【考察】「スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする」(ネタバレ)統合失調症患者を題材にした映画

作品紹介

制作 2002年
ジャンル サスペンス
監督 デヴィッド・クローネンバーグ
キャスト レイフ・ファインズミランダ・リチャードソン

『スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする』は、2002年、クローネンバーク監督によって作成された、統合失調症患者を題材とした映画です。

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この映画のみどころ

この映画のみどころは、独特な進行方法を採用しているというところです。

まず、重度の統合失調症を患う主人公のデニスは、とにかくひたすらメモ帳に何かを書きなぐっているんです。

当然、「この男は一体何を書いているのだろう?」と思いますよね?

ここで、場面が切り替わります。ものすごい自然に切り替わるので、初めは切り替わっているのかどうかが分かりません。

すると、少年時代のデニスが登場します。画面では、大人のデニスと少年のデニスが一緒に登場していることになります。

そうです、デニスは少年時代に自分が体験したことを、メモ帳に書いていたのです。

そしてこの映画は、デニスの少年時代回想シーンの中で大人のデニスが昔の自分を傍観している、という状態で話が進むのです。

初めは少し戸惑いますが、慣れてしまえばなるほど、なかなか面白い手法だなあと思えてきます。

 

そして、なんといってもこの暗い雰囲気、救われないストーリー、重々しさ、どれをとっても「THE クローネンバーク映画」という感じです。

なお、この映画はVODの配信は無く、DVDレンタルショップにもほとんど出回っていないので、見る場合はネットで購入するしかありません。

登場人物

デニス・クレッグ

本作の主人公。重い統合失調症を患う男性。常に挙動不審。

憑りつかれたかのように、ひたすらメモ帳に何かを書き綴っている。

少年時代、父親が母親を殺害するという凄惨な経験をする。その事件以来、父親を人殺しと罵り、新しい母親(娼婦)を憎むようになった。

ビル・クレッグ

デニスの父親。配管工。

娼婦と性行為を行っている現場を妻に見られ、その場で殺害する。その後、妻の遺体を畑に埋め、何食わぬ顔でその娼婦と暮らし始めるという鬼畜。

クレッグ婦人

デニスの母親。

ビルに殺害される。

イヴォンヌ

ビルの浮気相手で、その後新しい妻に格上げ。周囲からは”尻がる女”と陰口を叩かれている。

酒場では、常に下品な笑いを振りまいている。

ウィルキンソン夫人

デニスが住むアパートの管理人。

自分の判断で、住人(精神病患者)を病院に送り返すことができる。それゆえ、アパートでは絶対的な権力を持っている。

ストーリー(細部)

序盤

重い統合失調症を抱えるデニス・クレッグは、社会復帰の第一歩として、ウィルキンソン夫人が管理するアパートに住みこむことになった。

デニスは、何かに憑りつかれたかのように、ひたすらメモ帳に何かを書き綴っていた。

デニスがメモ帳に書いている内容、それは、デニス自身が少年時代に体験したとある事件の事だった。

 

デニスの父であるビル・クレッグは、配管工の仕事をしていた。

ビルは、配管の修理のためにたまたま立ち寄った家で、行きつけの酒場の常連客であるイヴォンヌと出会う。このことをきっかけに、ビルはイヴォンヌを強く意識するようになる。

後日、酒場で再会したビルとイヴォンヌは、まるで約束をしてあったかのように二人で店を出る。そして、人目の少ない橋の下で二人でイチャイチャ♡

 

この日を境に、ビルは妻との関係が悪くなっていく。

中盤

妻と喧嘩して家を飛び出したビルは、再び酒場に現れ、イヴォンヌを菜園の小屋に誘う。そこでビルとイヴォンヌは、セッ〇スを始める。

丁度その時、家を飛び出していったビルを探しに、クレッグ婦人が菜園を訪れた。そして、ビルの浮気現場を現認する。

逆上したビルは、妻をスコップで殴り殺し、そのまま畑の中に埋めてしまう。

あまつさえ、そのままイヴォンヌを家に連れ帰り、新しい母親として迎える始末。

突然母親が消えて、知らない女が転がり込んでくる。何が起こったのか瞬時には理解できないデニス少年。

ここでイヴォンヌは「母親を殺した」とデニスの前で呟いてしまう。それ以来デニス少年は、ビルとイヴォンヌを「人殺し」と呼ぶようになった。

 

ここまで回想して、デニス(大人)は次第に正気を失っていく(もともと正気ではないのだが…)。アパートの管理人であるウィルキンソン夫人の顔が、あの憎きイヴォンヌの顔に見えてしまうようになったのだ。

