすれば、排せつ物が自動的に真ん中、そして後尾の人間に供給されるため、栄養の部分でも心配ありません。
こんな説明を聞かされて、カツローは激おこぷんぷん丸状態、ジェシーとリンジーは恐怖のため泣き出してしまいます。
ハイター博士は、手術をするためにカツローとジェシーを麻酔で眠らせますが、リンジーは拘束を解いて部屋から脱出します。
あと一歩で家から逃げられるところまで行きますが、ついにはハイター博士につかまってしまいます。ハイター博士は、脱走を企てた罪として、リンジーをムカデの『真ん中』にすると言い渡します。
考えてみれば、真ん中が一番過酷ですよね。先頭はお尻だけ、後尾は口だけ繋げられるのに対し、真ん中だけは口とお尻の二か所になるのですから。大変疲れ様です。
かくして、この狂気の人体実験は、実行に移されました。
ムカデ人間爆誕
ついにムカデ人間が爆誕します。カツローが先頭となり、肛門部分でリンジーの口と繋がっています。リンジーが真ん中となり、口部分がカツローの肛門と繋がっている一方で、肛門部分が交尾のジェシーの口と繋がっているのです。
膝の人体を切られているので、歩くことはできず、四つん這いのまままるでムカデのように生活するしかありません。
ハイター博士は、実験が成功したことに狂喜乱舞するのでした。
地獄のムカデ人間生活
それから、3人は地獄のような生活を強いられます。
ハイター博士は、その3人に対し「新聞を取ってこい」などと、まるで飼い犬のように躾けようとするのです(加える役は先頭のカツロー)。博士の言う事を気かなきと、棒により折檻されてしまいます。
3人の背中は、日を増すごとに痣が増えていきます。
普段は檻の中に入れられて、食事が摂れるのは先頭のカツローのみ、犬用の食器で残飯を与えられました。
そして、一番悲惨なシーンがやってきます。カツローも人間ですので、どんなに我慢しても排泄はしてしまいます。カツローは「ごめん!」と謝りながら、排せつをし、真ん中のリンジーは強制的にその排泄物を飲み込まざるを得ないのでした。
(汚物に関する描写は無し)
警察官
こんな生活をしているうちに、後尾のジェシーが病気にかかってしまい、いつ死んでもおかしくない状況になります。ハイター博士は、「代わりの人間が必要だ」と思うようになります。
そこで、博士の家に二人の警察官が訪ねてきます。
警察官は「最近行方不明者が多発しているので、何か知らないか?」とハイター博士に聞きます。完全に博士を犯人と疑っているのです。
博士は、知らぬ存ぜぬと決め込んで、その場を切り抜けようとするのですが、警察官に地下室(実験室があり、今はムカデがいる)の存在を気付かれたことに逆上してしまいます。
二人の警察官は、博士が犯人であることに確信を深め、家内を本格的に捜査するため、いったん令状を取りに戻ります。
脱出
博士が警察官と揉めている間、ムカデはこの家を脱走する事を決意します。
警察官が令状を取るために一旦帰ったので、地下室に戻った博士でしたが、カツローは隠し持っていたメスで博士の足を刺し、倒れ込んだ博士の首に噛みついて瀕死の重傷を与える事に成功します。
今のうちにと、ムカデはらせん階段を登り、あと少しというところまで逃げます。しかし、追ってきた博士に見つかってしまいます。
博士も重傷を負っており、このまま戦ったらいい勝負になると思われましたが、ここでカツローが突然笑い出します。
そして、「神様、俺は妻を捨て、子供を捨て、まるで虫けらのような存在です。しかし、死ぬときは自分が人間であると信じたいです」と言い残し、ガラスの破片で自分の喉を切り裂き、自殺してしまうのです(てかおまえ、クリスチャンだったのか!?)。
ここで、警察官二人が令状を持って家に戻って来ます。様子が変なので、拳銃を構えながら家の中に侵入し、博士を探すの二人ですが、二人とも博士に撃たれて殺されてしまいます(おまえら本当にポリ公なのか!?)
しかし、殺された警察官二人のうち一人は、死ぬ前に博士の眉間を撃ち抜いていたので、同士討ちという形で博士も死亡します。
鬱エンド
これで、博士、カツロー、二人の警察官の4人が死亡し、この家にはリンジーとジェシーのみが残されました。
しかし、カツローが死んでいるので、生きている二人は身動きが取れません。必死に手を繋ぎあってお互いを励ましあうのですが、病死で瀕死状態だったリンジーがついに力尽き、死亡してしまいます。
残されたのは、ジェシーのみ。しかし、カツローとリンジーはすでに死んでいるので、動くことも声を出すこともできず、ただただ死体と繋がって時を過ごすだけ。
ジェシーの絶望とともに、この映画は終焉を迎えます。
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