デニスは混乱し、手元のメモ帳を破り捨ててしまう。

終盤

ある日デニス少年は、とんでもないことを思いつく。自室からロープを引っ張るだけでガスが漏れだすような仕掛けを、台所のコンロに施したのだ。

そして、イヴォンヌが酔っぱらって椅子で寝始めたそのタイミングを見計らい、デニス少年はロープを引っ張った。部屋はガスで充満し、熟睡中のイヴォンヌを包み込んだ。

その後ビルが慌てて部屋の窓を開け、イヴォンヌを外に連れ出す。しかし、既に手遅れ。

道端には、ガス中毒で死んだイヴォンヌの死体・・・・ではなく、いつの間にか実の母親の死体が転がっていた。

ビルは叫ぶ。

「お前がやった。母さんを殺した。お前は自分の母親を殺した。」

 

デニス(大人)はこの時、工具を持ってウィルキンソン夫人の部屋に迫っていた。どうしてもイヴォンヌの顔に見えてしまうウィルキンソン夫人を、殺そうと企んだのだった。

しかし次の瞬間、イヴォンヌそっくりに見えていたウィルキンソン夫人の顔が、突然以前と同じような老婆の顔に戻ったのだった。

ラストシーン

ウィルキンソン夫人を襲おうとしたデニスは、再び精神病棟に戻されることになった。

デニスを乗せた黒い車は、どこかへ向かって走っていく。

母親を殺したデニス少年が、車でどこかへ連れ去られた時のように。

考察及び感想

これまでデニスが見てきた父親の浮気や殺人、そしてイヴォンヌという女性の存在は、すべてが統合失調症を患うデニスの幻覚・妄想だった。というオチ。

デニスは、自分の母親の顔が、いつの間にかイヴォンヌという娼婦の顔に見えていたのです。そしてそれは、ウィルキンソン夫人の顔についても同じことが言えます。

デニスは、女性の顔がどうしてもイヴォンヌの顔に置き換わってしまうようです。

 

クローネンバーグ監督らしく、見終わった後は頭を項垂れてしまいそうになる映画ですね。

でも、サスペンスとしては非常に優秀。このオチは予想できなかった。

見る人のほとんどは、「ビルはなんてひどい父親だ。きっとデニスは、この辛い少年時代の経験があったからこそ精神を病んでしまったに違いない!」と思ったはず。

しかし、まさかすべてがデニスの妄想だったとは…

 

冷静に見直してみると、デニスの妄想であることに気付けるポイントが一つありました。それは、ビル、イヴォンヌ、デニスの夕食シーンです。

「人殺し!」と叫んで聞かないデニス少年をなんとか説得し、家に連れ帰るビル。そんな二人を見て、「いい物を買ってきたの」と笑顔で料理を振る舞うイヴォンヌ。

お皿の上には、緑色の気味の悪いヘビ?のようなものが…

普通なら、悲鳴を上げてしまうほどショッキングな光景なのだが、ビルはとっても嬉しそう。

「一体このシーンは何なんだ?なぜこんなゲテモノ料理に、誰も何も言わないのか?」と思っていましたが、きっとこれもデニスの妄想だったのです。

 

そうなると、今まで悪者に見えていたビルが、途端に可哀そうに思えてきます。

母親とデニスを愛しているだけなのに、いつの日かデニスは「人殺し!」と叫んでくるし、妻を「淫売!」と罵ってくるし…

挙句の果てには、妄想に憑りつかれた息子に妻を殺されるし…

よくよく見ると、優しそうな顔をした父親じゃぁないですか。

役者さんの演技力もあるのだと思いますが、人の印象ってここまで変わるのかと不思議に感じてしまいます。

 

最後に、統合失調症とはどんな病気なのか?まとめてみました。

統合失調症

統合失調症とは、精神疾患の中の一つで、脳の機能障害によって引き起こされ、幻覚、妄想、意欲の減退、自閉症、コミュニケーション力の著しい低下などの症状が現れます。

中でも、「みんなが自分の悪口を言っている」「自分を殺そうとしている」などの被害妄想や、聞こえもしない声が聞こえる幻聴、「寄生虫が体の中を這っている」などありもしないことがまるで本当に起きたことのように訴える幻覚などは、統合失調症を患う患者の特徴と言えるでしょう。

殺人事件を犯した犯人が、犯行の動機として「どこからともなく『殺せ』という声が聞こえた」と主張する場合がありますが、この場合のは、多くが統合失調症による犯罪が誘発されたパターンと言えるでしょう。

デニスに見えていた妄想も、まさに統合失調症の特徴なのです。

 

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